第507号 原発の耐震設計 

2011年9月24日 (土) ─

 私は以前から原発の安全宣言には、安全基準の見直しが必須であり、特に福島第一の事故原因を津波だけと特定して、肝心の地震動に対しての検証を行わない姿勢には疑問を呈してきました。 
この問題について補佐官退任後に改めて役所に資料を要求し、検証を行いました。

◆無責任な体制
 電力会社が原発設置の申請をする時、国(経産省の保安院)が行う安全審査の内、安全性の観点から耐震設計方針が妥当かどうか判断するのが原子力安全委員会の「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(指針)です。一方、その耐震設計の基準にする地震動は㈳日本電気協会原子力規格委員会が策定した民間基準によって決められます。 

 つまり、耐震設計上の具体的な地震動の設定は、民間が決めた基準で電力会社が行う手続きとなっており、国はその妥当性を判断するだけ、その基準も原子力安全委員会という第三者に委ねている状態です。

 このように耐震設計を事業者任せにすると、安全性よりもコスト優先で、条件が甘くなりかねません。私が言い続けてきたのは、原子力行政全体の責任の所在を明確にすることです。特に耐震設計の前提となる地震動の設定は、基準だけではなく、実際の設定自体も安全性を最優先し、国が責任を持って行うべきなのです。 

◆想定していた「指針」 
 ところで、この「指針」では耐震設計上どれだけの地震動を設定するかを決める方針が示されていますが、実はこれに基づき策定された地震動を上回る地震が起きる可能性は否定していません。 

 「指針」の冒頭には「地震により周辺住民が被爆しないようにする」という意味の基本方針が示されていますが、その後が問題です。

 「策定された地震動を上回る強さの地震動が生起する可能性は否定できない」、すなわち「定めた物より大きな地震が起こる可能性はゼロでは無い」ということで、その場合のリスクを「残余のリスク」と呼び、「施設に重大な損傷事象が発生すること、施設から大量の放射性物質が放散される事象が発生すること、あるいはそれらの結果として周辺公衆に対して放射線被ばくによる災害を及ぼすことのリスク」という例をあげ、こういった被害を最小にする為の努力規定を耐震設計以外の対応として規定しています。

 ここであげられた例はまさに福島第一原発事故の被害そのものです。つまり今回の原発事故は「指針」に示す「残余のリスク」に相当します。福島第一原発事故は想定外のリスクなどではなく、あらかじめ想定されていたものに他ならないのです。

 新潟県中越沖地震の際、柏崎刈羽原発について東電は「原発には安全余裕度が設けられていて、今回の地震による原発の揺れも許容できる範囲内だった」と結論づけましたが、そもそも想定している地震動を超える地震が実際に複数発生し、それが事故と関連している可能性もあるとなれば、根本的な地震動の策定方法に問題があると考えるべきでしょう。 

 福島第一原発のような事故は二度と起こしてはなりません。無責任な発想ではなく、最大で最も危険な状況を耐震設計の際に想定するような考え方に改めねばなりません。(了) 

 

スタッフ日記「国会見学」
 お久しぶりです、今春奈良事務所でお世話になっていた、ふくちゃんです。今年3月に国会事務所に研修に行く予定だったのですが、東日本大震災の影響で中止になったため、今夏の奈良事務所のインターン生と一緒に国会事務所に来ています。国会事務所では、奈良事務所とは一味違う経験をすることが出来ました。

 その1つとして、初日に国会見学に連れて行ってもらったのですが、中学校の修学旅行で国会を訪れた時とは全く違った印象を受けました。当時はここで国の事が決められているのか、というような本当に薄い印象だったのですが、今回の国会見学で詳しい話をたくさん聞くことによって、国会議事堂は建設時の日本の技術を結集したものであり、国の発展の象徴であったすごい建物であるということを実感しました。 

 国会で特に豪華なのは天皇しか入ることが出来ない御休所の広間の床のモザイク模様です。ちょっと見ると、タイルで作られているように見えるのですが、2cm角、厚み1cmくらいの大理石の角柱を60万個もはめ込んで作られていると知り、細部までこだわっていることに驚きました。当時の人々がこれほど多くのこだわりを持ったのは国会を近代国家の発展の象徴として考え、日本を世界から注目される国にしていきたいという熱い気持ちがあったからだと思います。

 国会にはこれだけではなく様々な見学ポイントがあるので、ぜひ一度見学に来られてみてはいかがでしょうか。自分の目で国会を見ることによって普段とは違った視点から、物事を考えるきっかけとなり、政治に対する新たな興味がわくかもしれません。 (ふくちゃん) 

第507号 原発の耐震設計