第1045号 大丈夫なん?弔問外交

2022年9月10日 (土) ─

 世間からの批判が日に日に強まる中、岸田総理は8日、議院運営委員会で国葬について説明しましたが、やはりその根拠や意義は分からないままでした。

◆締め切りが過ぎても返事なし
 国葬の実施理由の中で特に意義が怪しいのが、岸田総理が掲げている、「弔問を通じた各国首脳との外交」です。

 岸田総理が8月31日に会見で「諸外国から多数の参列希望が寄せられている」と述べるなど、政府は当初、安倍元総理の「偉大な外交功績」を考えると、国葬への出席希望が殺到し、各国のトップが集結するだろうとソロバンを弾いていたようです。

 しかし、ふたを開ければ主要先進国の首脳クラスは出席せず、その上、締切が過ぎても出欠連絡さえ寄こさない国が続出しているという始末です。

 特に、最大の同盟国のアメリカのバイデン大統領に加え、プーチン大統領とチャンネルを持ち、ロシア・ウクライナ対応で鍵を握るフランスのマクロン大統領が欠席とあっては、目下、外交上の最重要課題のウクライナ戦争に対する外交の場としての意味を持ちません。

◆おきて破りのフライング公表
 そうした状況に業を煮やしたのか、8日の議員運営委員会で岸田総理は出席予定の要人を一部公表しました。

 国葬の正当性をアピールする狙いがあったのかもしれませんが、通常、外国要人の来日はセキュリティの面などから、ぎりぎりまで伏せられます。今回も外務省は各種調整の上、国葬3日前に公表する予定でした。

 安倍総理の銃撃を受けての国葬であるのに、セキュリティ面をないがしろにしてまで開催を進める姿勢は、ただの意固地といっても過言ではなく、現に外務省関係者から「ありえない」との発言が飛び出すなど混乱が生じています。

 そもそも日本は弔問外交には消極的でした。ローマ法王が亡くなられた際は、各国がこぞって首脳を葬儀に送る中、日本は総理補佐官が参列しただけでしたし、親日家で知られたシラク元フランス大統領の国葬に参加したのは、政治家ですらない駐フランス大使でした。

 自らが行ってこなかったにも拘らず、自国の時だけ各国トップが集まってくると考えるのは、あまりにも見通しが甘いと言えるでしょう。

◆安倍外交の国際評価の現れ?
 国葬にしなければ各国トップが来てくれないというわけではありません。

 安倍元総理と同じく急逝された小渕恵三元総理の「内閣・自民党合同葬」には、当時のアメリカのクリントン大統領、韓国の金大中大統領、マレーシアのマハティール首相といった首脳が来日しています。

 今回は、警備への疑問や統一教会との関係、日本の世論などを見透かされ、出席の必要は無いと判断されているのが現状でしょう。

 また、推進派が盛んに主張する安倍元総理の「偉大な外交功績」も、本当に国際的に評価されているのであれば、多くの国が案内に返事さえしない淡白な対応を取ることはないはずです。

 国内の視点から見ても、北方領土問題でプーチン大統領に巨額の経済協力を約束させられたあげくかえって支配を強化される、高額なアメリカ製兵器を爆買いしてトランプ大統領の機嫌を取るなど、「誰もが認める」功績があるとは言い難いものがあります。

 これほどまでの批判にもかかわらず、結局、あいまいな法的根拠と意義、自民党関係者の何やら分からない感情的な空気で強行しようとしている国葬。岸田総理にはもはや、人の声を聞く力は無いようです。

 

スタッフ日記「今年の夏は暑かった!」

 9月に入り、日中はまだまだ暑いものの、ようやく朝晩は過ごしやすくなりました。コオロギや鈴虫など秋の虫の音が夜には聞こえてきます。70歳を超えた私の身体にはホット一息つくことが出来ました。

 今年の夏は、観測史上催促の梅雨明けで始まりました。 梅雨明け前後の6月下旬はダブルで発生した高気圧の影響で群馬県伊勢崎市で40.2℃、東京でも35.4℃と全国的に信じられないくらいの猛暑日が続き、これから始まる季節の過酷さをひしひしと感じたものです。

 7月には珍しく台風が上陸し、高知県に上陸。福岡、長崎、熊本などでは1時間に100mm以上の雨=ゲリラ豪雨が発生するなど全国各地で様々な災害が発生しました。

 気象情報を幅広く配信しているウェザーニュース社によると今年の7月~9月のゲリラ豪雨発生予想は、全国で9万回とされています。

 この数字は昨年と比べると1.4倍、過去5年平均の1.9倍なので、今後も河川の急な増水、道路の冠水など十分な注意が必要です。

 地球温暖化を主な原因として、猛暑や豪雨など様々な異常気象が発生しています。

 近畿地方でも当初6月28日と発表されていた梅雨明けが、9月1日になって気象庁から、実は今年の梅雨明けは7月下旬だったという発表がされました。

 気象のプロをも惑わす現状に、自らの命は自ら守ることを前提に気象情報に留意し日々活動しなければならないと自らに言い聞かせました。

 熱い夏の後の冬は寒いとの事で、私は今度は冬に向けて恐れおののいています。

 皆さまも体調に気を付けてお過ごしください。(スギ)

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