第657号 カジノ法案のゆくえ
29日開会予定の臨時国会に向けて、IR推進法案(通称・カジノ法案)が話題に上っています。
◆IR推進法案とは何か
IR(統合型リゾート施設)とは、カジノ、国際会議場、宿泊施設、水族館や劇場をはじめとした娯楽施設等が複合されたリゾート施設を指します。今回の法案は、IR整備に向けた基本方針を定め、政府内に推進本部やカジノ管理委員会等の組織を設けること、1年以内を目途に実際にカジノを設置するのに必要な「実施法」案の提出を行うことを政府に義務づけるもので、今回の法案成立が直ちにカジノを解禁するものではありません。しかし、政府の成長戦略にIR検討が明記され、これまで、幾度となく湧いては消えてきたカジノ解禁が現実味を帯びてきたことは確かです。
◆法案成立の見込み
法案は、先の通常国会で、自民、維新、生活の三党が議員立法で提出。通常国会終盤の6月に、衆内閣委で審議入りしましたが、時間切れで継続審議(臨時国会に持ち越し)となっています。通常、委員会の審議は、政府提出法案(閣法)→議員立法の順で審議されるため、議員立法まで時間が回らないケースも多く、臨時国会におけるIR法案成立の可能性も、内閣委員会の審議状況に大きく左右されます。
臨時国会では、内閣委員会に、地方創生関係の法案や女性活躍推進に関する法案をはじめ、数本の閣法が提出される見込みです。12月には来年度予算案や税制改正が控えており、逆算すると、委員会で審議可能な法案数は5本程度と考えられます。そうすると、臨時国会においても、IR法案成立までの道のりは依然不明瞭と言えます。
◆負の側面の十分な議論を
先月20日、厚労省の研究班が、日本人の依存症に関する調査結果を公表しました。それによると、ギャンブル依存の人が成人人口の4.8%にあたる536万人。注目すべきは、海外との比較で、米国1.6%、香港1.8%、韓国0.8%といった数字と比較しても、日本は際立って高くなっています。「街中で誰でも気軽にパチスロなどをできる環境があるからではないか」(樋口進・研究代表)との分析があるように、特に「ギャンブルへのアクセス」という点で、日本の依存症対策は多くの課題を抱えています。
ある証券会社の試算によると、日本に東京、大阪、沖縄など4つのカジノ施設をつくった市場規模は1兆5000億円になるとされています。外国人観光客増加や地域雇用創出等、カジノの経済効果への期待は大きいですが、同時に、依存症、マネーロンダリング(資金洗浄)、治安悪化等の負の側面への十分な対策が可能か、慎重な検討が求められます。依存症については、IT技術を駆使して依存症の人の入場を制限するシステムの導入や入場料金の徴収等により、「ギャンブルへのアクセス」を実施者が責任をもって管理する仕組みが重要となります。また、シンガポールのように、リゾート施設全体に占めるカジノの割合を数%以下に抑えることも必要です。私は成長戦略としてのIR整備を否定しません。しかし、法案審議では、上記の課題も含め、慎重かつ十分な議論が必須と考えます。審議時間が足りないからといって国民の理解が得られないままの拙速な審議は避けるべきです。(了)
スタッフ日記「涼しさの向こう側」
さんまを焼く匂いが夕暮れ時に漂う季節になりました。おかげで白米を食べる箸が止まりません。皆様はじめまして、馬淵事務所でインターンをしております大将と申します。
冒頭で秋の訪れを述べましたが、昼間は相変わらずの暑さです。そこで、なんとか昼間の暑さをやり過ごそうと考えていた時、ふと小学生の時に作ったスライムが頭によぎりました。スライムとは、手にべとつかない程度の粘り気のある半固体です。思い立った私は作り方を調べてみました。
【材料】水、洗濯のり、ホウ砂、紙コップ(※「ホウ砂」とは洗剤や耐熱ガラスの原料で、50g入のものがホームセンターでよく出回っています)
【作り方】水と洗濯のりを紙コップの3分の1ずつ入れ、かき混ぜ、残り3分の1にホウ砂を入れて混ぜる。
私とスライムの出会いは、小学校での理科の実験でした。水から作るのですが、まさかこの液体が固まるとは誰も思いません。
しかし材料を入れてかき混ぜるうちに、適度な柔らかさになっていくのです。そして完成品を触った時の、何とも掴みどころの無い形と、手に付かない不思議さ、適度な冷たさ、容器からこぼれ出た時の不規則な動きに「な、何だこれは!?」と目が釘付けになったのを覚えています。イライラした時は床に投げつけた事だってありました。
もちろん触って冷たさを感じる事もできますが、長く触っているうちに、その形態に強く惹きつけられ、湧き立つ愛着はまるで我が家のペットと言わんばかり。残暑をこの相棒と共にやり切ろうと思います。(大将)