第788号 改憲発言の真意

2017年5月13日 (土) ─

 憲法施行70周年を迎えた5月3日、安倍総理は突然、憲法9条の具体的な改正案を示し、2020年までの施行を目指すと表明しました。

◆自衛隊めぐる憲法議論
 もともと自民党は9条を全面改正し、国防軍の保持を明記した憲法改正草案を2012年に発表しています。

 しかし今回総理が示したのは、それとは異なり、9条の1項・2項の文言を維持したまま、3項を追加し、そこで自衛隊の存在を明文化する案です。

 9条2項には、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という戦力不保持の原則が明記されています。

 この2項と自衛隊の存在についての整合性は長年議論が交わされており、「戦力」を保有しているため違憲である、とする主張や、他国を侵略する「戦力」ではないため合憲である、という主張などが展開されてきました。

 政府は、自衛隊は自衛のための必要最小限度の実力を持った機関であり、「戦力」にはあたらないと解釈しています。

 したがって自衛隊の存在を3項で規定することは、単にその政府解釈を明文化するだけとも言えます。

 しかし、憲法で明文化する以上、やはり2項との整合性については避けて通れません。

 その点をあいまいにしたまま、単に自衛隊の存在を書き加えるだけという姿勢には、多いに疑問があります。

 また、この案では自衛隊の活動の「歯止め」について明確にされていません。

 つまり、安保法制における、集団的自衛権が認められるか否かといった安全保障をめぐる憲法上の議論を解決するものでもないのです。

◆総理の「揺さぶり」
 今回の総理の表明については、自民党内部からも苦言が呈されるなど、困惑が広がっています。

 この時期に総理が独自案を表明した背景には、自らの任期中に何としても改憲を実現させたいという思惑が見え隠れします。

 現行の9条の文言をそのまま残し、改憲してもその理念は変わらないと示すことで、公明党など9条改正に慎重な与党内の勢力や、護憲派を封じ、同時に、動きの鈍い自民党にプレッシャーをかけ、議論の主導権を握る、そう考えるとつじつまが合います。

 また、憲法に教育無償化を盛り込むことに前向きな姿勢を示していますが、無償化には必ずしも改憲が必要ではないという指摘もある中、これも改憲に肯定的な日本維新の会や、与党内の慎重勢力へのアピールと言えるでしょう。

 総じて今回の改憲案は、総理自らの悲願実現のための揺さぶりとして表明された、国民不在の政治的メッセージの側面が強いものです。

◆私たちも議論を深める
 総理の発言により、改憲をめぐる動きは急変しています。 私たち民進党も、これまで議論を積み重ねてきましたが、9条のあり方を含め、今後は形として国民の前に提示して行かなくてはなりません。

 次期衆院選はどんなに遅くとも来年の冬までには行われますが、そこで憲法改正が大きな争点となることも予想されます。

 党内でさまざまなスタンスの議員がいることは確かですが、憲法を政争の具とすることなく、あるべき姿について議論を深めて参ります。(了)

 

スタッフ日記「一日一案」
 本日、年に一度の健康診断の日でした。

 身長はともかく、体重もあまり変わりなく、その他諸々大きな変化がないとの事で一安心。だけど腹回りだけが前回より上回っていて、これは内臓のたるみってことなのだろうか…と、徐々に老化してきていることをヒシヒシと感じる今日この頃。

 まだ9歳の息子の為に、イキイキと若く美しくいたいと思うのですが、代議士のように日々トレーニングする気力は湧いてこず、どうしても記憶力維持に良いとか、血液さらさらとかのサプリメントに逃げてしまう(笑)。まずい。老眼も進んで目を細めることも多くなりました。

 そんな毎日を豊かにするために最近始めたのが「一日一案」考えること。

 心と体が豊かになるためのアイデアを1日最低1つ考えて、それをシズちゃんに報告します。すると、シズちゃんからも、こんなのはどうでしょう!と、別のアイデアが出てきて、なかなか面白いので、2人で色々出し合い考えることにしました。

 物事を考えるには情報も必要なので、ネットの最新トレンドや新聞などから何かないかと探すようになったりして、実はこれ、脳の活性化にもなるかなと期待したりしています。

 しかし、未だ爆発的なアイデアが生まれてないことを思うと、やっぱり凡人ってことか(笑)。(チョロ)

第788号 改憲発言の真意