第677号 戦後70年の国会論戦

2015年2月21日 (土) ─

 戦後70年となる節目の国会で、安倍総理は12日、衆院選後初めてとなる施政方針演説を行いました。

◆見えない「改革」の行き先
 総理は、演説で、経済再生、社会保障改革、地方創生、外交・安全保障の立て直しなどを「戦後以来の大改革」と位置付け、ひるむことなく、改革を進めなければならない、と述べました。

 もちろん、既得権にしばられ、時代遅れとなった制度は変えていかなければなりません。しかし、総理の言葉は、改革を叫ぶだけで、「改革」の行く先を具体的には示していません。例えば、仮に現政権が目指していると思われる新自由主義的な方向性での改革を進めていく場合には、本来、現実に生じている格差の問題から目を逸らすことはできません。改革による経済成長を打ち出すだけではなく、それとセットで格差是正に対する具体的な政策を提示していくことこそ、国民が求めていることです。それにもかかわらず、総理は「格差」については言及しませんでした。

 目先の改革を語る雄弁さとは裏腹に、改革の目指す方向については口を閉ざしたまま。これが特に明確に現れていたのは、安全保障政策です。総理は「積極的平和主義」や集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制について触れていましたが、従来から曖昧さが指摘されている集団的自衛権が適用される具体的ケースやその限界などには触れないままでした。政権の掲げる積極的平和主義は、戦後日本の安保政策を大きく変質させるリスクを伴っています。前回お伝えした他国軍へのODA(政府開発援助)支援、武器輸出三原則の緩和、そして限界なき集団的自衛権の行使容認等、これまでの外交・安保政策を大きく転換する政策にも関わらず、国会はおろか、国民の前でも十分な納得できる説明が尽くされていない状況です。

◆戦後70年の国会で
 今年は戦後70年の節目の国会です。総理が、「戦後以来の大改革」を掲げ、大きな方針転換を掲げる以上、我々野党第一党としても、大きな軸を示した論戦を行っていく必要があると考えています。これまで様々な場所でお伝えしてきた通り、民主党と自民党の根源的な違いは、経済の成長を前提としつつも、その成長によって得られた果実をどのように配分するかという点です。経済成長によって得られた果実を、更なる経済成長に振り向けていこうとするのが自民党の政策であり、一方、経済成長によって得られた果実をバランスの取れた社会をつくるために「再分配」に振り向けていく必要があるとするのが民主党です。我々は、成熟成長の時代にあって、経済成長を志向しつつも、社会の様々な歪みや「格差」を是正し「共生の社会」をつくっていくことこそが、政治の役割と考えます。

 加えて、外交・安全保障政策に関しては、理念先行の危うい外交・安保政策ではなく、日本を取り巻く「脅威」の内容を特定し、国民への丁寧な説明のもと「冷静かつ現実的な」対策を提示していくことが必要です。

 戦後70年の国会にあたり、今後我が国が進むべき大きな方向性や安全保障政策のあり方等、しっかりと対立軸を示し、自らが先頭に立って骨太の議論を行ってまいります。(了)

スタッフ日記「ラストラン」
 大阪から札幌を結ぶ、豪華寝台特急「トワイライトエクスプレス」の運行終了が正式に発表されました。上野から札幌を結ぶ“最後のブルートレイン”と呼ばれる「北斗星」も、定期運行が終了となるそうです。

 大阪から札幌の間、約1500キロを22時間で結ぶトワイライトエクスプレスは、多くの鉄道ファンから愛され、一度は乗車してみたい寝台列車として長年トップを独走してきました。

 私もいつかはこの列車でゆっくりと北海道へ帰ってみたい!と憧れをもっていただけに、少し寂しさを感じます。

 車内は、まさに動くホテルのようなしつらえで、北陸から東北の日本海側を通り、海に沈む夕日を眺めながら夕食を楽しめる格別な時間は、この特別な列車ならではの醍醐味です。

 私が幼い頃、プラモデルや鉄道模型の好きだった父が休みの日に鉄道模型を部屋いっぱいに広げていました。

 なかなか触らせてもらえなかった模型の中で、木箱の中にしまってあった、このトワイライトエクスプレスに憧れをもっていたのは言うまでもありません。家族旅行で“北斗星”に乗車した時の、ワクワクは今も薄れることなく鮮明に覚えています。

 今回のこのラストランは、車両の老朽化と北海道新幹線開通に向けた、青函トンネルの工事が始まることが理由とされているそうです。

 この春、両親が北海道からこのトワイライトエクスプレスに乗り、奈良に来ることになりました。なかなか北海道にも帰れず、親孝行もできていない私ですが、久しぶりにあの頃の鉄道話に花を咲かせたいと思います。(特命係長)

第677号 戦後70年の国会論戦