第857号 消費増税への対案 

2018年10月20日 (土) ─

 15日、安倍総理は臨時閣議で、来年10月から消費税を10%に引き上げる考えを正式に表明しました。いよいよ消費税10%への増税が現実のものになろうとしています。

◆不完全な影響緩和策 
 政府は消費税増税に関し、その影響緩和策として、食品や定期購読する新聞に対して税率を据え置く、「軽減税率」の導入や、住宅・車の購入の際の税制面の支援策、国の補助による期間限定の「ポイント還元」を予定しています。 

 しかし、これらの緩和策は、いたずらに税制を複雑にする一方で、経済的弱者の負担割合が増すという、消費税の持つ「逆進性」への配慮を欠いていると言わざるを得ません。 

 例えば、食品への軽減税率の導入で、食事を店でとった場合は10%の税がかかるが、テイクアウトした場合には8%で税率が異なることや、飲食物でも酒類や医薬品に該当する栄養ドリンクには10%が課されるなど、複雑怪奇で理解が難しい税制になっています。税制は国民が理解できるシンプルなものでなくてはならず、このような複雑な税制は避けるべきです。 

 また、消費税増税分の2%ポイント還元は、クレジットカードなど、現金を使わない消費に対しての還元が検討されています。キャッシュレス化を進めたい政府の方針もあるようですが、所得が低く、カードを持てない方や、資金に余裕の無い中でキャッシュレス設備を整えなければならない中小事業者への配慮を欠いています。カードの利用には手数料支払いの問題も生じ、消費者、中小事業者双方にとって、十分に機能する支援策になるとは到底思えません。 

 住宅・車の購入支援策も、富裕層に対しては一定の効果が見込まれますが、結局、政府は、国民への還元をアピールしながら、消費税増税で最も深刻な影響を受ける低所得層や、中小事業者に対する有効な影響緩和策が提示できていないという大きな矛盾があります。

◆減税を含めた「対案」示す 
 政府の打ち出した「的外れ」と言える影響緩和策に対し、野党からも続々批判の声が上がっています。24日に開会する臨時国会は、自民党による憲法改正案が提出されるかが注目されていますが、国民の生活に直結する問題として、消費税増税の是非は、臨時国会での最大のテーマになると考えます。 

 野党は今こそ、安倍総理の打ち出した消費税増税と影響緩和策には反対するという点で一致し、共闘すべきだと思います。 

 私はかねてより、消費税増税は凍結し、富裕層に手厚い所得税控除の見直し等で代替財源を確保した上で、むしろ消費税を5%に「減税」することも検討すべきと考えており、ホームページで検討結果も公表しています。 

 そして今、消費税減税を含めた税制改革のトータルパッケージを考える私的な勉強会も立ち上げました。野党の問題は、消費税増税案に対抗できる現実的な税制の代案が無いことだと思っています。次の総選挙に備え、税制改革についての私の案をまとめ上げ、野党各党に提示して、野党がまとまる一助にしていきたいと考えています。(了)

 

森ちゃん日記「魅力ある、から住みたくなるへ」 
 先日、地域のブランド力を比較する全国魅力度ランキングが発表され、奈良県は大阪府を抜いて全国6位の上位となりました。20代から70代までの3万人がネットで回答した今回の調査は、各都道府県の情報発信力や消費者による観光意欲、移住意欲などの項目から点数が付けられました。

 過去10年を遡っても5、6位を維持する奈良県は、観光地としての知名度の高さと世界遺産や国宝などの観光資源の豊富さが起因していることは疑いもありません。しかし、市町村別ランキングで奈良市は、前年の29位から38位と後退し、全国の観光地において、世界遺産というだけでは観光客の増加にも陰りが見えてきているのではという指摘もありました。奈良県としての観光イメージがイコールとして結びついていない結果から、今後の観光地としての課題が隠されているはずです。 

 住んでいる住民の視点からも魅力度向上のために、災害が少ない、災害に強い街づくりということも地域の魅力の一つに繋がるのではと感じます。上位の市町村ではスポーツが地域を盛り上げ若年層の支持が高い地域や国際イベントの開催によって知名度を上げた地域もあります。身近な観光資源と共に暮らすことのできる奈良が全国へ発信できるよう、地域ブランドの底上げから住みたくなる奈良を目指していきます。

第857号 消費増税への対案