第858号 落選から1年を振り返って 

2018年10月27日 (土) ─

 昨年10月22日に投開票された衆議院総選挙において落選し、議席を失ってから1年が経ちました。この1年は皆さまの励ましの声に支えられながら、自らの新しい使命を模索し、地元選挙区を歩く毎日を重ねてきました。

◆野党混迷の1年 
 総選挙から1年間、安倍政権には「森友」「加計」問題に代表される不公正な公金の支出疑惑や、それに伴う財務省の公文書の改ざんなど不祥事が相次ぎました。また、政策面では消費税をはじめとした増税策が次々表明され、実質賃金、個人消費も伸び悩んだままの状態です。それにもかかわらず安倍総理は自民党総裁に再任され、支持率も一定水準を維持し、政権を取り巻く状況は1年前から大きな変化はありません。 

 片や、1年前の民進党分裂以降、野党の状況は更なる混迷を深め、離合集散が繰り返される中で各野党の支持率は伸びず、国会では足並みが乱れ、所属政党を変える議員が続出している状態です。このような野党の分裂状態の中で、本来野党が果たすべき政権への監視機能が機能不全に陥り、政権の「やりたい放題」の現状を招いています。 

◆野党結集・政界再編こそ使命
 直近の沖縄県知事選挙で野党候補が勝利したように、野党がまとまれば政府与党と互角に対峙することは十分可能にもかかわらず、国政においてこの1年、野党はまとまれないままです。

 私は、国会を離れ、浪人として無所属で政治活動を続ける中で、メンツの張り合いといがみ合いを続ける現職議員に出来ない活動をすることこそ、私の新しい使命であり、再び国政へとチャレンジするために私が掲げる大義であると考えました。

 そして4月には、同じくしがらみのない、国政を目指す浪人44人で政治団体「一丸の会」を立ち上げ、各野党に結集を呼びかける活動を続けてきました。しかし、いまだ野党はまとまれず、来春の統一地方選挙、来夏の参議院議員選挙に向けて、必ずしも野党間の連携が十分とは言えない状況です。今後は一丸の会が各野党に更に結集のプレッシャーをかけ、その具体的な道筋を探る等、お互いをつなぐ活動をより加速させていきたいと考えます。

◆政策のパッケージを用意 
 もちろん、単に野党が選挙のためにまとまるというのでは、国民の理解は得られず、支持は広がらないことは当然です。核となる政策を提示し、その政策の下に各野党をまとめ上げることも私の使命だと考えています。

 この1年間、選挙区を回り、地域に暮らす皆さまとの対話を重ねる中で、改めて暮らしに密着した課題、特に家計の懐を温める政策の重要性を認識しています。大企業や富裕層の利益確保を中心とした政策ではなく、地域の中小企業の成長や、実質賃金の上昇、個人の消費の活性化こそが必要です。そのためには大胆な税制改革が必要です。「負担できるものが税を負担する」という基本原則に立ち返り、消費税増税に代わる累進課税の強化などの抜本的な税制改革を中心とした政策パッケージを提示し、野党の共通政策とするための活動を強化していきたいと考えます。(了)

 

森ちゃん日記「ふるさと納税のあり方を考える」
 10年前に制度化され、納税者が主体的となって納税先を決めることができるとして創設されたふるさと納税。昨年度は全国で約1730万件の受け入れ件数があり、総額が約3653億円となり過去最高を更新しました。奈良県内の市町村では毎年の総額は増加傾向にありますが、県全体としては全国でも下から5番目の結果となっており、より効果的な地域の魅力発信の取り組みが求められています。

 いま、その制度の見直しが図られ、地方による反発の声が激しさを増しています。今回問題とされているのが、自治体間における高額な返礼品競争で、返還率の制限や返礼品が地元で生産された物に限るという規制が図られています。返礼品競争の問題点は、地場産業が盛んではない地域において、地域のアイディアで特産品を調達して返礼品として扱う地域が増加していることにあります。しかし、地場産業が盛んでない地域でこそ、都市部への人口の流出が激しく、地方の疲弊がますます進んでいることは明らかです。ふるさと納税が自治体依存の深まる形を変えた公共事業とならないよう、地域が本気で考え地場産業を育てるという視点に立てるか、地域経済活性化の根幹をどう考えていくのかがいま問われています。

第858号 落選から1年を振り返って