第950号 与野党のメディア攻防

2020年9月19日 (土) ─

 16日、衆参両院での首班指名を受けて菅政権が発足しました。新党立憲民主党も15日に結党大会を開き、新しい与野党対決の構図が出来上がりました。

◆巧みなメディアPR
 菅政権は発足直後の世論調査で、軒並み60%から70%台の高支持率となっています。辞任表明前の安倍政権の支持率が30%台であったことを考えると、歴代内閣の交代劇の中でも際立った上昇率です。

 しかし、菅政権の顔ぶれは、初入閣はわずか5人にとどまり、財務・外務・経産の主要大臣は再任され、安倍政権の基本的政策が全て継承されることが明らかになっています。政策転換がなく、前政権で事実上のナンバー2だった菅官房長官が総理に繰り上がっただけの新政権が、一挙に倍の支持を集めることに対しては、驚きとともに、菅総理と自民党のメディア戦略の巧みさを認めざるを得ません。

 安倍総理のサプライズ的な辞任表明に始まり、派閥の根回しにより早々に菅総裁誕生の道筋が作られ、岸田・石破両氏との政策論議の意義が低下しました。その上で各テレビ局を行脚し、「秋田の農家生まれの叩き上げ」という菅総理のパーソナリティを浪花節的な美談として打ち出したメディア展開が徹底されました。結果、当初地方票で優勢と言われた石破議員から菅総理へと一気に票が流れ、世論も菅総理誕生への肯定的意見が多数となりました。そして総裁選出後も、党人事や大臣内定者をメディアに小出しにして常に報道の中心を占める戦略が取られ、同時期に結党大会を行った野党の影が薄くなってしまった感は否めません。

◆本質見極めた投票行動を
 菅総理の議員票圧勝、苦労人、地方出身で地方重視、こうした情報で地方票が一気に流れたこと、有権者の高支持獲得という一連の流れを見るに、他党の総裁選挙とはいえ、党員を含めて、民意とは何なのか?と考えざるを得ません。あまねくどの選挙でも起きうることですが、有権者は、メディアによって圧倒的な情報の非対称性を生み出されてしまうと、情報不足ゆえに、なすすべなくメディアに誘導されてしまう状況が生じます。

 政権のトップに立つということは権力闘争なので、勝つためには何でもありということは理解していますが、こうしたある意味テクニカルな選挙技法によって総理が決してしまうことをどれだけの国民が理解、納得あるいは否定も含めて考えて頂いているのかという思いもあります。

 近々想定される、党首選挙ではない、衆院総選挙という民意の発露の場では、メディアの提供する情報の非対称性の裏にある本質を見極めて頂いた上で、投票行動という意思表明を行って頂くことを期待したいと思います。

◆立憲民主のメディア戦略
 一方、立憲民主党は国会議員数150人でスタートしました。衆議院議員は107名となり、数の上では総選挙を戦える戦力が揃いました。しかし、支持率とメディアPRでは自民党にリードを許しているのが現状です。今後は、あっという間に大きく揺れ動く世論に対してどのように新党の本質部分を訴えていくかがポイントだと思います。立憲民主党としての政権奪取と政権運営構想というサプライズ、及びストーリー性を持った戦略的なPRを党に提案していきたいと思います。

 
スタッフ日記「千葉県のイメージ」

 9月よりまぶち事務所でインターンをしている同志社大学の一年生です。私は千葉県出身者として、とても気になっていることがあります。

 奈良にお住まいの皆様は、千葉県にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

 関西に来てから、お会いする方々に千葉のイメージを尋ねると、落花生、ディズニーランド、など様々な意見が寄せられる中、特に印象的だったのが「ヤンキーの町」という意見でした。そのイメージが定着した背景には『木更津キャッツアイ』、『氣志團』、『今日から俺は』などのヤンキーがテーマとなっている映画やドラマなどの作品、団体の影響が考えられます。 

 さては本当にヤンキーが多いのだろうかと、旧友に連絡したところ、ボンタンや三段シート、特攻服など映画の中でしか見たことのない服装をした人が、花火大会などにはお決まりのように歩いているため、確かに千葉はヤンキーの町であったのだ、といまさら実感しています。 

 そのようなイメージを持たれている千葉ですが、実は奈良との共通点があります。それは地理的に大都市に近いという点です。奈良は大阪、千葉は東京と隣接しているように、通勤、通学において非常に便利な立地です。両県共にほどよく便利で静かな、定住するにはもってこいの県です。奈良でインターンをするようになってから、千葉県に似た静かなとても住みやすい空気感に、勝手ながら親近感を抱いております。

 このインターンを通じ、千葉にはない歴史や伝統など奈良の魅力をもっと感じ、千葉との共通点を見つけていきたいと思います。(チーバくん)

第950号 与野党のメディア攻防