第1083号 解散風どこ行った?

2023年6月17日 (土) ─

 マイナンバー不祥事、少子化対策の財源など問題が噴出する中、通常国会は、小幅な延長の可能性は残るものの、解散無しで21日の会期末を迎えそうです。

◆解散風とは何だったのか
 今国会終盤は、議論すべき政治課題を、解散風が吹き飛ばす格好になってしまいました。マスコミ主導で解散報道が盛んに行われ、岸田総理が思わせぶりな反応を繰り返すことで、与野党が右往左往する展開が続いたのです。

 特にマイナンバーカードを巡る行政ミスや、期待外れの少子化対策など、政府の失策が目立つようになってからは、解散風がより一層強くなりました。これは解散を煽って政治課題への関心を逸らす姑息なやり方なのです。

 私は今国会での解散は無いと考えてきました。次の衆院選挙で小選挙区が5区も増える東京において、公明党が自民党候補を推薦しないことを決めるなど、与党内でのゴタゴタが続いています。仮に東京で与党が次々議席を落とすようなことになれば一大事です。

 従って、まず、この状況を落ち着かせなければならないのに加え、広島サミットを経ても国民は冷静で、政権支持率は思ったほど上がっていないという状況です。勝てる時に解散という公式に当てはめれば、「今ではない」というのが結論です。

 予想通り解散は無さそうですが、結果として、解散風に振り回されて重要課題が置き去りにされてしまったのは残念です。

 このような政権運営は到底許容できないもので、解散への引き金云々とは関係なしに、最後に内閣不信任案を提出するのは当然でした。

◆やっぱり異次元では無かった
 解散風が吹く中行われた13日の総理記者会見では、少子化対策の概要が発表されましたが、異次元どころか、手当を少しばかり増やすなど従来の延長に過ぎませんでした。また、選択的週休3日制度の普及など、本当に出来るの?という政策も並びます。

 私が日々街を歩く中で、最近最も多いのが「異次元の少子化対策にはガッカリ」というご意見ですが、まさにガッカリしか出てこないのが今回の総理会見でした。

 また、財源の確保については年末に先送りされ、具体的な歳出削減や、噂される社会保険料負担増、扶養控除の見直し等についても明確にはされませんでした。

 これは、秋にも予想される解散総選挙に備えた国民負担隠しそのもので、選挙が終われば早速負担増が発表されるのではないかと怪しまざるを得ません。

◆先送りと選挙後の大増税
 もう一つの大きな争点だった防衛増税については、16日に大幅な防衛費増額を根拠づける財源確保法が成立しましたが、具体的な防衛増税の開始は、2025年度以降に先送りされそうです。これについても、選挙前に増税を隠し、選挙が終わればきっちり請求というのは目に見えています。

 選挙は少し先に延びましたが、隠された増税を始め、物価高、低賃金、子育て政策、と深く生活に密着する問題が争点になります。国会が閉会し、選挙まで数か月が見込まれる中、ひたすら街を歩いて皆さまの声を拾い集めながら、イシューセッティングをして参ります。

 

スタッフ日記「どら焼きの幸せ」

 最近、どら焼きをたくさん頂く機会がありました。奈良では三笠もしくは三笠焼きとも呼ばれるあの丸いスイーツです。今回頂いたのは、黒糖使用の甘みの深い美味などら焼きでした。

 どら焼きは伝統的な和菓子の典型に思えますが、明治以降に西洋からホットケーキが入ってくるに従って、カステラ状の生地に餡を挟み込む今の形になっていったようです。蜂蜜とバターがたっぷりかかったホットケーキのように、パン生地に甘いものを合わせるのは洋の東西を超えてみんなが好きな食べものなのでしょう。どら焼きは中身の餡も様々で、小豆の餡だけではなく、栗の餡だったり、餅だったり、要は甘くておいしければ何でも良いようです。

 三笠焼きの意味は、もちろん奈良の三笠山に形が似ていることからですが、どら焼きの「どら」の意味については、仏事などで打ち鳴らす「銅鑼」に似ているからだとも言われますが、はっきりとはしません。「どら」には放蕩(自分の思うまま振る舞うこと)や、怠惰にぶらぶらしている様という意味もあります。

 好き勝手な振る舞いで最近話題になった偉い政治家の「どら息子」や、一日中ぶらぶらしている「どら猫」などで使われています。

 むしろ、どら焼きのかもしだすイメージとしては、銅鑼よりこっちの方がしっくりきます。かといって決してマイナスのイメージではなく、甘みのぎっしり詰まったどら焼きを自由気ままにお腹いっぱい食べて、ぶらぶらとした時間を過ごす幸せなお菓子のイメージです。

 そんなことを考えながら、どら焼きを頬張る日々を過ごしています。(アタリ)

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