第460号 救出劇と資源

2010年10月16日 (土) ─

 「生還、奇跡の抱擁」今週は世界を明るくするニュースが飛び込んできました。13日夜(日本時間14日午前)チリ北部サンホセ鉱山の落盤事故で600m以上の地下に閉じ込められていた作業員33人全員の救出に成功したのです。まさに「奇跡の救出劇」です。作業員の方々はもとより、心配で眠れない日々を過ごしたご家族、全力で救出に当たった方々に対し、心から祝福の言葉を贈りたいと存じます。

◆事故と新興国の需要増
 報道では「事故があったのは、いわくつきの鉱山だ。金や銅を産出する中小規模の鉱山で、しばしば安全基準違反や事故を起こし、採算性、安全性を理由に一度は採掘を停止したが、2年前に再開していた。」とされ、「近年、世界的な銅の需要増加と価格高騰を受けて、無理な採掘を拡大させていると言われる。」とされています。国際的な資源争奪戦がこの事故と無関係ではなさそうです。

 鉱業国チリは銅の生産量世界一で知られています。事故のあったサンホセ鉱山でも銅と金を産出してきました。チリは輸出の約60%を鉱産物に依存し、中でも銅は総輸出額の50%程度を占める重要な外貨獲得源となっています。チリの銅の輸出先(2009年上半期)は精鉱については日本がトップで、中国、インド、ドイツ、ブラジルと続きます。一方、銅地金については世界最大の銅需要国である中国が断トツのトップであり、2008年9月のリーマンショックに端を発した世界的な景気後退にもかかわらず、依然として銅需要が旺盛で2008年上半期から2009年上半期でチリからの輸入は95.3%増とほぼ倍増しています。2014年のワールドカップと2016年のオリンピックを控えるブラジルや中国、インドなどの新興国の資源需要は今後も増加することが予想されます。

 このような状況の中、取りやすいところはすでに開発済みで、採掘が比較的困難な鉱山を開発せざるを得ない状況が事故の背景にあるのかもしれません。

 今年4月には米国メキシコ湾で大規模な原油流出事故が発生しました。以前は大水深油田の開発はコストが高く採算が取れないことから事業化されにくい状況でしたが、2003年のイラク戦争以降、原油価格が上昇基調となり、新興国の需要増もあり海底油田開発が一気に加速しました。現在では海底油田からの原油の生産量は世界全体の約4割を占めるまでに至りました。ブラジルでは、大水深の開発により、97年には50%程度であった石油自給率を、2007年までの10年間で100%近くまで上昇させることに成功したとされています。今後も世界的に海底油田の開発が進むものと考えられます。米国も一時は海底油田の開発を凍結しましたが、12日に凍結を解除することを決めました。

 今、世界で脚光を浴びる大水深油田は、今回のメキシコ湾、西アフリカ沖、ブラジル沖などですが、日本の周辺でも有望な埋蔵地域が存在する可能性があります。環境、安全対策に万全を期しつつ、着実に探査を行い、周辺国に比べて著しく遅れている開発を進める必要があります。        (了)
 
 

スタッフ日記「SP」

 国土交通大臣、内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)を拝命して1カ月が経ちました。就任してからは正に怒涛のような日々で、多くのことが副大臣時代と変わりました。

 特に一番大きな変化はSPの方がいつも側にいらっしゃることです。SP(セキュリティポリス、警視庁警備部警備課に所属)という言葉はニュースや話題になったドラマで皆さんもご存じだと思います。選挙応援のときに閣僚の警備にあたっていらっしゃる姿を実際に見たことがあるのですが、雑踏の中、警護対象を警備する姿はちょっと恐いくらいに緊張するものがありました。人込みをかき分けてガンガン進むものすごいパワフルな人たち、そんなイメージから「うゎー恐そうな人が来るのかぁ、だいじょうぶかなぁ」と心配していたのですが、警護に直接あたって頂く方にお会いすると、これが意外なくらいに気の優しい方でびっくりです。

 詳しい話は警備上の問題で書くことは出来ませんが。護衛対象を守る為にどれだけ注意を払われているか、ずっとそばにいるので護衛対象にストレスを与えないようにどんな気遣いが重要か等、お話を聞いてたくさん勉強になることがあります。今までは知ることが出来なかった政治を支えているSPさんの新しい一面を今感じています。

 代議士の想いを沢山の人に聞いて頂けるよう、シビックミーティングや街頭演説をこれからも変わらずにやっていけるよう新しい仲間と協力して支えていきたいです。 (SCハマー)

第460号 救出劇と資源