第820号 9条改正「安倍案」の問題

2018年2月3日 (土) ─

 22日の通常国会召集日、安倍総理は、自民党の両院議員総会で、「いよいよ(改憲を)実現する時を迎えている」と踏み込みました。

◆改憲発議は今年中か
 憲法、特に9条の改正は安倍総理の長年の悲願と言われ、昨年5月には、現行の憲法9条1項2項をそのまま残した上で、自衛隊の存在を付け加える案(安倍案)を発表しています。

 支持率の急落と都議選の敗北を受けて政権基盤が揺らぎ、安倍政権下での憲法改正が困難とされた時期もありましたが、衆院総選挙の勝利により再び求心力を回復したことで、与党内における改憲意見取りまとめへのハードルは下がっています。自民党は3月25日の党大会までに改憲案の策定を目指し、今年中にも憲法改正の発議がなされる可能性があります。

◆「安倍案」の意味するもの
 予算委員会質疑において総理は、戦力不保持規定を定めた9条2項を改正することに否定的な見解を改めて示しました。そしてその理由として、2項を変えれば全面的な集団的自衛権の行使が可能となってしまうと述べています。これは、現状、自衛隊が持つ能力・装備は「戦力」には当たらず、我が国を防衛するための「必要最小限度の実力」に過ぎないという政府の解釈を前提に、集団的自衛権の行使、すなわち他国を防衛するための「戦力」を持たないためには、2項による「戦力不保持の原則」を維持する必要があるという考えだと思われます。

◆自衛隊の役割、不明確なまま
 この主張は一見、集団的自衛権の行使に制限をかける穏当なものに見えます。しかし、私は、自衛隊の存在のみを憲法に書き込む場合、かえってその能力・装備や行動の限界を不明瞭にしてしまうと考えます。

 政府は解釈によって、2項が禁止する「戦力」と、我が国を防衛するために認められる「必要最小限度の実力」を切り分け運用していますが、その境界は、近年、極めて曖昧なものになってきています。例えば敵基地を攻撃する能力が「戦力」にあたるのかという議論や、日本の領土領海から遠く離れた地域でアメリカ軍と共同作戦を展開することが「必要最小限度の実力」の行使にあたるのかという議論があります。

 戦力不保持規定をそのままに、解釈によって自衛隊の能力とその行使の限界を画していくことは、かえって時の政府の裁量の幅を拡げ、自衛隊本来の役割である「専守防衛」の範囲にとどまらない際限なき行動につながっていくのではと私は危惧します。むしろ総理の意図は、形式的に戦力不保持を維持することで護憲派を改憲容認へと誘導する罠を仕掛け、「加憲」を行った上で憲法改正のハードルを下げ、将来的に「専守防衛」にとどまらない改憲につなげるところにあるのではないかとさえ思うのです。

 その点で、安倍総理の改憲私案には私は反対です。仮に、自衛隊の存在を憲法に書き加える場合には、「専守防衛のための実力」として自衛隊を規定するなど、9条2項の見直しも含めた国民的議論を行う必要があると考えます。憲法は、「国民」自身が、権力を縛り、国のあり方を決めるために存在するものです。その出発点を忘れ、単なる時の権力者の悲願実現のために改憲が行われるのであれば国を誤ります。私は改憲論者ではありますが、上記意味で、安倍政権の改憲に大きな疑問を感じざるを得ません。(了)

 

森ちゃん日記 「地域活性化術」
 過去最強級の大寒波が日本列島に到来し、奈良でも積雪を伴う例年以上の厳しい冷え込みが続いています。

 そんな中で、こうした「極寒」を逆手にさまざまな観光資源に繋げる取り組みは地域主体となって全国に存在します。積雪を利活用した観光事業の「さっぽろ雪まつり」は全国的にも有名で、関西からの人気も高いスポットです。

 昨年は奈良の興福寺中金堂、今年は薬師寺の大講堂が大雪像として設営され、毎年250万人もの観光客が、奈良から遠く離れた北の地で真っ白な景色を楽しみます。

 ニセコやルスツといったスキーリゾート地では、世界に発信できる上質のパウダースノーを楽しむため、年々、外国人観光客が増え続けています。

 また、都会の人にも純白な雪だるまを見てほしいとのアイデアから、タダで降り積もる雪を商品として発泡スチロール詰めの雪だるまを全国へ発送する取り組みは、私の実家がある安平町のまちおこしの中心事業となってます。

 こうした寒冷地での地域の取り組みは夏場にも生かされて、自然エネルギー対策の一つとして、冬に積もった雪を倉庫へ貯蔵し、夏の冷房として活用する、雪冷房施設のマンションが1999年に世界初で作られるなど、マイナスな環境から資源をプラスへと変える取り組みが、冬場の地域活性化の源となっています。

 まさに、自然と共存し共生をする地方だからこそ、限られた資源を有効活用することに地元住民が真剣に考えた先に、地域活性化の一助となっる取り組みがある事を、今さらながら理解できるようになりました。

 奈良でもこの真冬、江戸時代末期より続く若草山山焼きと、今年で3回目となる大立山まつりが先日開催され、新旧異なる2つの行事が冬の風物詩としてスタートを切りました。

 全国屈指の歴史と文化が息づく奈良で、本物が雪像以上に盛り上がるために、観光地奈良にとって真冬のマイナス要因をプラスへ変える、奈良発信の地域活性術が誕生するために、私も故郷に学んでアイデアを考えてみたいです。

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