第822号 新たな野党結集の旗

2018年2月17日 (土) ─

 国会では、増税の是非など政権の姿勢を質すべき課題は多いにもかかわらず、細分化して力の弱まった野党各党の追及は迫力を欠くように見えます。

 やはり野党は一つの塊となって政府与党と対峙しなければならないと改めて感じています。そのために、明確な理念の一致が必要です。憲法改正や消費税増税の是非などに加え、私が重要と考えている結集軸に、日本における「中央と地方の関係」があります。

◆中央と地方が共存してきた日本社会
 我が国は古来、中央集権と地方分権という二つの政治体制がバランスを取ることで社会を維持してきました。中央集権体制を体現したものに、天皇を中心とした律令国家や明治国家があります。一方、地方分権体制は、天皇家と併存してきた豪族、ひいては幕藩体制のような武家社会に連なる各国諸侯の政体がありました。

 我が国はこの二つの政治体制の一方を殲滅することなく、時には互いに牽制しあい、時には権力の交代を伴いつつ併存させてきたのです。これこそが、この国の多様性や力強さの源泉だと考えています。

 そして、今日の政治体制に最も必要とされているのは、「集中と分散」の共存の発想です。集中の典型は、中央官庁の規制に代表される古き既得権益であり、その維持に偏った政治こそがこの国のイノベーションを阻害する最大の要因になっています。

 一方、分散の典型は、地方の活性化や、巨大企業や組織に依らない、個人に依拠したネット活用の新たな事業形態などです。

◆中央集権体制に対峙する
 政権与党である自民党が目指す方向は明らかです。それは、中央政府の権限と裁量を更に強化し、強力な中央集権国家を築きあげることです。

 これに対し、私たちはかつて、民主党・民進党として、地方の自立を促し、地域に生きる一人一人の消費者、労働者、納税者の生活を重視する政策を掲げて戦いました。 これらは、実は、この国の政体として今日まで生き続けてきた中央集権に対峙する地方分権の姿を明示する、キーワードでもありました。しかしその実現は、短期の政権に終わったことにより道半ばと終わりました。

 一方、東京一極集中が加速する今、地方は過疎化により力を失い、単に地方分権を唱えることは、大きな対立軸となりにくい状況にあります。

 中央と地方の関係を、単に集中か分権かの対立構造として捉えるのではなく、むしろ、中央と地方が共存する体制を創るため、「集中と分散」という新たなキーワードを提示して、野党をまとめていかなければならないのではないかと、私は感じています。

◆分散と集中を結集の旗印に
 中央と地方の関係のような、我が国の社会の根幹に関わる国家像を提示した上で、しがらみの無い新たな「旗」を立て、野党をその下に結集させる。

 それこそ、野に下り、特定の政党に属さない、浪々の身たる私のような者だからこそ出来ることだと考えています。

 私が再び国政に戻る使命は、大きな旗の下に、浪人をまとめ上げ、現職を引き入れ、新たな政党を作り、それを率いあるいは支え、野党を一つの塊にすることだと考えています。どんな
に道のりが険しくても、私は決して諦めません。(了)
 
 

森ちゃん日記「奈良ブランドの発信」
 日本で最初にバレンタインデーチョコを発売したことで知られる神戸の洋菓子老舗店のモロゾフと、全国的にも女性を中心に梅酒が人気を集める中で、奈良を代表する酒蔵の一つとなった梅乃宿酒造の梅酒がコラボチョコレート「梅酒トリュフ」を製作し、先日、大阪の百貨店で発売され、女性が食べたくなるチョコレートとして話題になっていました。

 日本酒の消費量は全国的にも年々落ち込んでおり、その影響で伝統ある酒造蔵も数を減らし、加えて若者の「お酒」離れが拍車をかけ、全国の酒造蔵では様々な新しい取り組みで、生き残りをかけた策を展開しています。奈良でも、地元の大学と連携して、大学に直接赴いて講義と試飲がセットの日本酒啓蒙会を開催するなど、地域活性化の取り組みと並行して、若年層にもお酒の良さを知ってもらう工夫などが行われています。

 奈良は清酒発祥の地、菩提寺正暦寺には日本清酒発祥之地の石碑があることは有名です。そして、奈良市では「日本酒の普及の促進に関する条例」として、日本酒での乾杯を推奨し、積極的にお酒で繋がる輪を世代を超えて広げてきました。奈良が全国に誇る、清酒ブランドは世界にも発信できる魅力のひとつです。

 私は、このような取り組みを知る前から、歴史や伝統文化が世界へ発信することのできる奈良の「お土産」に注目し、歴史的文化財のようにもっと全国に知れ渡る定番の一品があればと感じておりました。以前に、老舗奈良漬店の方と知り合う機会があり、奈良土産の話になり、北海道土産のヒントから奈良の名産である奈良漬けをチョコレートでコーティングした商品を提案してみたのですが、チョコの甘さが際立つだけだったそうで、あえなく失敗に終わるというほろ苦い経験があり、何か良いアイデアはないかと考えてみたりしています。

 インバウンドで賑わう奈良の観光地で、新たな奈良の定番を心待ちにしながら、400年を超える酒造がある中で、124年もの歴史を刻んだ梅乃宿酒造の「まだまだ新参者として挑戦していく」という言葉からは、奈良の新たな挑戦への力強さを感じます。まずは、日本酒での乾杯に貢献したいと思います。

第822号 新たな野党結集の旗