第1111号 災害関連死を止めろ
2024年は、波乱の幕開けとなりました。元旦、能登半島で大地震が発生し、東日本大震災以来の大津波警報が発令、交通網は寸断されて各地域は孤立し、発災後10日以上を経た今なお、被害の全貌は把握できていません。
◆過疎地での震災
今回の大きな特徴は、交通網が貧弱で人口が少ない過疎地での大地震だったことです。
もともと貧弱だった交通網は土砂崩れや地割れで寸断され、津波被害や地震による隆起等で海上からの運送も制限されたことが、救援や物資搬入の遅れにつながりました。
東日本大震災時には、私の国交大臣時代の部下だった東北地方整備局長が「くしの歯作戦」と称する、内陸の比較的被害の少ない道路を起点に、くしの歯のように支線を伸ばし、救援道路を作る作戦を展開し、これがその後全国の災害復旧作業の基本として定着しました。
今回も「くしの歯作戦」は行われていますが、それでも能登半島特有の険しい地形や、土砂崩れや地割れの箇所が広範にわたっていることから、支援が困難な地域が続出しています。
奈良県でも、奈良市、生駒市のような北部の都市と離れた、広大な面積を有する過疎地域が南部に広がっており、これらの地域は13年前の紀伊半島水害でも大打撃を受けました。仮に南海トラフ大地震のような震災が発生した場合は、広範囲の土砂崩れなどで交通網が寸断され、高齢化の進んだ地域が孤立してしまうことが予想されます。
◆未知の活断層
国土地理院によると、日本には約2000以上の活断層が存在するとされていますが、これはあくまで現時点で把握されている数であり、未知の活断層は多数に及ぶと考えられています。
古来、奈良は地盤が強い地域とされ、巨大な木造建築が1000年以上保存されてきたことからも、直下型地震が少なかったことが分かります。
しかし今回の能登半島地震では、3~4000年眠っていた断層が動いたとする説もあり、日本中どこにいても、地震からは逃れられないという意識を持って、家具の固定の確認や、食料備蓄など、各家庭で出来ることから防災を進めることが必要です。
先述の「くしの歯作戦」を展開した責任者らが東日本大震災後にまとめた「災害初動指揮心得」には、冒頭「備えたことしか、役には立たなかった。備えていただけでは、十分ではなかった。」と記載されています。
過疎地の限界集落などにおいては孤立化することを前提に、備蓄等の備えを考えなければなりませんし、実際に災害発生時を想定した意識を持ち続けることや、とっさの避難のための訓練等が重要という教訓です。
◆借り上げはすぐできる!
更に、避難所生活により災害関連死が地震による直接の死者数の4倍にまで膨れ上がった熊本地震の例や、東日本大震災の仮設住宅建設まで避難所生活を余儀なくされた方々の苦労を考えると、一刻も早い生活環境の改善が求められます。
今回の地震は能登半島に局所的に被害が集中しているので、被害の少ない周辺自治体にあるホテルや旅館などの宿泊施設の借り上げ移住を進めるべきと考えます。
国交省は現在2500人分の移住先を確保したと発表していますが、これでは全く足りません。 コロナ禍の3年間、各自治体は、隔離用の宿泊施設を確保してきました。この時のノウハウを活用すれば、宿泊施設の借り上げは早急に行えます。
もちろん、住み慣れた土地を離れたくないという地域の方々の思いは理解できますが、冷え切った体育館の床に寝るなどの生活は、血栓の原因となり、様々な疾病にも繋がりかねません。段ボールベッドも活用すべきですが、冬の能登半島の厳しい気候条件と考え併せても、まず必要なのは宿泊施設の確保と移動です。いま最優先すべきは災害関連死を防ぐことです。
スタッフ日記「毎年恒例の…」
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
元旦に石川県能登半島地震が発生し、その後も心を痛む出来事が起こり、当たり前の日常がある事のありがたみを改めて感じさせられました。
被災地の皆さまが1日も早く平穏な日常が戻れるように心からお祈りしております。
馬淵家では、20年以上前から毎年1月2日に写真スタジオで家族写真を撮影しています。 小さい頃は、父がカメラを持って、運動会や家族旅行、何気ない日々を撮影してくれていましたが、兄弟6人がそれぞれ思春期・反抗期を迎えるにつれ、撮られるのを嫌がるようになり、そんな写真もだんだん少なくなってきました。それでも1月2日の写真撮影は、家族全員で参加しています。
撮り始めた当初は、亡くなった祖父母もいて、ちょっとよそ行きの服を着た、カチッとした家族写真でしたが、ここ10年はカジュアルな服装になり、時代の変化を感じています。
20年の歴史では、眉毛が無かったり、髪の毛が凄かったり、縦・横に大きくなっていたり、いろんな成長を振り返ることができます。
今年は平均30代の姉弟と各々の旦那、総勢14人でなんだか重厚感ある写真になってしまいました。
家族写真って、見返すタイミングはなかなかないのですが、その年その年の各々のいろんな変化を見ることができて、いいですね。
年々、家族が増えてより賑やかな家族写真になるのかなぁと今から楽しみです。(まゆつな)