第844号 「野党結集」への提言

2018年7月21日 (土) ─

 通常国会は22日に会期末を迎えます。

◆野党分断の固定化
 今国会を政局の面から見ると、昨年の民進党分裂による衆院総選挙の野党敗北を受けて、 いかに安倍政権と巨大与党に対抗できる野党を作っていけるかがテーマでした。

 しかし、結果的には、国民民主党結成という動きはあったものの、その他の野党を巻き込んだおおきなうねりを作り出すことは出来ませんでした。国会後半では、法案審議に対する各野党の対応の足並みが揃わない場面も見られ、自民党幹部からはむしろそのことを評価する声も聞かれました。

 政治の世界では、例えば植民地支配に見られたように、権力者が、支配されている者同士を複数の集団で争わせるよう仕向けて、権力者に対してまとまって反抗できない状況を作り出す、「分割統治」という手段が良く採られてきました。

 昨年の野党分裂は野党自身の自滅と言えますが、今通常国会において与党からは、勝手に自滅してくれた野党を「分割統治」することで、更に安定した政権運営に繋げようという意図が垣間見られ、野党がその思惑どおりに分断され、それが固定化する状況になりつつあることは否めないと言えます。

 森友・加計問題の新事実発覚や、官庁による文書・データ改ざんなど、安倍政権が発足以来最大の危機を迎えたにもかかわらず、政権が倒れるどころか大臣の一人すら責任を取ることなく、何事もなかったかのように支持率も回復傾向にあります。

 さらに、消費増税を控え国会自身の「身を切る改革」が求められているこの時期に、参院議員の定数を増加させる法案を強引に成立させるなど、「やりたい放題」の状況です。野党の分断状況とそれによる政治の緊張感の無さこそがその大きな要因であることを思うと、 非常に歯がゆいものがあります。

◆「一丸の会」の提言
 こうした危機的状況の中で、 私が代表を務める、超党派の次期総選挙立候補予定者で結成された「一丸の会」は、各野党に向けて19日付で緊急の提言を行いました。

 まず、各野党が細かい個別の政策や国会対応で差異を浮き出しにして競い合うのではなく、国権の最高機関たる国会の機能回復や統治機構の改革といった大きなテーマで理念と政策を共有し、安倍政権と徹底的に対峙していくことを求めました。

 そして、浪人中の各候補予定者は、支持層や支持団体の分断等により厳しい活動を余儀なくされています。来たるべき国政選挙で政権交代を実現させるためには、今、浪人として頑張っている仲間たちへの支援が必要です。そこで、候補予定者が地元での活動に集中できるよう、党派の枠を超えた幅広い支援体制のあり方を政党間で協議するとともに、速やかに候補者調整をスタートさせることを求めています。その他、 野党分裂により混乱している地方自治体議員が党派を超えた相互推薦や相互支援の仕組みを整えることなども提案しています。

 こうした提言は、現時点で特定の政党に属しない浪人の我々だからこそ出来る活動と考えています。

 「野党をつなぐ」ために結成された「一丸の会」代表として、自らの使命を果たして参ります。(了)

 

森ちゃん日記 「急がれる教育現場への投資」
 猛暑日がもはや命にかかわる危険な暑さとなって各地で猛威を振るい、愛知県では、小学一年生の男児が熱中症で亡くなるニュースが飛び込み、教育の現場における校外学習のあり方、そして行政による熱中症予防対策に問題はなかったかが問われています。

 文部科学省が2017年度にまとめた公立学校施設の空調設置状況のデータによると、全国の公立小中学校の設置率は41.7%で、奈良県は愛知県の35.7%と比較しても、わずか7.4%と大きく下回っています。猛暑が続く近畿圏においては際立って低く、本年度予算から設置増加に向けて優先的に取り組みが行われ、県全体として15%台を目指しています。しかし、このような状況の背景には、財政的な問題と、公立小中学校の耐震化工事を優先して取り組んできたことにも影響しています。全国と比較し低い水準であった公立小中学校校舎の耐震化が遅れていた奈良県では、大きな災害には直面してこなかった環境がありましたが、昨今の災害対策の観点から対策が急がれ、今日までで全体の99.3%までが耐震工事が完了しました。

 教育への予算は、まさに未来への投資。いずれも数値からも、観光や医療をみると、後進的な教育にかける予算のあり方は今後、見直すことも必要なのではと感じます。

第844号 「野党結集」への提言