第907号 国交委員会で防災を質す

2019年11月9日 (土) ─

 10月30日、私は国土交通委員会で質疑に立ち、台風19号による水害について、政府の姿勢を質しました。

◆避難所区分の分かりにくさを指摘
 今回の質疑で特に重視したのが、防災のソフト面での改善です。災害が発生するたびに、ハード面の整備の必要性が大きく取り上げられますが、完成に400年、12兆円かかると言われたスーパー堤防計画のようなハード整備は不可能です。むしろ今後はソフト面の冷静な検証と整備が重要だと考えています。

 その一つとして今回指摘したのが、住民の避難場所への誘導です。災害対策基本法では、「指定緊急避難場所」と「指定避難所」の2つが明記され、前者は災害が発生した際に緊急的に逃げ込む場所で、後者は災害後に必要な期間滞在し、避難生活を送る場所とされています。災害発生時は、まず「指定緊急避難場所」に逃げる必要があります。

 ところが、この区分は住民に周知されていないばかりか、両者が重なる場合もあり、ハザードマップのマークでもどこがどれにあたるのか非常に分かりにくくなっています。質疑では、これらの区分と表記を改善することで、分かり易い避難を可能にすることを提案しました。

◆計画不備が招いた新幹線浸水
 防災のソフト面の運用改善として、もう一点提案したのが、防災行動計画(タイムライン)の活用です。

 タイムラインとは、災害の発生を前提に、「いつ」、「誰が」、「何をするか」に着目して、防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画です。つまり、発災の前後でどのような防災行動を取るかの指針です。

 今回氾濫した長野県千曲川では、住民の被害はもちろんですが、北陸新幹線の車両120両が浸水し、全て廃車を余儀なくされるという、物的に甚大な被害が生じました。北陸新幹線の完全な運行正常化には相当の時間がかかるとされ、これは日本の人の流れ、物流にも大きな悪影響を与えています。千曲川では、アメリカのハリケーンの事例を研究して、タイムラインが事前に作られていたにもかかわらず、新幹線の退避にまで計画が及んでいなかった不備を指摘しました。

 そして、他の新幹線車両基地が想定浸水区域に含まれているのかを赤羽国交大臣に問うたところ、車両基地と留置線合わせて全国28か所中、16か所が想定浸水区域に含まれているという事実が明らかになりました。

◆提案型の質疑を意識
 赤羽大臣は、「浸水の影響の大きさや、対策の有効性などについて鉄道事業者に検証作業をさせている」と答弁しました。今後は、車両退避計画を具体化していくことが必要で、その問題意識をしっかりと提示でき、政府もそれを受け止め、対応に踏み出したと考えています。

 さらに、八ツ場ダムが洪水を防ぐのにどれだけ効果を持ったのかについて、国交省は具体的には検証していないことも明らかにするなど、多面的な質疑が出来たと自負しています。

 気候変動により、さらなる豪雨も想定される厳しい状況の中、新しい防災の姿を模索しなければなりません。今後も、単なる政府の批判に終始することなしに、改善すべき事項を具体的に指摘し、提案する姿勢で質疑に臨んで行きます。

 

事務所からご報告

 この度の馬淵の11月4日の交通事故につきましては、多くの皆様にご心配とご迷惑をおかけしましたこと、心からお詫び申し上げます。
 また、皆さまから、多数のご心配や励ましのお声を頂戴しておりますこと、感謝御礼申し上げます。

 11月4日、午後2時45分、奈良県吉野郡上北山村の国道沿いにて山側壁面コンクリート擁壁に衝突。夫人が運転し、本人は助手席で休んでいたところ。夫人は肋骨にヒビと両膝の打撲で軽傷のため救急車で、馬淵本人は、全身打撲、左手首骨折、小腸間膜損傷による腹腔内出血の為ドクターヘリで奈良県立医大附属病院に搬送、緊急手術を無事終えました。

 現在は、集中治療室から高度ケア治療室に移り、療養中。一日も早く、皆さまの前に元気な姿をお見せできるよう療養してまいります。
 
 今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。  馬淵澄夫事務所所長 森田浩行

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