第1112号 裏金問題の処方箋

2024年1月20日 (土) ─

 昨年来、世間を騒がせてきた自民党議員の裏金疑惑ですが、検察は安部派幹部を起訴しない方向で幕引きと報道されています。このままでは、政治とカネの問題はうやむやにされ、ほとぼりが冷めれば再び裏金が常態化する結果に終わるでしょう。

◆秘書が全てやりました!?
 すでに年明けから、安部派の池田議員が逮捕され、大野、谷川議員も在宅で立件と報道されていますが、これらの議員はあくまで「下っ端」に過ぎず、派閥運営を仕切っていた幹部こそが本命のはずです。

 しかし、報道によると安部派の幹部らは、パーティー券収入の処理については「会長マター」、つまり安部派元会長の安部元総理や細田前衆院議長の指示であったと供述しているとされます。両名が亡くなっている以上、「死人に口なし」の口裏合わせが疑われます。

 また、裏金作りについて会計責任者との共謀が立証できないともされていますが、会計責任者は秘書などが務めることが多い役職です。会計責任者が裏金を作っても、自らに直接的な利益はありませんし、ボスの指示なしに動くこともありません。

 それなのに、自民党界隈では、「秘書が全てやりました、私は知りません」などという、およそ常識的にあり得ない主張が繰り返されてきました。

 このようなことがあり得ないことは、誰でも分かっていることです。誰でも分かっているウソを罰することが出来ないのは、法律上不備があるとしか言いようがありません。

◆何の意味も無い「改革案」
 自民党は政治刷新本部を設け、岸田総裁も参加して議論を始めましたが、伝わってくる「改革案」は政治とカネの不透明な関係を断ち切るという観点から、何の意味も無いものです。

 まず、いつの間にやら派閥を解消すべきかどうかという点に議論がすり替わっていますが、これは巧妙な論点ずらしです。

 そもそも自民党には派閥の解消は不可能です。

 自民党は30年前、金権政治への批判を受け、派閥を解消することを表明しました。しかし次第にうやむやになり、結局今に至るまで派閥政治は続いています。政治資金集めは派閥活動や人事と密接に結びつき、自民党政治家の主要な活動になってきました。
つまり、自民党に派閥政治を捨て去ることなど不可能なのです。

 メンバー選定も全くの茶番です。安倍派から最多の10名が選出され、しかもそのうち9人はキックバックの収支報告書未記載が疑われています。不正の疑惑のかかった張本人たちが、責任を部下に負わせ、自らはぬくぬくと改革案を議論する会議など、茶番以外の何者でもありません。

◆本気の処方箋
 国民の怒りは、政治家が大金を集めて私腹を肥やしているのではないかということと、いつも会計責任者の秘書など末端の事務員ばかりに責任を負わせ、政治家本人は罰せられないことに向けられていると認識すべきです。

 権力にカネが集中するシステムを変え、政治家本人に厳罰を科す制度を作らなければ国民は納得しません。

 立憲民主党は私が国対委員長時代の2022年に、会社、労働組合、職員団体その他の団体(政治団体は除く)は、政治活動に関わる寄附又は政治資金パーティーの対価支払いを禁止する法案を提出していますが、この際、本気で政治とカネの関係を清算するためにも、犯罪が生じた場合の会計責任者と議員本人の連座制の導入や、政治資金集めを主要な目的とする利益率の高いパーティーの禁止、外部監査の強化などを打ち出さなければ国民の納得は得られないと感じています。

 いつまでもダラダラと実の無い議論を続けて良い問題ではありません。26日開会の通常国会にて、本気の政治改革を提言します。

 

スタッフ日記「備え」

 お正月は関西の実家に帰省していましたが、こたつの中でまどろむ元旦に、突如として能登半島地震の揺れに襲われました。鉄筋造りの離れの棟にいたことや、さほど大きな震度ではなかったことから、ぐらぐらと来た程度で特に被害もなかったのですが、実家の本棟の方は戦後間もなく建った木造旧家なので、一瞬倒壊を心配しました。実家で経験した地震の揺れの大きさでは、阪神淡路大震災以来だったと感じます。

 能登の被害状況を見るに、家屋倒壊や避難生活への備えが必要とあらためて感じました。旧家が地震に弱いのはどうしようもないですが、大きい本棚の近くで寝ないようにしたり、家屋倒壊の際の救助のために大きめのジャッキなどを用意しておくことを考えています。

 東京では特に防災対策をしていなかったのですが、こちらでも備えを始めることを検討中です。都市部では発災後、断水で水が手に入らなくなるであろうことを見越して、2リットルペットボトル入りの水を何本かを用意し、後は日持ちするカロリーの高い、缶に詰めたビスケットのようなものが必要でしょうか。

 避難場所も確認したところ、どうやら近くの学校のようですが、都会は学校の敷地も狭いので、本当に近隣住民全員が避難できるスペースがあるのかなという疑問も持ちました。そして、発災時の移動手段ですが、東京では車で避難しようとしても大渋滞が発生することは必至なので、小回りが利き、機動力のある自転車を用意しておくべきかと考えています。

 皆さんもこれを機に家庭の防災態勢を見直されてはいかがでしょうか。(アタリ)

第1112号 裏金問題の処方箋