「いざなぎ景気」に並ぶ景気の実感

2006年10月27日 (金) ─

 戦後最長57ヶ月に及ぶ「いざなぎ景気」と並んだ今次の景気拡大局面。月例経済報告でもこのことに触れ、「そんなに好景気だったのか...。」との市民感覚とのズレは相当なものであるといわざるを得ない。

 数値でみれば、明らかなように65年11月から70年7月までの「いざなぎ景気」での年率平均の実質成長率は11.5%。今回の02年2月からの景気拡大局面では2.4%。その差は明らかである。

 名目成長率で拡大期間の伸び率を比べると、それぞれ122.8%対4.2%。さらに雇用者報酬、すなわち給与の伸び率ではそれぞれ114.8%対マイナス1.6%。

 実感ないのは当たり前で、「いざなぎ」はいわゆる所得倍増になっているが、今は所得は減っているのである。

 ちょうど、オリンピック後から万博までの高度経済成長期。小学校に上がるころからの経済成長は、自分自身の生活にも鮮明に記憶が残っている。

 我が家に初めてカラーテレビが登場して、同じ団地の奥さんたちが「大奥」を見に、狭い我が家に集まってきていた。部屋を暗くして大人たちとカラーのテレビを見ていることが子ども心になにやら、すごいことに思えた。

 一方、今はどうかと問うと、本当に実感がないのである。景気のよさが。

 景気の名前は、「古事記」による場合が多いが、「バブル景気」や「IT景気」などの現象などを取り上げることもあるようだ。「いざなぎ」を抜くのでイザナギ・イザナミの前に出てくる神はというと「高御産巣日(たかみむすひ)の神」であったらしい。

 それより前は、「天之御中主(あめのみなかぬし)の神」になるらしくこれが最初の神なので、これよりさかのぼることはできない。

 第一生命経済研究所主席エコノミストの飯塚尚巳さんが、そういえばいらしたときに言ってたなぁ、と思い出した。

 いずれにしても、景気拡大局面のピークか踊り場かあるいは途上かもしれないこの状況での経済財政運営指針と、景気が底のときの小泉政権時の指針とはその方向は変わるのではないか、
の疑念は消えない。

 ま、もし景気の名前をつけるとすれば、それこそ実感ないんだから、「ナンチャッテ景気」か?(古いか)。

「いざなぎ景気」に並ぶ景気の実感