第576号 「国土強靱化」を斬る 

2013年2月9日 (土) ─

 今週、国会では、衆参両院の本会議で、麻生副総理兼財務大臣による財政演説及びこれに対する各党の代表質問が行われ、2012年度補正予算案の審議が始まりました。一方、自民党は、防災事業や高速道路の整備などを進めるための「国土強靱化基本法案」を2月中にも議員立法で国会に提出する見込みです。補正予算案における公共事業を中心とする財政出動に関する問題点については、これまで指摘してきましたが、今回は、その先にある国土強靱化基本法案に潜む問題点について私の考えをお伝えします。

◆国土強靱化基本法案とは? 
国土強靱化基本法案は、「国土の均衡ある発展」をうたい、防災強化や国土強靱化を総合的に進めるための基本計画を策定する内容で、自民党幹部からは「10年で200兆円」規模の投資を目指すとの声も上がっています。自民党が昨年6月に提出し、審議されないまま廃案になりましたが、2月中に議員立法で再提出される見込みです。

◆時代遅れの国家ビジョン 
 第1の問題は、同法案には、人口減少時代に、国土をどのように効率的に活用するかという次世代型のビジョンがないという点です。「基本理念」に掲げられている「多極分散型の国土の形成」「複数国土軸の形成」といった目標は、過去、人口増加・高度成長時代の国土計画等において掲げられていたものであり、全国にまんべんなく投資する発想に基づいています。

 本来ならば、人口減少時代であるとともに、常に諸外国との競争にさらされているグローバル時代であることを考慮すると、限られた財源のもと、今後いかに国土を効率的に活用し、国際的に通用する都市圏を形成するかなど、選択と集中を考慮した国土計画を考えるべきです。 

 また、防災減災対策についても、東北の被災状況を見て分かる通り、防潮堤等のハード対策はその効果に限界があり、急ぐべきは防災組織の整備や避難誘導訓練等の地域防災力の強化、広域的な支援体制の強化等の主としてソフト対策です。

◆事業規模ありきの計画経済 
 第2の問題は、「当初3年間を国土強靱化集中期間とし、15兆円を追加投資」「10年で200兆円」といった事業規模ありきの発想です。これは、批判を浴びて姿を消したかつての「道路整備五箇年計画」などと同じ発想です。事業規模ありきの計画では、必要な事業の積み上げでないため、無駄な事業が生じる温床となりかねません。

◆地方に公共事業計画を強要 
 第3の問題は、同法案が、都道府県さらには市町村にも公共事業計画を策定することを求めている点です。現在の自治体の財政難の一因として、過去に国の景気対策につきあわされてきたことが挙げられます。国が主導する公共事業計画では、自治体が今後さらに財政難に陥る要因となりかねません。同法案は、地方分権の発想が抜け落ちており、国主導の国土計画という時代を逆行する内容となっています。 
この他、関連する既存法令との整合性の確認も必要である等、国土強靱化基本法案に潜む問題点は多岐に渡ります。国会審議では、これら問題点を厳しく追及していきます。(了)

 

スタッフ日記「元気になる入浴」 
 寒暖の差が激しく体調を崩しやすい天候が続いています。まだまだ寒い日にはスーパー銭湯や温泉など広い湯船にゆっくりと浸かるのが好きです。 

 ただ、私は風呂からあがるとなぜか体中汗ビッショリで、激しい運動でもしたような状態になるので、かなり長い時間をかけて体を冷ましています。周囲を見ても風呂あがりにこんなにも疲れた状態になっている人はおらず、果たして本当に体にいいのかと疑問に感じていました。 

 いつも私は銭湯で41℃に20分程度の入浴というのをやっているのですが、これは体温が38℃くらいになった時に出現する熱ショックタンパク質というものが、傷んだ細胞を修復して、免疫細胞の働きを強化し、血管を若返らせるのだそうです。このように説明すると少し難しくなりますが、要は、とても体を元気にする入浴方法なのだそうで、テレビにも紹介されていました。 

 ただ、そこまで自分が元気になる実感はないなと思っていると、この入浴法は最低でも週に2回は行わないといけないので、たまにしかしていない私の場合は、単純に長風呂して疲れているだけのようです。 
とある調査では、20代から60代のうち、実に7割ほどの方が何かしらの不調を長期的(半年以上)に感じているのだそうです。風邪やインフルエンザが流行っていますので、体調が良くない方もおられると思います。日々の入浴で体の芯まで温めて、体を元気にしてしっかりと日々活動したいと思います。(お松)

第576号 「国土強靱化」を斬る