原子力損害賠償支援機構法の改正

2014年4月10日 (木) ─

 政府提出の原子力損害賠償支援機構法改正案(以下「原賠機構法」)の質疑に立つ。

 昨年の9月30日に行われた福島第一原発汚染水問題についての経産委での閉中審査以来、半年ぶりの質疑だ。

 選対委員長という役職柄、選挙中心の活動をしてきたのだが、この原賠機構法の改正については、党内(東京電力福島第一原子力発電所対策本部副本部長)で取りまとめを行ってきた立場としてぜひ質疑に立ちたいとの想いから1時間10分の質疑。

 「事故処理と事業継続のジレンマ」に東電が陥っていると指摘してきたのが昨年の9月27日、30日の閉中審査。

 以来、東電をこのジレンマから脱却させるために、検討を重ね、廃炉や事故処理については新たな国の機関として「廃炉機構」を設置し廃炉・事故処理を行わせるべきとの提言を11月19日にとりまとめた。

 当時、東電の社内分社化などの議論しか行われていない自民党にも一定のプレッシャーとなり、原賠機構の改正という道筋が政府内でも描かれるようになった。

 その後、12月27日、機構と東電による「新・総合特別事業計画」にも、指摘してきた「事故処理と事業継続のジレンマ」の解決のための「責任と競争の両立」が方針として書かれる。まさにこれは指摘に対する回答だ。我々の主張に耳を貸さざるを得ない状況が醸成されていく。

 一方、提言責任者として「廃炉機構法案」の議員立法化も法制局を通じて進めてきたところだが、政府案の骨格段階から経産省とも意見交換を交わしながら、内容を詰めていく過程で相当程度民主党案を飲みこんでいく姿勢が確認できた。

 福島原発対策本部としても、対案を提出するよりも政府への申し入れを行っていくことが実があると判断し、申し入れ事項の詰めの作業を開始。

 そして、自民党総務会前の2月24日茂木経産大臣に、閣議決定前の2月26日には官邸で菅官房長官に民主党からの申し入れを行った。

 結果、政府提出の原賠機構法改正案は、我々の廃炉機構構想のエッセンスを大部分くみ取ったものとなった。

 昨日の質疑は、この申し入れについての大臣答弁を確認したものでもある。法文に盛り込まれたものもあるが、大臣の答弁によって運用上、決まったことも多々あった。

 ある意味、対案を練ってぶつけて廃案となることよりも、実を取ることができた。

 もちろん、野党として戦わなければならないことは言うまでもない。しかし、もともと、民主党政権時に起きた事故の収束についての法案。政権時代には、与野党の垣根を越えて取り組むべき課題と我々も言ってきた。ここは、政府を経験した政党としての新たな解決方法の一つだったと思う。

 昨年9月の閉中審査から、民主党が再び国会での取り組みを行うようになった福島第一原発事故処理の問題。

 僕にとっては、総理補佐官時代より取り組み続けてきた課題だが、今回の法案策定でとりあえずの対策の実現にはこぎつけることができた。まだ、原賠機構法の附則6条2項の課題が残っているが、これについては、また追って詳細をお知らせしていきたい。

原子力損害賠償支援機構法の改正