大きな塊へ

2020年9月3日 (木) ─

 今日3日、私は野党新党への入党宣誓書を国民民主党本部に提出した。今後は、野党新党の一員として活動する。

 私は、2017年10月の衆院総選挙での落選以来、バラバラになってしまった野党をまとめて大きな塊を作り、政界を再編していくことこそが自らの使命だと肝に銘じ、浪人同志をまとめて一丸の会を作り、自らは無所属の立場で活動を続けてきた。

 2019年2月の繰り上げ当選後も、政党には所属しないまま、国民民主党や立憲民主党、無所属議員などで結成された国会内の共同会派「立国社」に参加し、予算委員会委員として表舞台での活動も続けながら、あと一息の政界再編を信じて行動してきた。

 そして、今年6月2日には、かねてよりの玉木雄一郎代表、平野博文幹事長からのお誘いもあって、野党をまとめ上げる政界再編を加速させなければならないとの決意の下、国民民主党に入党し、政界再編の新たなステージに向けて取り組んできたところである。

 そうした中で、国民民主党と立憲民主党による各党の解党と新党結成話が本格化し、8月19日、国民民主党は両院議員総会で、党所属国会議員62名の内、採決には59名が参加し、57名の賛成、2名の反対で、党を解党して新党を結党するという決定を行った。私もこの決議には賛成した。

 一方で、28日には安倍総理が体調不良を理由に退陣を表明し、自民党内での派閥の力学により、あっという間に菅政権が発足する見込みとなった。新政権にまず求められるのは、臨時国会を開いてコロナ収束に向けた対応を行い、同時に戦後最大のGDP下げ幅を記録して危機に立つ経済への緊急対策を講じることであるが、いま聞こえてくるのは、支持率のご祝儀相場を背景に、10月にも解散・総選挙を行うのではないかという話である。

 私自身は少なくとも年内の総選挙はほぼ確実と見ているが、そうなった場合、与党を喜ばせるだけの、2017年の民進党分裂選挙のような過ちを繰り返すことはもはや国民に対する背信行為であり、決して許されるものではない。野党はもはや小さなコップの中で争っている場合ではなく、ポスト安倍時代にどのようなビジョンを持った政権を築くのかを国民に明確に示すべき時に来ている。次の衆院選挙は、菅政権と野党との間で、まさに文字通りの政権選択選挙としなければならないのである。そのためには、大きな塊として集い、新代表を選び、国民に選択肢を示さなくてはならない。

 先述したように私は、自民党に対抗する大きな野党の塊を作ることを落選以来訴え、政界再編を促し、一丸となって国民に選択肢を示すことこそが自らの使命であるとして、「再誕」のスローガンを掲げてきた。今回の新党結党に様々な意見があることは承知している。しかし、自民党に対抗する大きな塊を作るという初心に忠実に、自らの使命を果たすには、大きな塊としての新党に参加することがベストだと考え、参加を決意した。

 自らの意思で新党に加わらない国民民主党議員が出たことは残念だが、それは政治家としての判断だ。政治家の出処進退は各々の判断に委ねられるものであり、最終的に違う道を歩むことを決意されたのならばやむを得ない。ただし、政党が違っても与党に対抗する野党勢力として協力できるところは協力すべきであり、与党を喜ばせるだけの対立は避けなければならない。

 それは他野党、例えばれいわ新選組との関係も同じである。私自身、新党入党後も、山本太郎代表との個人的関係は続け、選挙で協力できるところは協力していきたいと考えている。新党だけで野党の大きな塊が完成したわけではなく、選挙に向けて速やかな協力関係を作るために自分が役割を担えるのであれば、積極的に取り組んでいきたい。

 新党のもう一つの大きな課題は政策の打ち出しだ。菅政権と対峙できる明確な対立軸を設定しなければならない。

 約8年に及んだ第2次安倍政権だが、総理が悲願としてきた憲法改正は結局成し遂げられなかった。アベノミクスと呼ばれた経済政策に目を移すと、初期こそ金融緩和によって円安と株価上昇を生んだものの、2度にわたる消費税増税や、特定大企業の優遇、既得権益層の温存により、庶民の暮らしは悪化を続けてきたというのが率直な感想だ。今こそ抜本的な方針転換が必要であるが、菅政権は安倍政権の政策を引き継ぐことであろう。

 ならば野党が真っ先に打ち出すべきは、消費税減税とコロナ不況で弱りきった国民生活の底上げ以外にない。そのためには緊急的に消費税を大幅に引き下げて国民の日々の消費を下支えすることが必要である。新党に参加したとしても私のこの主張は変わらない。もちろん、安倍政権で遅々として進まなかったPCR検査の充実など、コロナ収束への徹底的な対応が必要なことは言うまでもない。

 野党新党は、特定の既存政党の政策を引き継ぐものではない。つまり、新党として全く新たな議論が始まるということだ。この点はぜひ強調しておきたい。

 例えば、立憲民主党は今まで党として消費税減税には消極的だったが、8月31日に枝野代表が消費税や所得税の減税などを掲げることに前向きの意向を示した。玉木代表も2日の記者会見で、枝野発言を評価した上で、消費税減税を次期衆院選で野党陣営の旗印にしたいとの考えを示している。新党の経済政策はまだゼロベースだ。私の持論である消費税減税は、研究会で重ねられた議論を取りまとめる段階にある。早々に消費税減税と代替財源案を公表し、消費税減税を来たるべき衆院選での野党共通政策とすべく、新党で活動していきたいと考えている。

 新党結党は「始まり」に過ぎない。全てはこれからだ。新たなステージで自らに与えられた役割を果たし切っていきたい。

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