第849号 野党結集の軸は何か

2018年8月25日 (土) ─

 22日、野党第2党である国民民主党の代表選挙が告示されました。

◆野党結集への意欲は同じ 
 代表選には玉木雄一郎現共同代表と、津村啓介衆院議員が立候補しました。報道では、国会運営などをめぐり、政府与党とむやみに対立するのではなく、現実的な問題解決を目指す方針を採る玉木氏に対し、津村氏は、与党と厳しく対峙し、他野党との協調を重視する路線への転向を訴え、代表選の争点となっているとされています。しかし、こうした路線対立を煽る動きには違和感を覚えます。 

 国会運営に関して、現在無所属の浪人として国会を離れた立場で見ると、政府の不正疑惑などに対し、長期にわたって審議拒否を行うことのみで闘う戦術を採るのみでは国民の理解は得られず、法案は法案、政策は政策で是々非々で議論した上で結論を出していかなければ支持は広がらないとの思いを強くしています。

 玉木氏の意図も、政府与党と対立を避けてなれ合いの関係に陥ることではなく、現実的な対案を持った議論を行うことで、政権を担いうる政党であることを示したいというところにあり、立憲民主党などの他野党との協調を排斥する路線ではないと思っています。私は先日、玉木氏と会合を行い、野党結集について話し合う機会を持ちましたが、その場でも「野党はまとまらなければならない」という点で意見は一致しました。 

 その意味で、国民民主党の代表選は、野党結集の是非が争点ではなく、むしろ政府与党に対抗できる具体的な経済政策、税制、社会保障などが議論されることを期待しています。

◆立憲民主党を主軸に 
 そして、野党が求心力を持った一つのまとまりになるためには、やはり野党第1党である立憲民主党が中心となった動きを作り出さなければならないと思います。立憲民主党は、民進党の希望の党への合流の際に、袂を分かって結党された経緯等から、野党の結集には否定的だとされています。 

 しかし、私は立憲民主党の枝野代表とも野党の現状について話し合いの場を持ちましたが、立場上、明言はされなかったものの、言外に野党がまとまらなければならないという思いをしっかりと持っておられるように感じました。野党再結集のリーダーとしての、大局的視点に立った胆力のある行動に期待したいと思います。 

◆求心力を持った理念が必要 
 野党結集には理念・政策の一致が必要ですが、各党の個々の具体的な政策を完全に一致させていくことから協議を始めると、まとまることは困難なのが現実です。 

 それよりも、例えば自民党的な中央集権体制に対し、権力の分散や地方分権といった大きな「求心力を持った理念」の下に各野党、無所属議員、そして浪人たちが集っていくプロセスが必要だと考えています。そして、現状、その理念を提示し、バラバラの野党をつなぎ、突き動かす役割は私のような浪人だからこそ担えると自負しています。来春の統一地方選、来夏の参院選を控え、時間は限られていますが、年内にも大きな動きが作れるように全力を尽くします。(了)

 

森ちゃん日記「行政チェック機能の強化を」
 中央省庁や地方自治体での障害者雇用の水増しが明るみとなり、さまざまな波紋を呼んでいます。障害者手帳や指定医の診断書を確認せずに障害者雇用の数を増やしていたとされ、中央省庁が雇用していた約6900人のうち2000人以上がこの水増しにあたる可能性があり、全国の自治体でも同様の問題が指摘されています。障害者雇用促進法では、企業に一定の割合の障害者雇用を求め、障害者本人への公的支援措置などを規定し、今年4月からは法定雇用率の引き上げが実施されてきた経緯があります。 

 奈良県でも同様の問題が発覚し、平成28年、29年度の民間企業における障害者の実雇用率が2.62%と全国1位として、多様性の中であらゆる雇用の在り方や、働き方改革による雇用の現場に強い関心が高まる中での問題に強い危機感を持っています。残業時間データ改ざんから、森友、加計学園に至るまで、行政によるデータ管理の在り方と国民からの信頼性が根本的に問われています。障害者の雇用の機会を奪いかねない重大な今回の問題に対し、社会全体として弱い立場の声に寄り添う事が大切だと感じられる、誰もが働きやすい環境づくりのために、数字が都合よく使われないよう行政へ対するチェック機能を強化していくことが重要です。

第849号 野党結集の軸は何か