第722号 4月総選挙の可能性
8日、衆院予算委員会で補正予算審議が始まりました。
◆今国会の争点
今国会、特に重要な以下の3点については徹底的な議論が必要です。
1点目は軽減税率の財源です。政府が消費税引き上げの負担軽減策として提案している軽減税率導入には、毎年1兆円の財源が必要ですが、安倍総理は答弁で、この1兆円を捻出(ねんしゅつ)するために社会保障費を削減する可能性について触れています。
しかし、消費増税はそもそも社会保障に充てるために行われるものでした。つまり、これでは話が本末転倒になってしまうのです。もう一度制度本来の趣旨に立ち返り、議論しなければなりません。
2点目は社会保障の問題です。政府は年金生活者への支援として、住民税非課税の高齢者1250万人を対象に、3万円を1回限りで支給する補正予算案を提出しましたが、こうした場当たり的な一時金の給付は、根本的な社会保障の充実にはつながりません。
長期的な社会保障の維持・充実のためには、私が年金改革私案で提案してきたように、年金の最低保障機能の強化や、非正規雇用者への厚生年金の適用拡大、子育て世帯の保険料負担の軽減などが有効です。
高齢世代など特定の世代だけではなく、現役世代、子育て世代など、それぞれの実際の家計に幅広く着目し、より多くの人が恩恵を受けられる制度構築を図るべきです。
3点目は憲法改正の問題です。安倍総理は、予算委員会で「当然、きたるべき選挙においても、われわれの示す政権構想のなかで示していくことになる」として、憲法改正が今夏の参院選の選挙公約になりえることを示しました。
昨年強行採決した安保関連法案との絡みなどから、総理が念頭に置いているのは憲法9条の改正であると考えられます。ただ、安保法制については矛盾点や不明確な点がいまだ山積しているため、憲法改正とともにさらなる審議が必要です。
◆国会論戦と解散カード
以上の争点はどれも政権にとって一筋縄ではいかない課題です。
そこで、特に悲願である憲法改正実現のため、安倍総理が衆参同時選挙、もしくは、それよりも早い、予算成立直後の3月末の衆院解散→4月総選挙を行う可能性があると考えます。
ここには、不意打ち的な解散総選挙で足並みのそろわない野党に勝利し、その勢いで参院選も有利に進めれば、国民からの白紙委任を受けたとみなし、憲法改正を進めてゆける、そうした戦略があります。
総理は衆参同日選を「全く考えていない」と述べていますが、一方で、政権に近く、憲法改正に前向きなおおさか維新の会に憲法改正に向けた協力の要請を行っています。これに対し、おおさか維新の馬場幹事長は、「ぜひ仲間に入れてもらいたい」と反応するなど総選挙に向けた駆け引きはすでに始まっています。
政府与党の動きに対し、後手に回ることは避けなければなりません。党の選挙実務を指揮する立場として、野党連携や候補者擁立などの選挙準備を急いで進めて参ります。(了)
スタッフ日記「自分たちの町は自分たちで守る」
昨年の漢字一文字には不安の「安」が選ばれ、世間では災害に対する関心が高まっています。
先日、1月恒例の消防出初式が奈良市でも行われました。
私たちが日頃住んでいる地域には消防団があり、『自分たちの町は自分たちで守る』をスローガンに、一般市民の皆さんがボランティアで地域防災の要として日々活動をしています。
活動内容は、地区の消防本部や消防署と連携して、火災の予防や警戒、鎮圧などを行うほか、例えば奈良市では、地域での救急フェア、消防フェアへの参加、歳末特別警戒、若草山山焼き警備などの任務もあります。
しかし、最近では高齢化や担い手不足で団員数の減少が進んでおり、有事の際の地域の安心・安全が危ぶまれる、そんな事が危惧されています。
以前は、コミュニティーの中で「先輩が後輩を誘う」というシステムが存在していましたが、地域内の交流が希薄になったり、職種が多様化して仕事との兼ね合いが難しくなったりした結果、どの地域でも団員確保に苦戦をしている模様です。
そんな中、いま注目されているのは、大学や専門学校の学生団員の存在です。消防庁によると、全国の消防団員数が1956年の183万222人から年々減少し、昨年は85万9995人にまで落ち込む一方、学生団員はこの2006年からの9年間で2.4倍になり、3000人を突破したそうです。私と同年代の人達がこんなに消防団活動をしていることは本当に心強いことです。
今年は、安心・安全の「安」が選ばれるよう、そして、若者力が社会に大きく参加できる、そんな1年になればと私も決意した年始でした。(特命係長)