第977号 オールジャパンでワクチン確保へ
1日、政府は大阪などに新型コロナの「まん延防止等重点措置」を適用することを決定しました。
◆失政が招いた第4波
急速な感染再拡大は明らかな「第4波」です。先般のまぶちニュースでも「今ではない緊急事態解除」というテーマで、感染拡大の中、緊急事態を全面解除することに反対しましたが、やはり人の流れが活発化する3月中旬以降、感染が全国的に広まってしまいました。首都圏でも、一足早く解除された関西圏の後を追って、さらなる感染拡大が予想されます。
急激なリバウンドが起こったのは、政府が2度目の緊急事態宣言を出すのが遅れたことや、宣言の期間を絞って発表した後に漸次的に期間を延長したことなどで、市民感情としてはこれ以上我慢できなかったという事情もあると思います。政府が最初から必要な自粛期間を算定し切れず、甘い見通しで短い期間を発表しておいて、期間の引き延ばしを繰り返していったのは危機管理上も最悪の対応でした。世間の危機感が切れてしまったのも当然の結論で、政府の失政が第4波を招いたと言えます。
◆奈良でも考え得るまん延防止等重点措置
まん延防止等重点措置は、緊急事態宣言に準じる措置ですが、都道府県単位ではなく、市町村単位で地域を絞った適用が可能です。奈良県でも連日50人弱の感染が確認され、人口が東京の10分の1以下であることを考えると、東京で連日約500人の感染者が出ている換算です。大阪と密接な関係を有する奈良において、1日の感染者数が連日50人を超えてくるようならば、例えば奈良市や生駒市などに絞ったまん防の適用が検討課題に挙げられると思います。
◆決死のワクチン確保へ
ただ、まん延防止等重点措置は基本的に飲食店への時短要請などが中心となるもので、今までと同様に、それだけで感染を鎮火させて継続的に封じ込めることは困難です。まず必要なのは1年前から言い続けてきた検査拡大で、新規感染者数をギリギリまで減らすところまで耐え、クラスターが発生した地域の集団検査・隔離等を組み合わせて、継続的に封じ込める戦略へと転向すべきです。
そして、切り札となり得るワクチンに関しては、国から接種に関する情報が一向に入ってこないという声を地元でよく聞きますが、国はワクチン会社との契約を盾に情報公開を拒み、具体的な接種スケジュールを明確にしません。2月中旬から始まった医療従事者に対する接種も、3月31日時点でようやく100万回に達したに過ぎません。
いつ、誰が、どのような形でワクチンを打てるのかの見通しを明確にしなければ、まん防や緊急事態を出しても、国民が緊張感を持続することは難しいでしょう。ワクチン接種スケジュールを明確にし、さらに前倒しで進めた結果、感染者数が激減しているイギリスの例もあります。
ワクチンの確保は今や国同士の競争ですが、日本は出遅れています。契約で詳細は言えないなどという無責任な対応ではなく、政権が命運をかけて、契約の見直しや新ルート開拓などで確保に取り組むべきで、野党にも海外との交渉や地元の接種体制の充実に動ける議員は多くいます。今こそオールジャパンで、党派を超えて全国会議員が主体的に確保と接種に全力で取り組むべき時だと思います。
スタッフ日記 「注目の知事選」
12年ぶりの新人争いとなった千葉県知事選は、千葉県育ちの私にとって印象に残る選挙戦でした。
まずは、その圧倒的な票差です。無所属である元千葉市長の熊谷候補が過去最多の140万票を獲得し、次点候補者と100万票以上の差をつけ圧勝しました。これだけ票差をつけた背景には、スピード感のあるコロナ対策をはじめ12年間の地道な千葉市長時代の活動が千葉県民に評価されたのだと感じています。私の行きつけの美容室では「熊谷市長の迅速なコロナ対応は経営者として本当に助かった」と語っていました。地元の友人から、熊谷市長は人気あるよ、と良く耳にしていたので、今までの知事選とは違う雰囲気が漂っていたように感じます。
そして、期待の新人が千葉に新しい風を吹かせてくれたこの選挙、蓋を開けてみると様々な候補者が乱立する混沌とした選挙でもありました。突拍子も無い言動で、注目を浴びることが目的なのでは、と感じるような候補者もおり、その異様さはネット検索すると「千葉県知事選やばい」とキーワードに上がるほどでした。
普段政治に関心のない友人が投票に行ったと聞き、その理由を尋ねてみると、ただ変わった候補者が沢山いて面白そうだったから、と答えが返ってきました。私は驚きを感じるとともに、千葉県の未来を選択する大切な選挙が一種のパフォーマンス化していることに強い危機感を持ちました。
千葉県に12年ぶりの新たな風が巻き起こった今回の知事選、新知事による新しい千葉県の第一歩に今後も注目していこうと思います。(ちーばくん)