□■養育費債権

2019年6月5日 (水) ─

 地元活動の中で、シングルマザーからの嘆きの声ということで耳にした養育費支払不履行の問題も、極めて重要な課題だと思って取り組んでいる。

現在、離婚時の取り決めあるなしに関わらず、養育費を非同居親から受け取ることが出来ている同居親は、2割程度である。

知識がない、関わりを持ちたくないなどで、不要とされた方なども含まれるが、世界的な趨勢から見ると、著しく低い数値だ。

そして、私が、地域で聞いた訴えの話の大半は、元夫の勤め先や住所が変わり、養育費の請求そのものが出来なくなって、泣き寝入りしているというものであった。

諸外国では、こうした状況を起こさないために、政府による立て替え支払い、直接税と同様の公会計官による公的取り立てによって、子どもの養育義務を強制的に課している。

我が国でも、家裁における離婚の調停調書や審判書に基づいて、強制徴収が可能とされているが、勤務先が変更となった場合の徴収は不可能となり、幼子を抱えて、ダブルワーク、トリプルワークに明け暮れる若いシングルマザーにとっては、対応が事実上困難となる。まさに、泣き寝入り…。

明らかな制度の不備、である。

今国会では、養育費取り立てのために、相手方の住所や職場を追跡しやすくする民事執行法改正がなされたが、基本的に取り立てが当事者任せのままでは、根本的な解決には程遠いと思われる。

締約済みの国連子どもの権利条約27条4項の定める「父母または児童について金銭上の責任を有する他の者から、児童の扶養料を自国内で及び外国から、回収することを確保するための全ての適当な措置をとる」を満たしていない。

立て替え払いや、税としての強制徴収など、外国の例は、親としての養育義務を国家が厳しく担わせるということの表れでもある。

かつて、我が国でも、1985年に児童扶養手当支給の場合の父親からの費用徴収制度の導入検討や、1997年の再びの検討の経緯があるが、結局は、離婚後の父親の扶養義務についての民法との調整がつかず、立ち消えとなった。

そして、34年経った今日も、母子家庭の皆さんの、生き辛さは続いている。

議員立法や、強制手段の具体的な設計が必要だと、強く思っている。

□■養育費債権