第487号 「電力事情」考

2011年5月7日 (土) ─

 発災後より実施されていた東電の計画停電は先月8日に「原則不実施」が発表されましたが、需給のひっ迫は夏場を控えて予断を許しません。今後は、補償問題とも絡んで電力供給に対する長期的な考え方が問われることになります。このことは今日の9電力体制の在り方にまで深く関わることとなり、国民全体にとっても直接関わる大きな課題となるのです。あらためて、私たちが「当たり前」のように使っている「電気」、「電力」を考えたいと思います。

◆戦後のエネルギー政策 
 我が国のエネルギー政策の基本的な考え方は、2002年6月14日施行の「エネルギー政策基本法」に集約されているといっても過言ではないでしょう。2001年、当時の与党三党(自民・公明・保守)から議員立法として提出され、修正可決したこの法律は、戦後のわが国のエネルギー事情を反映したものでした。まず、その概念として「3つのE」が定められています。それは「安定供給( Energy security ) 」、「地球環境(Environment)」、「効率性・市場活用(Efficiency)」の三つです。

◆安定供給のE
 戦後から80年代までは、敗戦からの復興そして高度経済成長による爆発的な需要増大に対して何としてでも「安定供給」を実現するとの認識で、エネルギー政策が展開されてきました。戦後直後の経済政策である傾斜生産方式により、まずは石炭、鉄鋼と共に電力への注力がなされました。さらにGHQ によって電力は過度経済力集中排除法(巨大独占企業を分割し財閥の解体を実施する為に制定された法律)の対象とされ、電気事業再編が審議され、ポツダム政令によって現在の9電力体制ができました。やがて高度経済成長の中、急増するエネルギー需要により、水力発電中心から火力発電へと転換、すなわち「水主火従」から「火主水従」へと転換を果たしていきます。その後石油ショック等の影響により原子力利用が加速されることになります。

◆効率性と環境のE
 こうした安定供給確立のためのエネルギー政策も、90年代の規制緩和時代には効率性が求められるようになり、さらには地球温暖化問題の高まりとともに環境も重要な要素となっていきます。こうした事情を背景にエネルギー基本政策の理念はこれら3つのEによって形作られています。そしてさらに政府は30年後のエネルギー需給見通しを策定してきましたが、最大の課題は需給ギャップであり、その対処策として「省エネ」、「新エネ」、「原子力新規立地」の配分を図ってきました。しかし、新エネ技術の開発・普及の実現が困難な中、原子力依存が次第に進行していったのです。

◆人口減少時代のエネルギー政策とは
 人口減少時代に直面し、新たなエネルギー需給の再整理が求められています。節電のみならず、電力の消費の在り方が問われることになるでしょう。少なくとも今日まで続いた「安定供給のための安全対策」の理念だけでは国民の理解を得ることが困難な状況です。「安全を前提とした電力供給」へと向かうことが求められ、そしてその先にこそ原子力発電のあるべき姿があると思っています。 (了)    

 

スタッフ日記「東京事務所に来て感じたこと」
 現在私は、奈良事務所から東京事務所へ研修のために来ております。奈良とは全く違う環境に身を置いて東京事務所へ通う中で、感じたことを少し記したいと思います。

 初めて東京事務所に着いて、その建物と場所に驚きました。国会議事堂の裏側に位置する議員会館は、想像よりも立派な地上12階建ての近代的な綺麗なビルで、窓からは東京タワーも東京スカイツリーも見ることができます。東京初心者らしく、素直に感激しました。  

 業務に関して率直に感じることは、まず、事務所の皆さんは非常にタフであることです。朝早くから夜遅くまで、全く同じペースで常に動き続けていますので、私はそれについていくだけで必死です。特に代議士は、激務の中更に日々トレーニングもこなすストイックな毎日で、敬服するばかりです。また、皆さんの一つ一つの言動などがとても精錬されていることに感心しています。電話の対応は勿論、物事に対するスピーディーな判断や、行動に移すまでの早さなどは、常に2歩3歩先を考えながら業務を行わないとできないレベルです。もう一度自分を見つめ直し、見習わないといけないことが非常に多いです。

 東京事務所では、基本的なことを一から学ばせていただいて、まだまだ私は未熟者であると改めて実感しています。ここでできる限りのことを学び、身につけ、少しでも早くまぶち事務所の一員として、一人前になれるよう刻苦精励したいと思います。(お松)

第487号 「電力事情」考