第741号 温暖化被害軽減へ提案

2016年5月28日 (土) ─

 24日、衆院環境委員会で質疑を行い、地球温暖化による被害の軽減策を実効的に進める法律の策定に向けた取り組みについて丸川環境大臣に質しました。

◆遅れる法制化
 アメリカ海洋大気局が、今年4月の世界の月平均気温は記録が残る1880年以降で最も高かったと発表するなど、温暖化対策は世界全体で待ったなしの課題です。

 対策には、2つの柱があります。

 一つは、温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を減らし、気温上昇を抑えていく「緩和策」です。

 もう一つは、「適応策」、つまり、防波堤整備や避難情報の提供などの水害対策事業や、気温上昇に適応する農作物への品種転換、デング熱などの感染症対策などを通じて、温暖化で生じる被害を最小限に食い止めることです

 温室効果ガスの排出削減を最大限行っても、温暖化による影響がすぐに止まるわけではありません。したがって、気温上昇を抑える「緩和策」と温暖化の被害に備える「適応策」は、地球温暖化対策の車の両輪であり、同時並行で進めていかなければならないものです。

 「緩和策」については、地球温暖化対策法で実施の目標や対策計画の策定が政府に義務づけられており、その中身は昨年12月のパリ協定を受け、今国会でも改正が行われています。

 ところが、もう一方の「適応策」についての根拠法は存在しません。そのため、現在は国交省、農水省、厚労省、経産省といった各省庁がそれぞれの所管の範囲内でバラバラに法的根拠のない計画を策定しているだけにすぎません。

 各省庁の個別対応では連携による相乗効果が期待できず、長期的な視点に立った取り組みも不足する恐れがあるため、被害軽減策には分野横断的な施策が必要不可欠です。また、自治体の協力も必須ですが、法的、制度的な裏付けが無いと、自治体としても取り組みにくいという問題が専門家から指摘されています。

◆軽減策の検討会議を動かせ
 こうした問題意識の下、私は、温暖化被害軽減のための対策をまとめた「適応計画」について、環境省が中心となって法制化を図るべきであると環境大臣に提案しました。

 法制化が実現しない背景として一部ささやかれているのは、予算や権限の削減を嫌がる他の省庁からの反対です。そこで今回、国交省、農水省、経産省にも法制化についての姿勢を確認したところ、「将来的に法制化の議論を排除するものではない」という答弁が得られました。

 それを踏まえて、丸川環境大臣から、法制化を含めて、気候変動への適応に関し、必要な施策を総合的かつ計画的に推進するため昨年末まで開催されていた関係府省庁連絡会議について、今後も開催し議論していく、という趣旨の答弁を引き出しました。放置されかかっていた連絡会議を再開するという方針を引き出したことは大きな成果です。

 今後は、政府に対し、私からも法案の具体化についての提案を行っていきたいと考えています。(了)

 

スタッフ日記「それぞれができること」
 先日、「○○町にて火災が発生、団員は現場へ出動」というメールが各消防団員に送られてきました。4月から団員となった私ですが、現場はおろか訓練にすらまだ参加したことがなく、私が行って何かできるだろうか?という不安のなか、消防作業着、ヘルメット、ブーツに着替えて現場へ向かいました。

 時間帯は深夜。多くの先輩方は既に駆けつけていましたが、私は初めて目にする「火災現場」に圧倒されました。 火柱が高くあがり、煙と灰が立ち上がって騒然とする現場は、壮絶そのもの、まさに一分一秒を争う状況でした。既に貼られていた規制線のテープをくぐって私は現場へ走りました。

 消火活動の最中はライトで現場を照らしたり、ポンプ車を移動させたり、地域の方の避難誘導を行うなど、団員の活動は後方支援がメインですが、ベテランの方は本職の消防士さんとの消火活動も行います。

 幸いその夜は怪我人はなく、1時間後には鎮火しましたが、その後ホースの巻き取り、再度火があがらないよう朝まで現場の見廻りをするのも私たちの役目です。

 急な事態に備えるためには日頃より、いかに実践、現場を想定して訓練できるか、その一言につきます。

 日々の防災は一人ひとり、自分に合ったやり方で行うことが大切です。消防団活動を始めるにあたり、自分にできることをする、無理せずに力まずにやろうと私も心に決めました。

 それぞれの立場で、できることを精一杯やる。大きな災害時にはこういった小さな気持ちが、大きな力や支えになるのだろうと感じました。(特命係長)

第741号 温暖化被害軽減へ提案