第469号 法人税引き下げ

2010年12月18日 (土) ─

 菅総理は13日、国際的に見て高すぎる法人実効税率を5%引き下げるよう指示し、16日、来年度の税制改正大綱を閣議決定しました。

 主要国の法人実効税率は、欧州では30%前後、アジアは20%台が主流で、シンガポールに至っては17%となっていますが、日本は40.69%と突出して高く、主要国が税率を引き下げる中、10年以上も放置されたままでした。

 これまで法人実効税率が高いことで日本企業の国際競争力が削がれるほか、生産拠点を税金の安い海外に移転する動きが進んでおり、ひいては雇用にも影響を与えることが危惧されておりました。このため6月に閣議決定された新成長戦略では「法人実効税率の主要国並みへの段階的引下げ」が盛り込まれました。今回の措置はその第一弾となります。世界水準の投資・事業環境を整備することにより、民間企業が守りから攻めの経営に転換し、積極的な投資と国内雇用の拡大に取り組むことが期待されます。これにより所得が増加し、消費が刺激されるという好循環をつくり、デフレ脱却の第一歩としなければなりません。

◆財務省VS経済産業省
 今回の税率引き下げに至る過程では、政府税調で財務省と経済産業省の間で激しいやり取りがありました。財務省は法人税を5%引き下げた場合の減収規模について税収好調時と税収低調時に分けて試算を行った結果、国税は1.4から2.1兆円、平均1.7兆円の減収となり、地方税は2400から3600億円の減収で、平均3000億円の減収となると主張しました。政府税調では減税には見合いの財源確保を行う「ペイ・アズ・ユー・ゴー」を原則としており、これに従うと国税でも最低1.4兆円の見合い財源が必要ということになります。財務省は一部の税金を例外的に増減税している租税特別措置(石油化学製品の原材料となるナフサへの免税措置など)の大幅な切り込みなど同規模な代替財源の提示を強く求めました。

 一方、経済産業省は税率の5%引き下げを実現した場合、2013年度の実質国内総生産(GDP)押し上げ効果として国内投資・回帰効果5.3兆円、海外移転抑制効果9.1兆円の合計14.4兆円が期待できるほか、121万人の雇用維持効果、さらに、海外から日本への直接投資を8500億円押し上げるとの効果試算を示しました。また、EUの例を引き合いに出し、実効税率を引き下げても、GDPに占める法人税収の割合は増加傾向であることが、法人税率引き下げの効果を実証しているとしています。

 財源を確保する視点ももちろん必要ですが、長いデフレにあえぐ日本経済の窮状を見るにつけ、今求められるのは「経済は生き物である」という認識を持ちつつ、時間軸を据えながら柔軟に対応することではないでしょうか。法人税率引き下げにより日本の「体力」が向上し、その効果が税収増につながるには、一定の時間を要します。単年度の帳尻合わせに執着しすぎては道を誤ることになりかねません。(了)

 

スタッフ日記 「冬の味」

 冬場の味、といえばやはり「鍋」でしょうか。馬淵事務所では1年中鍋をしていますが、野菜が安くなってきた最近、皆様のお宅でも「鍋料理」が大活躍と思います。

 鍋以外にも、冬場の味といえば蟹やカキといろいろありますが、ぼくにとっては、干し柿や干し芋がいつも食べていたもので、殊更懐かしく思います。東京に来てから8カ月が経ちましたが、今更ながらこっちの家ではクリスマスの綺麗なイルミネーションはあっても、軒先に柿や大根をぶらさげて干していたりそういったことはなかなかしていないんだなーと町を歩きながらしみじみ思ったり。

 うちは農家なので、この時期都会の親戚に野菜や米といっしょに時期干し柿や干し芋とかを送ってあげるとすごく喜んでいました。子供のときにはそれが不思議で仕方無かったのですが、今一人都会に来て過ごしてみるとその親戚の気持ちがよくわかります。

 スーパーとかには並んでないんですが、自家製だからこそ味わえる「半熟の干し芋」、丸干しのやつがまた美味しいんです。乾き切っていない、とろーっとしたお芋の味が絶品。子供のときはベランダにあがってちょうどよい頃合いのを見つけて真っ先に食べていました。

 凧揚げといったお正月の遊びも、なかなか東京の方では出来ないのではないでしょうか。都会に来たからこそ改めて分かる田舎の良さ、どんどん知らない人が増えていく中で、何か伝えていくこと、もう一度生活のあり方を見直してみるようなそんなことが出来ないかなと干し芋をかじりながら考えてみました。(SCハマー)

第469号 法人税引き下げ