第486号 原発事故対応3

2011年4月30日 (土) ─

 総理補佐官就任以来、原発事故対応にあたる日々ですが福島県や東日本のみならず国民の皆さんの安心と安全のために、なんとしても事態を収束させなければなりません。連日、知恵を絞りながらそれこそありとあらゆる事態に対応すべく、事に当たっています。

◆中長期対策
 東電が17日に発表したいわゆる「工程表」では中期の目標までが定められていましたが、最終的には放射能の封じ込めまでを想定した長期対策が必要なのは言うまでもありません。したがって、この中長期対策チームのミッションは、東電の工程表には記されていない長期対策やあるいは中期対策でも補うべき部分を検討提案することでもあります。

◆飛散防止対策
 発災後に最初に大きくメディアに取り上げられたのが、いわゆる水素爆発後の放射性物質の飛散防止対策でした。放射性物質を含む粉塵等が風で舞い上がったり雨に流されたりすることによる土壌や海洋の環境汚染が懸念されます。これを防ぐために中長期対策の初期段階に、飛散防止の目標が掲げられました。その一つは粉塵の飛散防止剤の散布です。樹脂を含んだ特殊材料による固着効果で粉塵を固めるもので、サイト全域並びに建屋にまでこれらの散布を施す計画です。すでにサイトの平坦部への散布を実施しており、今後は建屋への散布により爆発による放射性物質の飛散を防ぎます。
 そして、二つ目がカバーリングです。これは原子炉建屋に覆いをかぶせることによりさらに粉塵の飛散を防止することが目的です。もちろん、冷温停止状態にするための冷却を保持しつつさらにはフィルター等で放射性物質の除去を図りつつ換気を行うシステムを内装したものでなければなりません。建屋が崩壊している1、3、4号炉についての検討を進めています。

◆地下水対策
 飛散防止を行うと同時に進めなければならないのが地下水対策です。サイト外にまで漏出している疑いのある汚染水の遮断が急務です。そのためには漏出個所が特定できない現状において、サイト全体を地中壁などで遮断してしまう方法が検討されています。詳細な地層の把握から始まり、地下水の浸透流解析などにより地下水の挙動を把握し完全に遮へいしていくことが必要です。そのうえで迅速な施工が可能な工法の検討や環境影響評価を並行して実施していかなければなりません。極めて実務的かつ現実的な検討が求められます。

 連日、朝から晩まで、東電、経産省、そして官邸スタッフ、さらには関係機関に有識者、諸外国機関と協議、連携しながら一つ一つ着実に詰める作業を繰り返しています。残念ながら、まったく奈良に戻る時間が取れませんが、この国難の時に地元を代表して事に当たっているのだと自らを鼓舞しています。 (了)    

 

まぶち@国会「総理大臣補佐官(ソーリダイジンホサカン)

 日本国の行政府、内閣の首長である首相に与えられている職務範囲は多岐にわたり膨大です。

 その首相の補佐をするのが、総理官邸内に組織されている内閣官房です。内閣総理大臣を直接に補佐・支援する機関で、官房長官、官房副長官、危機管理官、官房副長官補、広報官、情報官、そして総理大臣補佐官で構成されています。

 補佐官は総理大臣の直属で、時の重要政策に関して総理大臣に直接進言、意見を具申することを職務とし、また省庁横断的な調整役として困難が予想される場合に登用されます。現在補佐官の定員は5名ですが、常設ではなく置かなくても問題はありません。政策決定に政治的な視点や民間の発想を取り入れることが目的で、任命は国会議員に限らず民間からの起用も可能です。

 日本で首相の相談補佐役が設けられたのは1993年細川内閣からで、その後1996年に内閣法の一部改正を行い内閣官房内に国家公務員特別職として設置されました。また小泉内閣の時から各補佐官の担当業務を官報に掲載し公表することとなり、各補佐官の役割を明確にしています。官邸内の補佐官室は5名が机を並べ1つの部屋を利用しておりますが、それぞれ緊急課題対応に従事しており、5人が揃って机に向かっている場面はほとんどありません。        

第486号 原発事故対応3