第584号 衆院選挙制度改革 

2013年4月6日 (土) ─

 昨年成立した緊急是正法に基づき、先月28日、衆院選挙区画定審議会が「1票の格差」を是正する区割り改定案を首相に勧告し、衆院選挙制度改革をめぐる与野党の議論が本格化しています。政府は勧告を反映した公選法改正案を4月中に国会に提出し、今国会での成立を目指すとしていますが、今回はその課題について考えます。

◆「0増5減」の問題点 
 勧告は5県の選挙区を3から2に減らす「0増5減」を基本に区割りを見直し、2010年の国勢調査で最大2.524倍だった格差は、変更後は1.998倍となり、違憲の目安とされる2倍を僅かに下回りました。しかし、変更後も格差が1.9倍以上の選挙区は23に上り、2010年以降の人口移動等を考慮すれば、格差はすでに2倍以上に広がっています。 

 加えて、今回の区割りでは、最高裁が問題視した「1人別枠方式」が実態として維持されているという問題があります。最高裁は2011年の判決で、全都道府県にあらかじめ1議席を配分する1人別枠方式が格差の要因だとして廃止を求め、昨年成立した緊急是正法で条文上、1人別枠方式は廃止されました。しかし、今回の区割り改定案は、1人別枠方式を基に決めた都道府県の定数を一部見直しただけで、実態は1人別枠方式が維持されています。先の衆院選をめぐる違憲訴訟でも、札幌高裁などが、小選挙区を5減とする緊急是正法は、1人別枠方式を違憲とした2011年最高裁判決の趣旨とは「質的に異なる」、「格差是正の措置とは到底言い難い」旨判示しています。 

 1票の格差是正に早急に取り組む必要があることは当然ですが、複数の高裁判決で0増5減を定めた緊急是正法について憲法上の疑義が指摘されている中で、それを無視して公職選挙法改正案を成立させることには慎重であるべきです。

◆格差是正と抜本改革 
 与党は、0増5減の格差是正を先に措置した上、定数削減を含む選挙制度の抜本改革を議論すべきとの主張です。しかし、上記の通り、一連の司法判断を踏まえれば、0増5減では格差是正としても不十分であり、格差是正のためには、小選挙区数の人口比例配分等を含めた抜本的是正措置が必要となります。その意味で、0増5減を先行すべきとの主張には、その前提に根本的な問題があります。 

 このため、民主党は、格差の抜本的な是正のため1人別枠方式を完全に廃止し、小選挙区数を人口に比例して各都道府県に配分すること、また、小選挙区30、比例50の合計80の定数削減案を提示し、今国会中の法改正を主張しています。

◆選挙制度改革の意味 
 国民主権のもと、主権者である国民の意思は、選挙によって議員を国会に送り出すことで反映され、その国会議員の中から内閣総理大臣が選ばれます。そして、最高裁判所長官は内閣が指名します。すなわち、選挙制度は、立法・行政・司法の三権が、主権者である国民から正当性を与えられる根幹部分を支えるものであり、憲法の要請にかなう選挙制度を構築していくことは、立法府に課せられた使命です。党政治改革推進本部・事務局長としてその重責を感じながら粘り強く与野党間の交渉を進めていきます。(了) 

 

スタッフ日記「10年ひと昔」
 はじめまして。私は2月から経済産業委員会、国交省インターンをしている大学生です。 

 先日、「奈良を盛り上げる」という目標でインターン生が企画をし、小学生を対象にしたサッカー教室を開催しました。身近に小学生の子がいないので、最初のうちはどのように接してよいのかわからず、ちょっと戸惑うこともありました。でも、サッカーを通じて子供たちとも仲良くなり、サッカー教室が終わったあと、「もっと一緒に遊ぼう!」と言ってくれた時にはとてもうれしく、この企画をしてよかったなと思いました。 

 サッカー教室が終わってから電話を掛ける用事があり、携帯電話(折りたたみ式)をポケットから取り出すと、その小学生が「その携帯古くない?ダサすぎ」と一言。なんとその小学生はスマートフォンを愛用しているらしいのです。 

 私が小学生のころ、周りで携帯電話を持っている子はほとんどいませんでしたし、もちろんスマートフォンなんてありませんでした。まさかこのサッカー教室でジェネレーションギャップを感じさせられるとは思いませんでした。 

 10年ひと昔とよく言いますが、まさにその通りだと感じました。次の10年でどうなるのか今まで以上に楽しみになってきましたし、私自身も時代の流れに乗り遅れないようにしなければならないと思う今日この頃です。(まやや)

第584号 衆院選挙制度改革