第536号 再稼動に向けての新基準 

2012年4月14日 (土) ─

 政府は4月6日「原子力発電所の再起動に当たっての安全性に関する判断基準」(新基準)を総理、官房長官、経済産業、原発事故担当の4閣僚により確認しました。これは検討・策定にたったの2日、しかも事故の直後から今日まで批判され続けてきた保安院が策定するという泥縄状態での決定となりました。

◆事故後の再稼動への経緯
 昨年6月、当時の海江田経産大臣は、事故後に電力11社に指示し、実施された緊急安全対策が終了したとして安全確認終了を宣言しました。当時、総理補佐官として陸・海・空で漏れ出ている放射性物質の汚染拡大防止策実施に取り組んでいた私は、地震による損傷の可能性が否定できないという結論のもと対応に当たっていたので、事故の原因を「津波によるもの」とほぼ特定した対策案の緊急安全対策を実施しただけで安全を宣言する、その決定に耳を疑いました。 

 その後、菅総理の指示により安全宣言は出されたものの、再稼動に向けてはストレステストの実施が課される事になりましたが、ストレステストは本来余裕度を見るだけのものであって、安全性を高めるものではないため、ストップをかける理由としては理にかなうものではなく、大きな違和感が残りました。 

 そして、野田内閣に代わり、ストレステストが継続される中、いよいよ目前に迫った関西電力大飯原発再稼動に向けて、官邸の指示により改めて「わかりやすく」判断をするために新基準が行われたのです。 

 ただ、その判断の材料となるのは、私が強く主張してきた事故原因の特定による安全基準の見直しではなく、相変わらず緊急安全対策の実施とストレステスト一次評価であり、昨年6月から何も変わってはいないと言わざるを得ないものでした。

◆新基準の問題点 
 新基準に目を通して不思議に思ったのは、原子力ムラが、想定外の地震が発生したとしても電源と冷却機能さえ確保できていれば最悪の事故は防ぐことが出来た、という認識に立っている事です。しかし、その根拠は推測に過ぎません。実際福島では想定外の地震動が観測されており、他の原発においても本当に安全機能を保持できるか保証はありません。政府が「影響はあったが証拠がないだけ、もしくは大きな地震動が発生したのに偶然影響がなかった」のいずれかと考えているなら、このような推定をもとに対策を判断することは、想定外の事態をあらかじめ容認していることに他なりません。 

 現実に柏崎、福島と今日までに想定を超える地震動が立て続けに起きているにもかかわらず、反省もなく、根拠も示さずに作られたこの基準が妥当なものとは思えません。どんな地震が起きても大丈夫な基準を作ることこそ、今回の事故の最大の反省のはずなのです。  

 このように、経緯を見ても、さらにはその中身についても不十分といわざるを得ない新基準による再稼動が今まさに行われようとしています。先日の消費増税議論の時に「増税ありき」と言われたのと同様、また「再稼動ありき」と言われないためにも真摯な対応が求められます。 

 昨年の3月26日以来94日間、政府の一員として原発事故対応に全力で取り組んできた者として心から望む所です。(了)

 

スタッフ日記「いま、酵素シロップを作っています」 

 先日、「酵素シロップ」教室へ行ってきました。 

 酵素とは、消化吸収を助けたり、筋肉を動かしたり、身体にとって大変重要なはたらきをします。発酵食品に多く含まれているのですが、不足すると、免疫力が低下して、病気やアレルギーになりやすくなります。デトックス(体にたまった毒素を排出する)効果もあるそうです。 

 酵素シロップは、旬の果物、野菜、野草などと砂糖を一緒に発酵させ、味噌やぬか漬けなどと同じように、手でかき混ぜることで発酵させて作ります。約1週間(冬は2~3週間)でできるので、わりと簡単です。 

 教えて下さるS先生は、葉山在住の一児の母。大震災をきっかけに、「身体の免疫力を上げる酵素シロップを色々な人に知ってもらいたい」と教室を始められたそうです。先生いわく、おいしくつくるコツは、「おいしくなぁれ」と思いながら愛情をこめてかきまぜることだとか。 

 翌日から、朝晩2回かきまぜる生活が始まりました。不思議なもので、やりはじめるとかきまぜるのが楽しみになってきて、そのうち自然と「おいしくなぁれ」という愛着がわいてきます。子供の頃、祖母がぬか漬けを作っていましたが、同じような気持ちだったのかな?などと思ったりもします。 

 作りはじめて約2週間。私の酵素シロップももうすぐ完成です。出来上がるのが楽しみです。もしかすると、数ヵ月後、見違えるほど肌がきれいになっているかもしれませんよ。(まーちゃん)

第536号 再稼動に向けての新基準