第789号 北朝鮮ミサイル問題

2017年5月20日 (土) ─

 14日、北朝鮮が発射した新型と見られる弾道ミサイルが日本の防空識別圏内に落下しました。

◆国際情勢を見極める北朝鮮
 繰り返される北朝鮮のミサイル発射は、国連安保理決議に明らかに違反しており、断じて許されません。

 世界が厳しい視線を向け、緊張が高まっているこの時期にあえて発射実験を行った背景には、国際情勢の微妙な変化があります。

 4月、化学兵器を使用したとしてアメリカはシリアにミサイル攻撃を行いました。その後、アメリカが北朝鮮近海に空母を向かわせたため、米朝間での武力衝突の危険性が高まりました。

 4月中旬に行われるとささやかれていた核実験が見送られたのは、実験を行えばアメリカからの攻撃を招くおそれがあるという判断があったためと考えられます。

 核実験は見送りましたが、その4月にも北朝鮮はミサイル発射実験を行っています。幸いこの時は失敗に終わりましたが、国連安保理からは非難声明が出されました。

 これに対し、ロシアは難色を示しました。

 また、中国は北朝鮮を非難はするものの、これまで原油の禁輸などの強硬な制裁は行ってきていません。

 先ごろ、韓国では北朝鮮との対話を重視する文在寅(ムン・ジェイン)氏が、フランスではEUに肯定的な中道派のマクロン氏がそれぞれ新大統領に就任し、世界の為替や株価は今のところ安定が保たれています。

 こうした中での今回の発射実験は、北朝鮮が国際情勢を読み、アメリカが武力行使に踏み切らないという確信の下に行われたデモンストレーションだったと見ることが出来ます。

◆実効性ある圧力と対話を
 こうした挑発に対し、安易に妥協してはなりません。 各国はこれまで、核兵器開発を断念する見返りとして北朝鮮に対し支援を行ってきましたが、効果はありませんでした。

 必要なのは、中国に原油輸出制限を働きかけるなど、国際的な協調を背景に、実効性のある経済制裁を組み合わせ、北朝鮮から目に見える形での譲歩を引き出す「圧力」と「対話」を同時に行うことです。

◆ミサイル事態対処法
 一方で、現実的な脅威への対処は必要です。

 我が国のミサイル防衛態勢では、現在、複数ミサイルの同時発射や、今回北朝鮮が行ったような通常より高い高度に打ち上がったミサイルへの対応が困難との指摘があります。

 まずは、現状を踏まえ、新装備の導入などの検討を進めなくてはなりません。

 また、どのような事態にどういった範囲で迎撃を行えるのか、など不明確な部分もあるため、仮にミサイルが発射された場合に、住民の避難や自治体の対応をどうするのか、といった課題もあります。

 このような切迫した事態に対応するには、「ミサイル事態対処とは何か」を明確に定義することが重要です。

 その際、専守防衛の観点から、対処の対象が無制限に拡大することは避けなくてはなりません。

 私は、以上の点を踏まえた「ミサイル事態対処法」を速やかに制定するべきだと考えます。

 国民の生命と財産をおびやかす脅威に対し、国会議員として断固抗議するとともに、より実効性の高い対処を目指して参ります。(了)

 

スタッフ日記「はっとした瞬間」
 ある日、突然気が付いてしまい、それをきっかけに見方が変わるということがあるものです。

 5月の連休中、大学の同級生と久しぶりに会うことになりました。

 友人宅でお互いの環境の変化や、思い出話のあと、食事をして、友人の子供とみんなでドラえもんを鑑賞することになりました。

 のび太くんがドラえもんとタイムマシンに乗って亡くなったおばあちゃんに会いに行くお話でした。

 それを見ながら友人が「残酷な話だねぇ」とぽつり…。

 僕が、「どうしたんだ?」と聞くと、「だって、10歳になった孫がわざわざ未来から会いにくるんだよ。おばあちゃんにとっては今3歳くらいの一緒に住んでる孫がさ。少なくとも数年後には自分はもう亡くなっているんだよ、って宣告されているようじゃないの」と。

 今までそんなことを考えたこともなかったのではっとしました。「でも、それがわかっていても、おばあちゃんはのび太がわざわざ会いに来てくれて嬉しいんだろうなぁ」と友人。

 いい年した大人が2人してドラえもんを見ながら泣きそうになっていました。子供目線で見ていたものが、ふっと親やおばあちゃん側になった瞬間、もう元には戻れないと思いました。

 もっとちゃんと孫の顔見せに行った方がいいんだろうねー、と諸々話をしましたが、当の本人は孫の顔を見せられるような予定は当分ありません。こればっかりはご縁だよねーと苦笑い。

 子供同士もいつか遊ばせられたらいいよね、と笑顔で別れました。(ハム)

第789号 北朝鮮ミサイル問題