耐震化事業推進の一手法

2011年7月15日 (金) ─

 二次補正予算審議が本会議にかかり、来週中にも二次補正が結することになる。

 一方で、特例公債法は成立が見えない。未だ、混沌とした状況が続く。

 今日の日経朝刊の経済教室に早稲田大学の川口有一郎教授が、東日本大震災の教訓をもとに、都市機能強化を図るべきという論文を発表されている。

 論旨は、81年以前の旧耐震基準建物が3割を占める大都市圏において、耐震化促進の民間資金を集めマーケット主導の大都市機能強化を図るべきだとして促進策を述べておられる。

 倒産隔離目的の不動産ファンドの設立が現行法制では困難なため、デベロッパーが自力で行う以外にない状況の打破のための、不動産特定共同事業法(不動法)の改正を行うべきとの指摘は、まさに国交省で進めようとしてきた法案を示すもの。

 昨年の暮れ、ねじれ国会の中で法案の絞り込みの過程で不動法の改正を見送ったが、こうした震災の影響と今後の復興を考慮すれば、是が非でも通さなければならない法案である。

 改めて、川口先生からのご指摘は時宜を得たものでもある。

 更に、大臣時代、Jリートの低迷について危惧し内部留保の検討を不動産投資市場戦略会議に諮問した。

 現行のスキームでは、リートは税法上90%以上の譲渡益を配当に回さなければならず、実態としてはほぼ全額配当していた。こうした状況で、物件売却譲渡益を配当せずに購入資金に充てらる税法改正の提言は、内部留保を現実化する一手として不動産投資市場戦略会議の報告書にも記されたものであった。

 こうした、諮問会議の検討結果がその後の研究につながり現実のものとなることが、ニッポンの復興と新生への確実な一歩となる。

 川口先生の提言が、今後の国交省の検討の俎上に具体的に上ることを強く期待する。

 国交省を離れ、党役員、補佐官を歴任し、最近になってぼちぼちと国交部門のその後の政策についても意見を述べていこうと思っていたところ、鷲尾「海上警察権のあり方に関するWT」座長からお声掛けいただいて、海上警察権の見直し経緯についての講演の機会を来週いただいた。

 尖閣諸島沖問題で問責決議を受けた大臣として、最もこだわった行政法のアプローチを、しっかりと皆さんにも知ってもらいたいと思う。

 原発問題のみならず、古巣の政策も黙ってはいられない。

耐震化事業推進の一手法