第740号 五輪不正送金疑惑
東京五輪が4年後に迫る中、招致にまつわる不正送金疑惑や、見込みを大幅に上回る大会経費の問題など、その前途には暗雲が立ち込めています。
◆次々明るみに出る問題
昨年、当初計画されていた新国立競技場の建設費が大幅に見積もり額を超過することが発覚し、いったん白紙撤回された後、改めて選定が行われました。
また、エンブレムについても盗用疑惑が指摘され、撤回されるという問題が発生しました。
そして、今年になっても、仮設会場などの整備費用が招致段階の見積もりの約4倍となる約3000億円に膨らむ見通しであることや、現在の設計計画では、新国立競技場に聖火台が設置できない可能性があることが発覚するなど、甘い見通しや、ずさんな計画が次々と明らかになっています。
そして、今回の招致をめぐる不正送金疑惑です。
開催地を決める投票権を持ち、票を取りまとめる影響力もあったとされる人物の関連会社の口座に、東京五輪の招致委員会から2億円超もの資金が振り込まれていた疑いがあり、現在、フランスの検察当局が捜査に乗り出しているとの報道が今月に入りなされました。
この非常事態の中、本来、こうした問題に率先して取り組むべきなのは、ホスト都市のトップである東京都の舛添要一知事です。しかし、自身の不明瞭な政治資金の使い道や、公私混同とも言える公用車利用などの「政治とカネ」をめぐる問題で現在猛烈な批判を受けている舛添知事は、それができる状況にはありません。
◆責任明確にし、組織刷新を
遠藤利明五輪担当大臣が、1月の衆院予算委員会で「組織委員会も政府も把握していない」と答弁するなど、東京五輪の開催費用は政府ですらその全貌を把握できていません。大会組織委員長の森喜朗元総理にいたっては、3000億円と見積もった当初の運営費を、今になって「最初から無理があった」と言い出す始末です。
舛添都知事は、費用総額について、「3兆円を超すかも」と発言していますが、このままではこうした無責任な計画と費用の見積もりのしわ寄せで、国や都による補てんが発生し、国民の負担が大幅に増加する懸念があります。
これまで明らかになってきた問題に対し、国、東京都、大会組織委員会などの責任者が、それぞれに責任逃れとも取れる言動を行っていることは重大な問題です。これだけ大きな問題が山積している以上、きちんと責任の所在を明確にした上で、取るべき責任はきちんと取り、改めてみんなが一体となって五輪の開催に向けた準備を行える体制を整えなくてはなりません。
また、政府は、不正送金疑惑など五輪の精神に反する行為に対して、徹底的な調査を行い、真実を明らかにすべきです。
このままでは、東京五輪は、与党が進めてきた旧来型の公共事業と同じように、癒着や予算の肥大化という問題を抱えた、いびつなものになってしまいかねません。4年後、国際社会とともに、国民全員が納得してスポーツの祭典を迎えられるよう、徹底的な改革と立て直しを政府に求めていきます。(了)
スタッフ日記「そんなところに古賀政男」
ゴールデンウィークは撮りためていた春のセンバツ高校野球の試合をずっと観ていました。
今回は全体的に引き締まった試合が多い大会でした。優勝した智辯学園も例にもれず、準決勝でサヨナラ、決勝でも延長11回サヨナラなど、手に汗を握る好ゲームばかりでした。
ちなみに、優勝を決めたのはエースの村上投手のサヨナラタイムリーヒットですが、智辯学園は開幕試合に出場し、後攻だったので、大会の第1球目を投げたのも、決勝戦で大会最後のボールを打ったのも村上投手という、とても珍しい記録が生まれました。
ところで、智辯学園の校歌斉唱の際、作曲者に「古賀政男」とあるのを見つけました。古賀政男といえば、「東京五輪音頭」や美空ひばりの「柔」、「悲しい酒」その他多数の名曲を作った昭和歌謡の最大の重鎮です。そんなすごい人が作っているのも意外でしたが、歌謡曲らしい哀愁などみじんも感じさせない、明るくてのびやかなメロディーも「古賀メロディー」っぽくなくて意外でした。
歴史のある学校では、校歌の作曲者や作詞者に、山田耕作、芥川也寸志、北原白秋など、教科書で見たことのある名前が時々登場します。そうした「古い」校歌は抒情的であったり、行進曲風であったり、三拍子であったり、曲調こそ様々ですが、総じて歌いやすいメロディーラインで、歌詞にはその土地や学校の特色が織り込まれていて、胸が熱くなることもしばしばです。
最近はポップス調の校歌なども増えていますが、「古い」校歌を聞きながら、知らない学校に思いを馳せるというのも結構おススメです!(シズ)