第877号 未来への原発政策

2019年3月16日 (土) ─

 私がライフワークとして取り組んできた課題に原発を含めたエネルギー政策があります。東日本大震災から8年を迎えた今、エネルギーの未来を改めて考えてみます。

◆遠い廃炉への道
 福島第一原発の現状について政府は、汚染水の増加を止めるため、事故を起こした原発建屋の周辺の地中を凍らせて壁を作り、地下水の流入を遮断する「凍土遮水壁」がようやく完成して、遮水効果を発揮しつつあると説明しています。

 しかし、実際には相当の地下水流入が見られ、一日あたり170トンに及ぶ汚染水が今なお発生し続けていると見られています。

 さらに、建屋内には、事故時に溶け落ちた900トンに上る高濃度に汚染された核燃料デブリが存在していると見られており、現状では内部調査が始まったばかりで、取り出す方法は全く具体化されていません。政府は2040~2050年ころに廃炉完了を目指す方針ですが、事実上、福島第一原発廃炉への道のりは、まだスタートラインに立ったばかりと言えます。

◆廃炉から見る原発政策
 このような途方もない廃炉への道のりを目の当たりにし、事故の恐ろしさを思うに、原発への依存から脱却し、自然エネルギーを中心とした発電構成に移行しなければならないという思いを改めて強くしています。

 一方で、廃炉が現実の問題である以上、それをネガティブに捉えるだけではなく、むしろ廃炉を今後の原子力政策の軸に位置付け、積極的に研究を進めることも必要だと考えます。2030年までに世界の原発は10%以上減少し、廃炉が進むと考えられており、廃炉は原子力の大きな研究テーマであるとともに、今後年間1兆円を超える市場を有するビジネスになることが見込まれ、フランスなどの一部の企業が廃炉に積極的に乗り出しています。

 日本が、原子力研究を原発の新規建設や建て直しに結び付けるのではなく、むしろ「逆転の発想」で、原子力の安全性確保や、廃炉を進める技術への応用に転化することによって、世界の原発廃炉をリードしていくことは十分可能です。

 そしてそれこそが、日本の未来の原発政策の軸になると思います。

◆新しい発想で発電を考える
 原発依存に代わる再生可能エネルギー普及の取り組みも、従来の枠に捉われない新しい発想が必要です。

 例えば、防災政策との連携です。昨年相次いだ自然災害対策のため、31年度は治水予算が前年度の1.3倍程度に増額されています。この増加分を単に従来型のダムや河川整備の強化だけに終わらせるのではなく、ダムからの放流水を利用した小水力発電設備の整備と結び付けるなどの連携が出来ないか、など様々な再生可能エネルギーの活用促進策が考えられます。

 また、原発は大規模集中型の電源であるのに比べ、再生可能エネルギーは小規模分散型の電源です。地方自治体の取り組みとして小規模な電源開発を促す仕組みを整備し、地方の自立につなげることも考えられます。こうした新しい発想の国土整備とエネルギー政策の連携を提案し、各党や各省庁に提案し、実現を働きかけていきます。(了)

 

スタッフ日記 「春復活プロジェクト」

 梅の花が見頃を迎え、春をもうすぐそこに感じることができます。古くから短歌や俳句に詠まれ全国的にも知られる月ヶ瀬梅林は、日本政府が大正11年に最初に指定した兼六園、奈良公園などの11ヶ所の名勝のうちの一つとして、約1万3000本の梅が栽培され、毎年多くの観光客が訪れます。この時期には、梅林に囲まれながら歩くことのできるウォーキングコースを歩く人と、その沿道でお茶をしながら鑑賞できる土産物屋で賑わっています。かつて、高山ダムの建設によって梅木が移植されながらも、地元住民の懸命な保護活動によって梅林は守られ、いまでも毎年多くの観光客が梅林を楽しむことができます。そんな月ヶ瀬ですが、ここ数年は全国の中山間部と同様に人口流出や高齢化に伴う地域活動の担い手不足に悩まされています。そこで今年は、市の非常勤職員として、地域おこし協力隊を募集し、月ヶ瀬の文化・歴史を継承するための取り組みも積極的に行われています。

 2010年頃まで、かつて約4000本もの梅の花が咲き誇り関西有数の梅林として知られた名所に、富雄の追分梅林があります。当時、第二阪奈道路の建設などによる周辺環境の変化から、土壌の悪化が進み多くの木が枯れ、約70本ほどまで数が減少し、翌年には閉園せざるを得ない状態となりました。そんな中、地元住民と社会福祉法人が中心となって追分梅林を復活させるプロジェクトが立ち上がり、今年、600本の若木が花を咲かせています。次世代へ受け継ぐ、奈良の春の魅力をここにもまた一つ見つけました。(特命係長)

第877号 未来への原発政策