世直し源さん

2008年1月12日 (土) ─

 選挙の年だ!と地元では意気込んで新年を迎えたのに、いざ越年国会で永田町に上がってみるとその空気がまったくない。いやむしろ、今年中にあるかどうかといった声まで聞く。

 与党の中にも「解散総選挙しても三分の二の多数を失うだけで得るものは何もない」との諦め感が漂っているのも事実だし、一方民主党の中にも「いきなり単独過半数は難しいとなると結局はねじれたままか」との脱力感も見て取れる。

 この厭世に近い空気が、国会を機能停止に追いやっている。ここは何とかしなきゃと思うのだが…。しがらみがないから発信できることもある、思い切って発言をしていこうと思う。

 そんな今の僕の気分にぴったりの本を届けてくれたのは、とある素敵な女性。ジャージ姿で国政報告会に駆けつけ、会の後のわずかな時間に「ぜひ読んでほしいと思って、ジュンク堂まで行って買ってきたんです。」と差し出された三冊の文庫本。

 手にとって見ると、マンガだった。「世直し源さん」。ちょうど映画化された「自虐の詩」で有名な業田良家(ごうだよしいえ)氏のゴーダワールド。

 ママさんバレーの大事な試合を抜け出して、わざわざ大阪から駆けつけてくださった。ジャージ姿はそのためで、そこまでして会いに来ていただいたことに感激。それと同時に、どんなマンガだろうと興味津々。

 「読んでください。そして、ぜひまぶちさんの感想を聞かせてください。」と言ってくださった。一緒に手渡された手紙につづられていたのは、奇しくも僕が国政報告会の中で語った内容と一致していた。

 今、この世の中に求められているものとは何か?「自分一人だけが幸せでも本当に人は幸せといえるのか。」国政報告会の中でも、一生懸命にそのことを訴えたのだが、その女性の手紙にも同じことが書かれていた。

 何か不思議なご縁を感じ、大事に三冊の本を持って帰った。

 「世直し源さん」はステテコ姿の国会議員だ。おまけに、総理大臣だ。5人の奥さんを持ち、重婚という罪を負いながらも総理大臣として「国会議員性根叩き直し法案」を提出して政治刷新を訴える。不正なカネをもらった政治家を正すために、自らもカネをもらいに行って自首し、最後には「性根叩き直し法案」を通すために乱闘までしでかす。法案通過後、重婚と収賄と傷害の罪で10年間の服役を自ら選んで刑務所の中に消えていく。

 もちろん、マンガとして思いっきりデフォルメしてある。しかしそこに描かれているのは、あまりにも国民の生活から離れてしまった国会議員への憤りと政治に対する諦め、、一方それを打ち破るには強烈な型破り議員が登場する以外にないとの開き直りと同時に改めての政治への期待。

 「ヨシイエ童話」とサブタイトルにもあるように、現実にはあり得ないことである。しかし、あり得ないことと片付けるには、あまりにも源さんが対峙している政治状況は現実と酷似している。ステテコ姿のトンでもない総理大臣でも現れない限り、この国の停滞はもはや払拭できないと、ゴーダワールドは語りかけている。

 偶然にも、夏に刈り上げたヘアスタイル(ってほどのもんでもないか)に、大工の源さんの呼び名がついたが、目の前に突然の世直し源さんの登場である。自分に重ねるにはあまりにも突拍子もない姿ではあるが、源さんの「性根叩き直し法案」の重要ポイントは「企業献金の禁止」。これはまさに自分のポリシーと一致する。

 時代が求めているものは何かを、必死に見極めたいと思う。世直し源さんが、問うているのは何かを、考えたいと思う。

世直し源さん