第688号 拙速な審議を許さない

2015年5月23日 (土) ─

 15日、集団的自衛権行使を視野に入れた安全保障関連法案が衆議院に提出され、17日には大阪都構想が住民投票で否決、さらに20日には党首討論が行われるなど、この1週間で大きく政治が動いています。一方で、会期終盤の国会では多くの重要法案の審議が積み残されています。

◆今国会の主な法案
 今一番話題になっている安保関連法案は、武力行使できる事態を広げるという点で、我が国の外交防衛の姿を大きく変える法案ですが、その他にも、各政策分野において、重要法案が続々と提出されています。

 まず、経済産業委員会では電力会社の発電事業と送電事業の分離を規定する電気事業法改正があります。送配電事業が分離され、中立公平に送電網が運用されることで、自然エネルギー事業者等の新規参入がしやすくなることなどが期待されています。

 厚生労働委員会では、労働法関連の改正があります。労働者派遣の緩和、すなわち、事業所が人を一定期間で替えることで派遣労働者を使い続けられるようにする法案や、一定の年収以上の労働者に対して残業代の支払いを免除する法案が予定されています。

 そして、内閣委員会では刑事訴訟法の改正があります。一部の事件につき捜査機関による取り調べの録音・録画を義務化するとともに、犯罪を犯した人が、他人の犯罪について、供述や物証などで捜査協力するのと引き換えに刑の減免を受けることが出来る司法取引制度の新設が予定されています。

◆安倍政権の意図
 これらの法案は、それぞれエネルギー、労働、司法の基本政策に関わるもので、様々な立場の意見に丁寧に耳を傾けながら十分な審議時間を経た上で成否が決められるべきものです。しかし、安倍政権は、多くの法案を国会終盤になってようやく議論の俎上に乗せ、限られた時間の中で一気に成立を図ろうとしています。

 その背景としてあげられるのは、先月行われた統一地方選挙です。世論を二分しかねない安保関連法案や原発問題等を争点化せずに地方選をやり過ごし、選挙が終わって、来年の参議院選挙まで猶予があるこの時期に、短期間の議論のみで集中して重要法案を成立させようという政権と与党の意図が透けて見えます。選挙の結果、与党が堅調だったことで、政権と与党の思い通りに事が進んでいると言えます。

◆拙速な法案審議は許さない
 今国会の会期は6月24日までの予定で、延長されたとしてもせいぜい8月までです。この短期間に生活や国家のあり方に密接に関連するこれらの重要法案全てについて充実した審議を行うことは不可能です。

 また、主権者である国民に対する説明という意味でも、このように短期間に次々と重要な法案を提示するやり方は、責任ある姿とは言えません。例えば安保関連法案は11本の法律が2本にまとめて審議されようとしていますが、1本1本じっくりと審議する必要があります。

 拙速な法案の成立は決して許さず、慎重な国会論議を求めることで、国民を含めた議論への道を開いていきます。(了)

 

スタッフ日記「Honey bee(ハニービー)」
 先月、首相官邸屋上に放射能マークのシールが貼られた容器つきのドローンが放置されていて話題となりました。先日も15歳の少年がドローンを飛ばすとネット配信して逮捕されたり、時々首相官邸の屋上に双眼鏡を持った警官が立っていたりして、国中がドローンに過剰反応しているような気がしています。

 ドローンというネーミングがまたオドロオドロしいですが、もとは軍事技術から派生したもので、コンピューターで自立飛行する無人航空機をドローンといい、送信機を使って遠隔操作をおこなうラジコンとは異なるのだそうです。が、使用する人の意図次第では、規模が違ってもどちらも同じような気がします。

 昨日の朝、議員会館に入る手前で上空を見上げると、参議院議員会館の上に白いものが見えました。目を凝らすとラジコンがゆっくりと旋回しているではありませんか。

 すぐさま警備員さんに、あそこ、ほら、ラジコンらしいものが飛んでますよ!!といったのですが、警備員さんは「あーそうですね。」と無反応です。シズちゃんも「どこかの暇な議員が趣味で飛ばしているんじゃないですか」と冷たいことを言います。

 「えー趣味でこんな場所でラジコン飛ばす人いるか?」と思いました。が、そう言えばいたのです。代議士です。古い会館の時、空いた時間に議員室でHoney beeという室内ラジコンを飛ばしていたことを思い出しました。そしてそれが窓の隙間から外に飛んで行ったことも。

 代議士が今度はドローン買おうかな・・・と言わなければいいのですが。(チョロ)

第688号 拙速な審議を許さない