一音一会(いちおんいちえ)
週末の3日、奈良出身のピアニスト成尾亜矢子さんをお招きしての第4回「一語一会」。
「一語一会」は薬師寺の大谷徹奘師にお越しいただいて以来、今回で4回目を数える。政治を離れて、人との出会いの喜びと感謝を伝えてみたいと企画して年二回開催してきた。
徹奘さんの後も作家の井形慶子さん、社会医学者の谷康平さんなど多彩な顔ぶれのゲストだったのだが、一度音楽家の方にお越しいただきたいと思っていたところに、成尾さんとの出会いがあった。
宝塚を目指していた成尾さんは、足の故障で踊りを断念すると共に宝塚をあきらめてピアノに専念するようになる。音大卒業後、中学で音楽を教えながら、ミス日本出場の機会を得て見事準ミス日本となる。宝塚の舞台に立つという夢はついえたが一方でピアノとの出会いによってまた違う華やかな世界への復帰。そんな成尾さんを癌が襲う。23歳で乳がんに侵されすべてが灰色の世界に映ったという失意のどん底から手術を経て、ピアノが彼女に生きる希望を与えた。
「ピアノは決して裏切らない」、と語る彼女は音に託して「命」の大切さを伝えようとしている。成尾さんの「音」には、パッションがあふれている。
ショパンの「幻想即興曲」、「革命」と続けて弾いていただいたピアノの調べは聴衆を魅了した。
そして二人の対談、成尾さんの経験を語っていただきながら、かつて僕の公設秘書募集に応募しようとしたなどのエピソードを聞いてドキドキ。最後に、成尾さんにとっての大事な「一語」はなんでしょう?の問いかけに「一音」ときっぱり。
想いを込めた「音」がすべて。
来月に予定されている秋篠音楽堂でのコンサートのご紹介もしながら、最後に会場の皆さんとの「赤とんぼ」の大合唱で閉会。ご来場の皆さんに本当に喜んでいただけた、と心から感謝。
一音に託す想いは、一語に魂の叫びを込める僕との共通項を感じる一瞬だった。