第900号 正念場の野党統一会派

2019年9月21日 (土) ─

 来月4日に召集予定の臨時国会に向けた、立憲民主党、国民民主党、「社会保障を立て直す国民会議」による、野党統一会派結成の動きが正念場を迎えています。

◆連立政権が世界の潮流
 野党統一会派の結成には、人事や政策で各党の思惑に微妙なズレがあり、一筋縄ではいかない交渉が続いています。私は、前回の衆議院選挙に落選後、バラバラになってしまった旧民主党を中心とした野党勢力の結集を目指して活動してきました。今もその思いは変わりませんが、前回選挙から1年10ヶ月の時を経、必ずしもそれぞれの野党が一つの党となって与党に対抗する必要は無いとの考えに至るようになりました。

 人々の価値観の多様化、そして資本主義と社会主義といった明確な対立軸の消滅を受けて、政党もまた多様化し、複数の政党が連立を組んで政権を担当するのが世界の潮流です。アメリカは例外的に2大政党制が根付いていますが、その実態を見ると、共和党、民主党に大きく分かれてはいるものの、それぞれの党に党首は存在せず、党内の意見も多様で、一枚岩ではありません。共和党、民主党ともに、様々な主張を持った政治集団の緩やかな連合体というのが、アメリカ2大政党の本質と言えます。

◆多党間の緩やかな連合を
 日本は戦前、立憲政友会と立憲民政党による2大政党制が機能した時期がありましたが、政治腐敗などでごく短期間に終わりました。戦後は政党の離合集散、新党の結成と既存政党の吸収合併などが多く、明確に2つの政党に意見を集約して、「白か黒か」の選択肢を国民に迫るという政治風土が形成されてこなかった歴史があります。

 こうした歴史と世界の潮流を考えると、無理に自民党に対抗する統一野党を作るよりも、それぞれの野党がお互いの自立性を保ったまま、減税の実現などの大きな旗印の下に集まる、緩やかな連合体を作って与党に対峙していくことが、政権交代のための現実的な方法ではないかと思い始めています。

 臨時国会での会派届出の期限は、25日に迫っています。統一会派結成の話し合いは予断を許さない状況ですが、ぜひ大局的な視点に立って、まずは緩やかな国会共闘の形から連合体をスタートさせる英断を各党首に期待したいと思います。

◆野党連合体を作るために
 私自身は、13日に、一丸の会の講師として、山本太郎れいわ新選組代表を招き、野党の動きについて仲間と共に語り合いました。特に、目前に迫った消費税増税への反対と減税政策の必要性について意見は一致し、野党勢力の旗印になることを確認しました。

 一丸の会とれいわ新選組が今すぐに合流するというわけではありませんが、今後の野党勢力結集に向けて連携を取ることも確認しました。れいわ新選組との連携も、緩やかな野党連合体を作っていくための手段です。統一会派が結成された場合に、私自身が参加するかどうかは白紙の状態ですが、野党勢力の結集という信念はそのままに、何がベストの行動かを模索していきたいと思っています。

 

スタッフ日記 「風化させない記憶」

 黄金色に田んぼを染める稲穂が、実りの秋がもうすぐだと感じさせてくれます。

 9月6日は私にとって特別な日。北海道胆振東部地震で実家が被災して一年が経ったこの日、もしも、という事態が現実として起こりうる事を突き付けられたあの日を忘れる事はありません。

 5月に北海道に帰った際、大規模な土砂崩れが発生した厚真町の田舎道を通る機会がありました。いまだ8割以上の道路や河川などの復旧作業が完了されておらず、街は一年経ったいまでも復興というよりも、やっと元の生活に戻りつつある、というのが現状です。田んぼに流入した土砂や流木の一時的な除去は終わっても「一度違う土が入ってしまったら、ここから3年は良い米は育たない」と親戚は肩を落としていました。若者の人口流出も一層進んだそうです。

 奈良市では、9月1日の防災の日、初めてとなる市民いっせい避難訓練が、各小学校や地域のコミュニティセンターなど計57ヶ所で地域防災能力を日頃から高めていく大切な日として、奈良市総合防災訓練として実施されました。実際に、避難開始時刻の9時半には防災行政無線とエリアメールで避難所開設の情報が発信され、小学校の体育館で皆が一斉にカバンから携帯を取り出す光景は、訓練と解っていながらも焦ってしまいました。

 千葉県ではいまだ大規模な停電が続いています。私達の生活でもはや手放すことのできなくなってしまった携帯電話。当たり前の事、から、もしも、との意識を日頃から持つためにも、災害時にも充電できる手回し充電機から買い揃えたいと思います。(特命係長)

第900号 正念場の野党統一会派