第852号 膨らむ予算、無駄は無いのか 

2018年9月15日 (土) ─

 各省庁が来年度予算に求める概算要求額は、一般会計総額で約102.8兆円と過去最高になり、増加が止まらない形となっています。

◆膨らみ続ける予算  
 概算要求額が100兆円を超えるのは5年連続で、特に来年度予算は、消費税増税に向けた影響緩和策のための予算が必要となることが確実なため、要求総額を大きく絞り込むことは難しいと思われます。膨らみ続ける予算については、国の借金の増大が懸念されています。

 私は、必ずしも緊縮による短期的な財政収支の改善にはこだわるべきではなく、減税などの思い切った手段で国内の消費喚起を図り、経済を成長させることによって、財政を長期的に改善していくべきだと考えています。一方で、膨らみ続ける予算をこのまま放置すれば、減税はますます困難になります。今こそ、もう一度予算を精査し、成長分野には大胆に投資し、不要不急の事業は削減する原点に立ち返るべきです。

◆国債費の無駄積みは不要
 来年度の概算要求を見ると、最も大きいのが社会保障を担う厚生労働省で約31.9兆円、次が国の借金返済に充てる国債費で約24.6兆円となっており、この2分野で半分以上を占めています。

 国債費用については、毎年のように予算から多額の余りが生じて、余った予算は補正予算として他の事業に使われています。例えば、平成28年度は1.6兆円、27年度は1.3兆円、26年度は1.5兆円の国債費の使い残しが発生し、補正予算に組み込まれているのです。 

 このような余りが発生するのは、国債の金利が上昇したとしても支払いが賄えるように、多めに見積もった利払費が計上されていることなどが原因ですが、こうしたあらかじめ過大に見積もられ、補正することを前提とした予算編成を見直し、「無駄積み」を排除することで、1兆円以上の削減が可能です。

◆社会保障は応分負担も選択肢に 
 そして、予算の最大のウエイトを占める、医療・年金などの社会保障費用に関しては、今後さらに増大が確実です。しかし、だからと言って、今後増大する社会保障費用を全て増税によって賄おうとすると、消費税を15%、20%に上げるべきという議論に陥ってしまいます。今のままの社会保障を維持するために、増税を行い、それによって消費が減退し、経済が縮小するという負のスパイラルに陥ることは防がなければなりません。 

 国民皆年金、皆医療保険という原則は堅持しつつも、資産、資力に余裕のある方には社会保障に応分の負担を求める方向に、抜本的に舵を切ることも検討する時期に来ていると思います。 

 その他にも、伸びが著しい防衛費では、アメリカ製の高額な新型戦闘機を多数購入するための費用要求がなされています。防衛そのものの重要性は否定するものではありませんが、トランプ大統領の言いなりになるがまま購入しているのではないかという疑問も踏まえ、精査が必要です。 

 「予算が足りないから増税」という思考に陥ってはいけないと思います。無駄を徹底的に省き、国民の負担を減らしながらも、投ずるべき分野には予算を投じる「メリハリの効いた」予算の姿を、今後も提起していきます。(了)

 

森ちゃん日記「故郷の復興への思い」 
 6日、生まれ故郷でもある北海道厚真町を震源とする震度7の地震が道内各地に甚大な被害をもたらし、今もなお1600人もの方が避難所での生活を余儀なくされています。 

 今日まで多くの方から、あたたかいお言葉、ご心配の連絡をいただき、私自身が励まされ、心の支えとなったことを心より感謝申し上げます。そして、皆さまからいただいた思いを胸に、故郷のために何かできることは全てやろうと厚真町へ帰って参りました。 

 被災地では現在も断水が続き、一部地域では電力も復旧しておらず、町役場の職員、自衛隊員による24時間体制で災害対応に当たっています。土砂崩れによって一変した山々の光景を現実として目の前にし、私は言葉も出ませんでした。 

 家族、親せきの無事が確認でき、避難所にいる祖母に付き添う合間、11日からは、全国から集まった150名ほどの災害ボランティアの方々と個人宅での家具の整理、給水の運搬、避難所での救援物資の仕分け作業を行いました。遠くて困難な道のりだが、町民が一丸となって確実な復興の歩みを進めたい、と北海道まぶち会の会合にも参加いただいた宮坂尚市朗厚真町長の力強い姿を拝見し、一日でも早く日常が戻るよう私も全力で復興への支援を奈良から発信していく覚悟です。

第852号 膨らむ予算、無駄は無いのか