第750号 年金流用で5兆円赤字
7月29日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2015年度の年金積立金運用実績が、5兆3000億円以上の赤字となったと発表しました。国内外の株式運用損だけで評価すれば、7兆円近くもの巨額赤字となっています。
◆株式流用により多額の損失
もともと、年金積立金は、安全を最優先に考え、国内債券を中心とした運用がなされてきました。
ところが、安倍政権は、株価を上げるために積立金を株式購入に充てる方針を定め、当初は国内外合わせて24%だった株式運用比率を、ベースで50%、最大値では67%まで運用できるよう変えてしまいました。
その結果、株価が乱高下した昨年度だけで、7兆円近くもの株式運用損を出しました。専門家の予想によると、イギリスのEU離脱ショックによる株価下落などを受け、8月26日に発表される今年4~6月期の年金運用実績では、さらに5兆円もの損失が発生している恐れがあるとのことです。
◆延ばされた運用損の公表
またGPIFは、例年7月上旬には発表している前年度の年金積立金運用実績を、今年は7月10日の参院選投開票日より後にずらして発表しました。
塩崎厚生労働大臣は、この理由について、GPIF設立10年にあたっての運用分析を行ったり、保有銘柄の情報開示を行うためという旨の答弁を行っていますが、公開された業務報告書で保有銘柄について触れたのはわずか1ページに過ぎず、不自然と言わざるをえません。
参院選前に大幅な運用損が発覚すれば、政権は批判され、当然選挙へも悪影響が出ます。一連の流れを見ると、それを恐れた政権の意を汲み、GPIFがわざと公表を遅らせた、と疑われても仕方のない状態です。
年金制度のあり方は、国民の関心も高く、できるだけ情報を提供して、選挙の争点とするべき事柄です。もし、GPIFがこうした争点隠しを行ったのだとしたら、有権者たる国民への重大な背信行為といえます。
◆国が責任持った運用を
年金の運用実績は、まだトータルではプラスであり、株式運用比率は高いまま維持していくべきだという意見もあります。
しかし、年金積立金は納付者の老後の生活のためにいったんお預かりしているお金に過ぎず、利益が出るかわからない株式市場への行き過ぎた投資は行うべきではありません。
また、運用のあり方そのものも考え直さねばなりません。 GPIFは、年金積立金の大部分を信託銀行、投資顧問会社に運用委託しています。つまり、国が納付者から預かった年金積立金は、独立行政法人であるGPIFに寄託、管理運用されますが、GPIFはそれを民間業者に「丸投げ」する形で運用しているのです。これではとうてい国が責任を持った運用を行っているとは言えません。
加えて、天下りなど政官財の癒着や、リスクをかえりみない投機的運用を招いているという指摘もあります。
国民のセーフティーネットとして、年金積立金は公的なものであることを前提に、GPIFへの監督体制を見直すなど、国が確実に責任を負う形の管理運営体制の再構築が必要です。(了)
スタッフ日記「えっ、磯野家に2階がっ!」
子供のときからマンガが好きです。SF、冒険、歴史、政治時事ネタ、感動…さまざまなモノが一冊に詰まっていて、次から次に読み進めたくなります。最近はすべて電子書籍にしているのですが、この前ふとデータを整理してみたところ、総数は5000冊を超えていて、自分でもびっくりです。スタッフのお松さんにも、見たことがないレアなものがあった…と言われてしまいました。
自分の好きなマンガがドラマ化されたりすると、「あーたくさんの人に認められたんだなぁ」とうれしくなるのですが、映像化にあたり、いろいろと原作から変更されることがあります。
国民的アニメと言われるサザエさんもアニメ化の際に大きな変更がありました。
サザエさんのエンディングテーマ、「大きな空を眺めたら~♪」で始まる「サザエさん一家」ですが、テレビ放映では2番と3番の歌詞がミックスして使われています。
1番の歌詞の始まりは「2階の窓を開けたらね~♪」です。なんとサザエさんのお宅に2階があったなんて! 実は昭和40年代の原作サザエさんには2階建の磯野家が登場しています。それがテレビアニメで平屋となってしまい、矛盾を回避しようとなんとか歌詞をつなぎ合わせたものが現在のエンディングテーマなのです。
夏休み、「マンガばかり読んでないで勉強しなさい!」という声がいろんなお宅から聞こえてきそうですが、叱るばかりではなくぜひお子さんと一緒に読んでみてください。きっと一冊のマンガから楽しい時間を共有できると思います!(ハム)