第920号 カジノの経済議論

2020年2月15日 (土) ─

 衆議院予算委員会における総予算審議6日目、2月10日(月)、ようやく、私にも質疑の機会が訪れました。

◆カジノ市場の規模
 昨年11月の事故から復帰して初めての国会質疑。それも予算委員会ですから、政府の姿勢を質す政策議論を行いたいと意気込んでおりました。

 7日(金)に予定していた質疑は延期となり、結局、北村大臣の答弁能力追求によって、質疑時間が当初の1時間から半分の29分間となってしまいましたが、10日(月)に私はカジノの経済議論という観点から質疑をいたしました。

 そもそもカジノ市場規模は、シンクタンクの試算などで2~3兆円という莫大な規模の数値が踊っておりましたが、認定審査を行う政府側は一切、それには触れてきませんでした。しかし、シンガポールやラスベガス、マカオのカジノ市場規模は規制当局や事業者の年次レポートで、カジノゲーミング収益(Gross Gaming Revenue=GGR)として公表されております。

 まず、私はこのデータから、日本で最大3カ所と言われるカジノのGGRを日本のIRのモデルとしているシンガポールのデータから推計し7400億円と算出し示しました。国交省がカジノ事業者を認定審査する評価基準が「2030年の訪日外国人旅行者消費額15兆円への大きな貢献」とされていますが、実はその市場規模は目標数値の5%にも満たないレベルであることを政府は認めました。ブラックボックスのまま議論するのではなく、本当に「成長戦略の目玉」となりうる政策なのか?ハナからIRありきとなっているのではないのか?と詰めていきました。結局、赤羽国交大臣は、評価基準の見直しにまで言及し、私の指摘を全面的に認める質疑となりました。

◆控除率
 GGRは利用者に払い戻しをした後の粗利益であり、カジノの世界では総売上に対するGGRの比率を「控除率」と称します。いわゆる胴元の取り分です。

 この控除率、日本では公営競技の競馬、競輪、競艇などは25%と法定されていますが、カジノについては法律の定めはありません。しかし、年次レポートなどから、カジノ控除率は細かく公表されており、ラスベガスではおよそ10%程度となります。日本でもおそらく海外の事業者がカジノを行うことが予想され、概ね10%近傍となることが予測されます。この数値の大事なところは、規制当局が厳しくチェックしていく基準となると言うことです。

 不公正とならず、またいたずらに射幸心をあおるゲームとならないように監督していくのが、内閣府所管のカジノ管理委員会となります。質疑ではこの控除率の概算を政府としても予め得ておくべきだと武田内閣府大臣に迫りましたが、明確な答弁はいただけませんでした。

 しかし、国会質疑で、市場規模をGGRで提示し政府に認めさせ、控除率の概算を示せたことは、ブラックボックス化したカジノ議論を一歩前進させることが出来たと思っています。

 次回は17日(月)、TV入りで、消費増税後の景気問題を取り上げたいと思っています。

 

スタッフ日記 「野球あたま」
 金田正一さん、野村克也さんなど、往年の野球界を支えたスターが最近相次いで亡くなられています。僕の世代ではお二方とも、現役時代を終えての監督や解説者としてのイメージで、自身が野球をやっていたためテレビでプロ野球中継を見ることは多く、なじみ深い存在でした。

 昔、大記録を残して引退したプロ野球選手で構成される名球会チームと、地元の滋賀県選抜チームが親善試合を行うというので見に行ったことがありました。その時の名球会チーム先発投手が、既に引退してからはかなり経つ金田さんでした。さすがに現役時代の豪速球とはいきませんでしたが、大きく振りかぶるフォームは今でも印象に残っています。また、試合の前の講演会で間近で見る機会があり、体の大きさに驚いたことも覚えています。

 野村さんは、監督時代の名勝負の数々はもちろんですが、解説者として、あの耳から離れない低い声でピッチャーの配球を予測する解説が印象に残っています。当時、野球少年の間でもノムさん解説は話題となり、こぞって対戦相手ピッチャーの配球を探ろう、なんていう話で盛り上がっていました。結局、少年野球はストライクさえ入らないピッチャーが多く、配球を探る以前の問題でしたが。

 テレビで見る野球選手や野球監督も、自分にとって野球の指導者でした。子どもの頃からたくさんの名選手、名監督のプレーや発言から学ぶことで、「野球あたま」が出来上がっていったのだと思います。これからもまだまだ、自分の「野球あたま」をアップデートしてくれる選手や監督が現れて欲しいと思います。(アタリ)

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