自主共済の適用除外規定

2006年10月27日 (金) ─

 昨年の保険業法改正以前から、無認可共済保険について金融庁にはたびたび質疑をしてきた。

 オレンジ共済などの詐欺事件などに代表されるような、共済の名を借りた悪質な共済保険は後を絶たないが、一方本来の相互扶助の精神に基づいた共済事業は極めて社会の中でも重要な役割を果たしている、と指摘をしてきた。

 「無認可」と呼ばれていた所管の明らかでない共済保険事業を、まずは金融庁が「特定保険業者」として登録をさせて、そして2年間の移行期間内に「小額短期保険業者」と「保険会社」にそれぞれ登録、免許交付を行うというスキームが保険業法の改正で決まったのは昨年の4月。

 そのときにも、金融庁には、相互扶助の精神に基づいた共済事業は適用除外とすべきではないかと確認を行ったところ、当時の伊藤大臣からは、「関係省庁ともよく相談をしていきたい」との答弁はあったのだが、結局法律での枠組みでは決さずに政省令で定めることになった。

 そして、その後の政令での定めは、宗教法人や学校法人、連結対象企業グループ、地方公共団体など極めて限定的になった。

 もちろん枠組みを決めるのに、法的な外縁の明確性、高い自治性などが求められるのは理解できるし何らかの基準が必要となるのは理解できる。

 しかし、この政令によって本当に価値ある、かつ意味ある共済がなくなってしまう憂き目にあるのではないか!?、が今回の指摘である。

 知的障害者の保護者の方々が運営する「知的障害者施設利用者互助会」の共済制度は、知的障害の方々が入院などの場合に点滴の針を自ら抜いたり、奇声を発したりと付き添いや個室が必要になる場合が多いことを鑑みて作られた給付制度である。全国に8万7000人もの利用者がおられるが、個別の団体で見ると1000人未満のものもそれ以上のものもある。これが改正保険業法の政令に定める適用除外の「1000人未満」規定に当てはまらない団体が出てくるのである。

 まさにボランティアベースのような運営を余儀なくされている、非営利のこのような団体の互助システムが、認められなくなる危機が目の前にあるのである。

 そのほかにも、日本勤労者山岳連盟の遭難救済制度である「労山遭対基金」や、開業医や開業歯医者さんの休業保障制度である全国保険医団体連合会の「休業保障制度」の共済事業も同様に、非営利でかつ特定性の高い会員によって運営されている、高い互助精神に基づいた共済制度といえる。

 改正保険業法の、立法精神の本旨に基づいて政令の運用を弾力的に行うべき、あるいはそれこそ政令に「金融庁が定めるもの」の一項を盛り込むべきと訴える。

 山本金融担当大臣からは、極めて前向きなご答弁をいただけた。法の精神と、管理上の運用と、担当部局の方々のご苦労は理解しているつもりであるが、再チャレンジ担当大臣として相互扶助の精神を最大限に汲み取っていただきたいと願う。

自主共済の適用除外規定