第672号 サイバー攻撃への対策強化
9日、議員立法として与野党で共同提出し、先の臨時国会で成立した、サイバー攻撃への対策強化のための「サイバーセキュリティ基本法」が施行されました。
◆増加するサイバー攻撃
サイバー攻撃とは、ネットワークを対象に行われるコンピュータウイルスの大量発信などの攻撃を指し、情報漏えいや接続障害などの被害を生じさせることです。
攻撃の97%(2013年)が海外からのもので、最近では、米国でソニー傘下の映画会社が、海外からサイバー攻撃を受けた事例が挙げられます。我が国においても年々増加しており、政府機関等への攻撃は、2012年から2013年にかけて5倍に増加し、実に6秒に1回発生している計算となります。
2020年の東京オリンピック開催を控えているという観点からも、我が国においてサイバー攻撃への対策は急務です。2012年に開催されたロンドンオリンピック・パラリンピックでは、開催期間中、約2億件の攻撃が発生しましたが、イギリス政府は6年前から対策を準備していました。
これまで我が国は、諸外国に比べて体制面の整備が不十分とされてきました。このような現状に対し、対策強化のための体制作りを推進しようというのが今回施行されたサイバーセキュリティ基本法です。
具体的には、内閣に「サイバーセキュリティ戦略本部」を設置し、司令塔として他機関と連携しながらサイバーセキュリティの戦略案を練ったり、各省庁の対策についての勧告を行うなどしてサイバー攻撃への対処を行います。また、国の行政機関でサイバーセキュリティ上生じた重大な事態に関して、戦略本部に原因究明のための調査を行う権限を与えるなど、強い権限をもってセキュリティの確保にあたることになります。
◆残された課題
こうしたサイバーセキュリティ確保に向けた取り組みは第一歩に過ぎず、今後に残された課題もあります。
今回の法律は国の行政機関におけるサイバーセキュリティの確保を中心に制度設計されており、民間分野におけるサイバーセキュリティの構築はまだ手つかずです。民間企業といっても、特に通信や鉄道事業などは、社会インフラとして国民の生活に密着しており、サイバー攻撃を受ければ国民生活に重大な影響を与えるおそれがあります。実際、国内の情報通信、鉄道等へのサイバー攻撃は、2012年度には76件だったものが、2013年度には133件へと倍増しており、今後も増加していくことが予想されます。
もちろん、行政が民間企業に過度な干渉を行って自由な経済活動を阻害すべきではありません。また、個人のプライバシーや国民の「知る権利」への配慮も必須です。しかし、国境を超えたサイバー攻撃は、米国の民間企業である映画会社への攻撃のように、脆弱な部分を容赦なく狙ってきます。今後は、企業の自由な経済活動や個人の権利等に配慮しつつ、企業や業界の取り組みを強力に支援し、官民が緊密な連携を図る仕組みや体制を整備していく必要があると考えます。
今後、サイバーセキュリティ戦略の策定に議論が移りますが、日本を取り巻く状況を冷静に見定めつつ、国民生活を守る観点から、官民一体となったサイバーセキュリティの構築に全力で取り組んで参ります。(了)
スタッフ日記「奈良に住むひと」
ご縁があり、1月よりまぶち事務所で政策秘書としてお世話になることになりました。皆様よろしくお願い致します。
文化財めぐりが趣味の私にとって、奈良はいつ行っても心躍らされる土地です。何しろ1000年以上の時を経た木造建築や、仏像などの文化財がこれほど多く残っているのは、世界でも奈良だけなのですから、その素晴らしさは語り尽くすことが出来ません。
古事記には「奈良は優れた土地だなあ」という意味の「やまとは国のまほろば」から始まる歌がありますが、遥か古代から現代に至るまで豊かで住みよい土地であったからこそ、これほど多くの文化財が生まれ、保存されてきたのでしょう。
文化財には、それらを造って魂を吹き込んだ人たちの姿と思いだけではなく、1000年以上にわたって拝み続けてきた人たちの姿と思いもにじみでているように感じます。それは例えば大仏や、阿修羅像、四天王のような有名なものから、観光などでは光の当たりにくいものに至るまで変わりがありません。みなそれぞれ時を超えて大切にされ、受け継がれる中で、いつしか土地の人々とともに生きる存在となったのでしょう。そうした人々の姿や思いを想像することが、私が文化財めぐりをする際の1つの楽しみでもあります。
そういった意味で、文化財めぐりをする際は、単に観賞や拝観ではなく、郷土の人に会いにいくという感覚になります。
奈良には幾度となく伺っておりますが、まだ出会えていなかったり、再開が待ち遠しい「奈良に住むひと」を訪ねることを今後も楽しみにしております。(アタリ)