第1121号 トランプが変える世界

2024年3月23日 (土) ─

 裏金問題で日本政治が機能不全に陥る中、世界ではプーチンがロシア大統領選に圧勝し、アメリカではトランプが共和党大統領選候補に確定、大統領に返り咲く可能性が高まっています。トランプ再登板となれば、世界は大きく動くことは確実です。

◆ウクライナ戦争への影響
 トランプ再登板で大きな影響を受けるのがウクライナ戦争です。西側世界の当初の予想を裏切って、ロシアは経済制裁の中でも軍事侵攻を維持し、ウクライナの反転攻勢は進まず、戦線は膠着状態ながらもロシアが攻勢を強めています。これに対してヨーロッパ諸国では厭戦気分が漂い、支援に消極的な声も強くなりつつあります。

 トランプは自分が大統領に就任すれば、24時間以内にウクライナ戦争を終わらせると豪語しています。この実現には、ウクライナに大胆な譲歩を要求し、ロシアとの停戦を促すことしか考えられません。

 共和党の中にウクライナ支援への反対が広がる中、トランプが勝てば、即時に停戦交渉に乗り出すことは十分想定できます。

◆アメリカファーストの意義
 トランプが1期目からスローガンとしているのが、「アメリカファースト=アメリカを再び偉大に」です。

 これはアメリカが世界のトップとして君臨するという意味ではなく、アメリカの利益を第一に国の政策の転換を図るという意味です。

 多大なコストを払って世界中にアメリカ軍を展開させて他国を防衛したり、経済支援を充実させたりはしないということで、要はアメリカの得にならないことには手を出さないということです。

 これはビジネスマン=合理主義者としてのトランプの性格を良く表しています。

 しかし、政治はビジネスと違って損得だけで割り切れるものではありません。アメリカが世界から手を引くことで、合理的には予想がつかない混沌が世界各地で生じることが予想されます。

 ただ、世界を混沌に導くこの政策も、アメリカ国内では一定の支持を集めるでしょう。8年前にトランプが大統領選に勝利した際は、グローバルな競争社会から脱落した低所得労働層を中心としてトランプへの支持が徐々に広がっていきましたが、今回の共和党予備選挙では序盤から連戦連勝の圧勝です。もはやトランプは決して一過性のブームではないのです。

 一方、議論によって粘り強くあらゆる層の合意形成を図るという手法に背を向けるようなトランプの言動は、逆に、ロシアや中国といった権威主義的国家とは親和性を持った政治手法という批判もあり、アメリカ国内の分断がさらに拡大するのではないかという懸念も残ります。

◆対日関係はどうなる
 翻って日本に対しては、1期目よりもさらにドライな態度で接してくることが考えられます。 ただでさえGDPが世界4位に転落するなど、衰退が続く日本に対しては、遠慮なしに軍事費の相当の負担増などを要求するでしょうし、関税などを利用してアメリカ国内産業保護のための貿易圧力も増すでしょう。

 今はまだ「もしもトランプが大統領になったら」などと、半ば茶化すような報道も見られますが、トランプの再登板は非常に現実的だと考えます。

 2期目のトランプが何を打ち出すか予想もつかない中、アメリカに寄りかかっていれば大丈夫という、長年の日本外交の常識であり、一種の「タブー」を改めなければならない時期が来ています。

 

スタッフ日記「2024桜開花予想」
 19日に気象庁から「2024年桜開花予想」が発表されました。東京は、24日頃開花となり、各地で3月下旬から4月上旬に満開ラッシュを迎えるようです。

 私が住んでいる千葉県・松戸市では2月に開花し始める早咲きの桜、河津桜が咲いていて、3月頭には桜まつりが開かれていました。家の前の川沿いが桜並木になっているのですが、夜間のライトアップもあり、一足先に春気分を味わえました。

 先日、友人に「奈良は、日本一の桜の名所“吉野山の桜”がきれいだよね」と言われました。そういえば、大人になってちゃんと吉野山の桜を見に行ったことがないなぁ…と思い、現在お花見旅行を計画中です。

 子どもの頃に家族で見に行った記憶がありますが、桜を楽しむよりも遠足気分でお弁当やお菓子を食べられることがうれしくて、何となくの記憶しかありません。

 友人お勧めの金峯山寺の四本桜は、修験道の開祖とされる役行者が神の姿を桜の木に刻み、祀ったことから「吉野の桜の始まりの場所」とされているようです。それ以降、吉野山に御神木として埋められてきた為、今のような日本一の桜の名所になったと言われています。

 2024年の吉野山の桜の開花予想は、ふもとエリア(下千本)が3月29日頃開花し、4月4日頃に満開、山奥エリア(奥千本)では4月7日頃に開花、13日頃に満開となるようです。ちなみに23日(土)からは夜間のライトアップも始まるようです。

 お休みと満開の時期が上手く重なることを願って、吉野の桜を見に行こうと思います。(まゆつな)

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