第749号 選挙総括と代表選

2016年8月6日 (土) ─

 9月15日に民進党となって初の代表選の投開票が行われます。そこで今後の党の方向性を考える前提として、厳しい結果に終わった参院選の「成果と課題の検証」をしっかりと行うことが重要です。

◆野党共闘は政策一致が必要
 今回の参院選では、民進党の議席は17議席から32議席に増加し、1人区での野党対与党は前回の2勝29敗から、11勝21敗になりました。

 今春の衆院北海道5区補選の流れを継続して、参院選の1人区を「野党統一候補」で戦うことができ、一定程度互角の戦いに持ち込めたことは事実であり、そのこと自体は評価すべき「成果」ではあります。

 しかし、今回の参院選はあくまで安倍政権への「中間評価」という位置づけで、政権選択選挙ではありませんでした。そのため、野党統一候補を擁立し、安倍政権に対して「『イエス』か『ノー』か」という分かりやすい選択肢を有権者に提示することには十分な合理性がありました。

 これに対し、次に予想される衆院解散総選挙は、政権を選択する選挙です。野党間の連立で政権を担うためには、何よりもまず政策が一致していなければなりません。

 しかし、現在の各野党間の政策には開きがあり、このままの状態でこれまでの「野党統一候補=共闘」路線を今後の既定路線と結論づけるのは難しいと言わざるをえません。

 私は野党共闘を全否定するつもりはありません。しかし、今後の党の進むべき方向性を議論する際には、野党共闘の「成果と課題」を冷静に見定める必要があると考えます。

◆党勢いまだ回復せず
 そして、参院選の「課題」の検証も必要です。民進党が前回より獲得議席数を伸ばしたことから、党勢は回復傾向にあるとの意見もあります。

 確かに、民進党(前進の民主党を含む)の比例票獲得数を有権者数で割った「絶対得票率」を見ると、13年参院選が6.8%、14年衆院選が9.4%、16年参院選が11.1%と、一見回復傾向にも見えます。

 しかし、今年、維新の党と合併したことを考えると、本来14年衆院選の9.4%に加え、14年当時の維新の党が獲得した8.1%から、今回おおさか維新が獲得した4.8%を引いた3.3%を加えた12.7%を獲得しなければなりませんでした。

 それにもかかわらず、11.1%に留まったことは、党勢が回復したと喜ぶ状況ではないことを示しています。また、改憲勢力に3分の2の議席を許してしまった厳然たる事実も直視しなければなりません。

◆代表選へ向けて
 こうした厳しい党勢のなかで、来月代表選が行われます。 また、次の衆院選挙では、安倍総理が悲願とする憲法改正が争点となるのは必至です。私たちも、党内で議論をしっかりと行い、明確な考え方を打ち出す必要があります。

 代表選にいかに臨むかはまだ白紙の状態ですが、客観的データに基づいた現実と課題にどう向き合うか、そして次の総選挙を見据えた戦略をどうするのかという点は、誰が代表候補になろうとも示してゆかなくてはなりません。(了)

 

スタッフ日記「街道を行く」
 先日、3時間ほどかけて奈良市東部の「柳生街道」を散策しました。山道を歩き慣れていない私はスニーカーでの挑戦で、くるぶしを痛めてしまいましたが、木漏れ日の中、澄んだ空気を感じて歩く爽快感と大自然に囲まれて頬張るおにぎりの美味しさにハマってしまいそうです。

 道中には、鎌倉時代からといわれる石畳や石碑、お地蔵さんがいくつかあり、柳生街道が奈良町から柳生を通り、三重の上野まで抜ける主要な街道であったことを伝えていました。

 しかし、1897年、北方の笠置に鉄道が開業すると人の流れがすっかり変わってしまい、現在は当時の旅籠や茶屋の面影をいまに残す歴史ハイキングコースとなっています。

 そして、私の住む富雄にも、大阪難波から平城京に通じる暗越奈良街道(くらがりごえならかいどう)なる国道が存在します。

 国道といっても、途中で幅員1.3メートルという所もあるほどの極細の道ですが、寺や石仏が多く、昔は参勤交代にも使われていた程にぎわいのある街道であったと聞きました。奈良時代には大阪-奈良を結ぶ最短ルートだったそうで、「日本の道100選」に選定されています。傾斜のきつい坂道が多く、なかなか大変そうですが、私も今年中には挑戦し、自らの目で確かめてみたいと思います。

 この度、リニア中央新幹線の名古屋-大阪ルートが奈良市付近を通ることに決まりました。奈良の「人の流れ」もまた大きく変わってゆくことでしょう。この街がどのように変わり、発展を遂げていくのか、しっかりと目に焼き付け、街の中にある「道」にも注目したいと思います。(特命係長)

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