第739号 トランプ現象が問う事

2016年5月14日 (土) ─

 アメリカ大統領選の共和党指名候補争いは、過激な主張で知られるドナルド・トランプ氏が指名を獲得することが確実となりました。

◆貧困増大が背景に
 トランプ氏のような、排外主張や特定グループへの強烈な批判などを行う政治家が人気を集める背景となっているのが、貧困層の増大です。

 アメリカは世界最大の経済大国ですが、いまや国民の7人に1人は貧困層で、その数は年々増加しています。また、大学の学費などの教育費は高騰し、進学を断念したり、多額の奨学金の負債を抱えこみ、返済に行き詰る例も増えています。

 このように格差が世代を超えて固定化しつつある状況は人々の不満を生み、その不満が、自らの仕事や利益が諸外国や移民、既得権益を持つ者に奪われているという考え方につながって、排外主義や急進的な社会変革などのトランプ氏の過激な主張を支えていると考えられます。

 アメリカ社会では伝統的に、貧富の格差や富の偏在そのものは、自由競争の結果として許容されてきました。しかし、大きな格差が固定化してしまうと、貧困層はそもそも自由競争のスタートラインにすら立てません。

 アメリカ軍事教範では、国際情勢について、「富の不平等な配分は、しばしば紛争の種である『持つ者』と『持たない者』を創りだす。グローバル化のテンポの増大に追いつけない国の住民は、苦しむと共に、不平不満を表現し、世界的な繁栄を人々が共有するという叶わない望みのため、過激なイデオロギーを信奉する傾向に向かうだろう。」と記されています。これは国家間の貧富の差について述べたものですが、皮肉なことに、そのような現象がアメリカ国内において発生してしまっているのです。

◆再分配で共生社会を実現
 貧困層が増加する一方で、富裕層はますます富を独占しつつあります。アメリカでは全体所得の約半分を10%の人々が所有しています。

 また、いわゆる「パナマ文書」が問題になっているように、超富裕層や大手企業が、国内での課税を回避するために資産を税金がかからない海外に移して温存し、それを投資に回してさらに増大させる、つまり富める者はますます富むという構造も見られます。

 アメリカに比べると小さいとはいえ、我が国でも経済格差は、年々進行しています。賃金の安い非正規労働者の拡大や、地方の衰退をこのまま放置すれば、アメリカのような経済格差社会が到来する恐れもあり、対策を急がなければなりません。

 私はかねてから「誰もが挑戦できる社会」を築くべきだと主張してきました。これを実現するには、機会の平等を確保する仕組みが必要です。海外への資産移転を通じた課税逃れを厳しく規制して累進課税を再強化すること、資産を持つ層への年金支給額を見直すことなど、税の公平性を維持した上での再分配政策を進め、貧困の拡大や世代を超えた貧困の連鎖が生じないようにすることが重要です。

 国民が格差により分断されない「共生社会」の実現を目指すことこそが今政治に求められる役割だと考えます。(了)

 

スタッフ日記「50泊、5500km」
 北海道5区補選の応援から帰ってきました!奈良からスギさんと特命係長が、東京からは私が遠征してきました。

 1月末から行ったり来たりで最終的には50泊、レンタカー走行距離も5500kmになりました。

 今年の冬は雪が少なかったそうですが、普段雪道などめったに走らないので、怖くて仕方ありません。スタッドレス履いているから大丈夫だ!と言われても、そもそも車線が全く見えません。地元の方にどうしているのか聞いてみると「車線?だいたいで走ってるよ!雪道で普通に転ぶし、車ぶつけたりもするよー」と笑って言われました…。

 そんな中、2月末に奈良事務所から「春のつどい」で流す映像撮影の依頼が来ました。出来るだけ寒そうに、雪が多そうに撮ろう!と思って取りかかりましたが、撮影した日はひどい吹雪でめちゃくちゃ寒く、細工するまでもありませんでした。

 さらに、がっつりご飯を食べているところを!という依頼には「代議士、B級グルメは自分から近づいて!目を開いて!」と骨付きラムを3度かじらせ、「なにラーメン食べるのに左手で手元見えなくしてるんですか、美味しそうに見えないじゃないですか!」と何度も味噌ラーメンをすすらせるなど、普段はできないような指示を飛ばし、楽しい、よい想い出となりました。(ハム)

第739号 トランプ現象が問う事