第1120号 地方の暮らし、国がどう守るか

2024年3月16日 (土) ─

 13日、私は国土交通委員会で、斉藤鉄夫大臣の所信に対して質問を行いました。

◆ライドシェア解禁を前に
 まず、取り上げたのはライドシェア問題です。

 国交省は4月から一部の地域で時間帯を限定して、一般のドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶことができる制度を始めます。

 この改革案は国民から広く意見を募るパブリックコメントにかけられているので、今後の運用に向けてどのような意見が集まっているのかを質問した上で、制度設計の論点について大臣と討論しました。
 論点は大きく分けて4点です。

  • ○4月からの制度では、タクシー会社が運行管理を行うことが条件になっているが、幅広い参入を認めるべきかどうか
  • ○台数制限が必要かどうか
  • ○一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ際に、運賃を柔軟に変動させるダイナミックプライシングを導入すべきかどうか
  • ○ライドシェアの営業区域規制を解除すべきかどうか

 どの論点も賛否それぞれに理由があり、一筋縄ではいきません。
 
 例えば運賃が柔軟に変動するならば、需給バランスの調整が可能になり、需要の集中が起こりにくくなるメリットがある一方で、値段の上昇により、低所得の方などが移動しにくくなるというデメリットもあります。
 
 こうした具体的な課題の解決を判断するためには、何より実証的な検証が必要です。

 政府は、4月からの新制度の効果データ等を集めた上で、6月に向けて議論を進めて行くとの立場ですが、あくまで重要なのは、「地域交通を利用者の視点でどのように構築するか」という視点です。

 ライドシェアについては、私は与野党超党派の勉強会で会長代行を務めていますが、推進派反対派に偏らず、また、特定の団体や企業の代弁者とならずに、何が効率的な運用かを一定の期間をかけて検証しつつ、今後の制度改革を慎重に進めて行きたいと考えています。

◆能登復興を最優先に
 もう一つのテーマは、能登半島における損壊住宅修理などの、今後の復興支援でした。

 石川県だけで7万6千棟もの住宅が損壊したとされる中、住宅の早急な修理や再建は、住民の生活・なりわいの再建にとって最も重要です。

 復興に関しては、建築資材や人材の確保のために、大阪万博よりも優先すべきという根強い意見があります。

 一方、財界人や言論人には、能登半島復興の建設需要が本格化するのは、大阪万博の工事が終わるであろう今年末頃からなので、両者はバッティングしない、と主張する方々がいます。

 確かに復興において、街づくり計画や、避難者が移り住む公営住宅の建設などは、一定の時間がかかり、着工はかなり先になります。

 しかし避難者の大部分は自宅に帰って生活を営みたいと考えています。そのための応急修理への支援は既に始まっており、今後本格化する見込みです。

 つまり、建設需要が発生するのは決して今年の年末頃ではなく、今まさに資材や人材が必要になりつつあるのです。そして、現状全国的に建設資材や人材はひっ迫しています。よって、万博建設工事は能登半島における建設工事とは関係ないという主張は誤りです。あくまで復興を最優先にすべきだという問題意識で大臣を質しました。

 ライドシェアと能登復興、一見無関係のように見えますが、地方に住む皆さんの生活をどのように国が担保するのか、この点において、どちらも重要な課題です。

 これからも頻繁に国土交通行政全般に大臣を質す機会が回ってきます。日ごろ疑問に思われていることをメール等でご意見いただければと思います。

 

スタッフ日記 「モネ展に行ってきました」

 先月、モネ展に行ってきました。
 モネは、印象派を代表するフランスの画家で、柔らかい色づかいとあたたかい光を上手く表現した作品を数多く描いています。

 何度も同じ場所を訪れ、同一のモチーフを扱いながら季節や天候、時刻によって変化する光を受けて変貌する様を連作という形式によって表現したそうです。

 代表作の「睡蓮」は、自宅の丹精をこめて作った庭園の中の「水の庭」の池とそこに生育する睡蓮を描いています。約250枚もの油彩画があるそうです。

 最晩年は、白内障による視力低下に悩まされ、一時は絵具の判別ができなくなったともいわれています。家族や友達の死などの不幸も重なり、制作できる状況ではなくなって絶望に陥りますが、目の手術を行なったおかげもあり、目は回復し、なんとか制作を再開します。そして残りの人生を大作「大装飾画」に捧げたとのことです。病気に悩まされながらも、大作を完成させたのです。

 1つの事を継続することのすごさ。素晴らしさ。モネ展に行って、印象に残ったことは、絵の美しさだけではなく、ひたむきに描き続けた姿でした。

「継続は力なり」この言葉は、飽き性で気分屋の私が大切にしている言葉の1つです。

 そして、私の近くにも1人。分野はちがうけれど、変わらない想いをもってひたむきに政治と向き合い、コツコツ活動を続けている姿が重なります。

 3月になり、暖かく春の陽気になってまいりました。素敵な絵を観に出かけてみるのはいかがでしょうか? (まあちゃん)

第1120号 地方の暮らし、国がどう守るか