第628号 決意と覚悟の官邸申入れ 

2014年3月1日 (土) ─

 26日、政府が検討している原子力損害賠償支援機構法一部改正(原賠・廃炉機構法案)について官邸申入れを行いました。

◆法案修正へのアプローチ 
 これまでお伝えしてきた通り、福島第一原発の汚染水・廃炉対策が場当たり的・後追い的になってきた原因として、民間企業である東京電力のみが対策を担うという体制的問題があります。事業者、特に経営陣にとって事故処理は、投資によって収益を生まないにもかかわらず、長期にわたって巨額の費用を必要とする「負担」にすぎません。そのため、これまでも遮水壁や汚染水タンク設置をめぐり、経営の論理によって必要な対策が取られないという事態が度々起きてきました。 

 この状況を断ち切るため、私は、昨年9月の集中審議で質疑に立った後から、国が廃炉を主導する「廃炉機構」設置を提言し、議員立法の準備を進めてきました。一方、政府も昨年末から、こちらの動きに呼応し、東電の賠償資金を支援している原賠支援機構に廃炉業務を追加して「原賠・廃炉機構」とする法案の検討を進めてきました。 

 このような状況で、政治的選択肢としては、①政府案が国会提出されると同時にこちらも議員立法で対案を提出し、国会論戦の中で修正を勝ち取る、②国会提出前、政府案の立法作業中に、政府申入れや独自ルートも使いながら、こちらの主張を盛り込ませるべく働きかける、の2つがあります。外から見たときの分かりやすさという点では①に分がありますが、衆参ともに与党が多数を握る国会では、与党に法案修正をのませることは至難の業です。熟慮の末、今回私が選んだのは②のアプローチでした。

◆野党でも廃炉を前に進める 
 政府内で立法作業中の法案に、野党から修正意見を盛り込むことは極めてハードルの高い作業です。政府からの情報は限られ、また、与党調整の中で内容も変わってきます。その中で、法案の根幹部分を把握し、どこにどのように手を加えれば、目指すべき方向に向かうのか、その見極めが重要です。 

 今回、目をつけたのは、原賠・廃炉機構の意思決定機関の独立性確保と調査権限です。機構の意思決定機関が、電力会社や原子力メーカーなどの「原子力ムラ」の人間で占められてしまえば、結局は東電の言いなりになってしまい、これまでと同じです。そこで、意思決定機関に、「原子力ムラ」と関係を有しない海外の廃炉技術者や専門家を複数名入れることとし、機構の独立性を担保すべきことを申入れました。また、情報提供を渋る東電に対して、国と機構のチェック機能が働くように、国と機構への情報提供義務を課すことなども提言しました。 

 官邸申入れ前には、法案の担当大臣である茂木経産大臣に、実務レベルで詰めの協議・申入れを行いました。非公表の会談であったため、記者の間では「一体何事か!?」と様々な憶測が飛び交ったようですが、要は、単なるパフォーマンスではない政府申入れにするために私はひたすら実務に徹していました。今回の官邸申入れは、野党の立場にあっても、廃炉を前に進める私の決意と覚悟の申入れです。 
法案は28日に閣議決定され、そこには申入れ内容の一部が盛り込まれました。(了)

 

スタッフ日記「とある喫茶店で」 
 ある日の昼下がりのことです。大阪の中心街の一角の感じのいい喫茶店に入り、ランチを待っていると、静かな店内にサラリーマン風の3人組が飛び込んできました。 

 注文を済ますと3人は行きつけの店のママさんの話などをはじめ、それもひと段落した頃、中の1人が急にトーンを変えて次のような話を始めました。 

 まだ高度経済成長の真っただ中、佐藤栄作総理がイスラエルを訪問した時の話です。日程を滞りなく済ませ、総理が控室に通されると部屋の奥に見慣れない東洋人の老人が着座していたというのです。 

 一国の総理の控室に、先にゲストがいるというのは普通は考えられないことです。あり得ない状況に同行した人も皆、大いに戸惑ったとのことでした。 

 後の歓迎セレモニーでその人の事が明らかになります。 

 その老人は、第二次世界大戦の激動の最中のヨーロッパで、ナチスヒトラーの迫害から逃れようとするユダヤ人に対し、日本への手書きのビザを書き続けたとされる元外交官、杉原千畝(ちうね)さんでした。 

 彼の書いたビザにより日本を経てアメリカへ逃れる事が出来たユダヤ人は数千に上るとされています。しかしそれは日本の本国の訓令を無視した行為であったため、杉原さんのその後の外交官としての人生は決して恵まれたものでは無かったそうです。 

 ただ、半世紀以上を経ても杉原さんはイスラエルで、そして舞台となったリトアニアで最も愛される日本人なのだそうです。 

 佐藤総理との控室でのエピソードの真偽は定かではありません。ただその日、気がつくと僕の目の前の定食はすっかり冷めていて、店を出た時の空が妙に青く眩しかった記憶が今も鮮明にあります。(チュウ)

第628号 決意と覚悟の官邸申入れ