第526号 地震と首都機能バックアップ
1月23日、東大地震研究所が首都圏でM(マグニチュード)7級の直下型地震が4年以内に70%の確率で起きる可能性があるとの試算を行ったという報道がありました。政府の評価である「30年以内に70%」という確率を大きく上回るものとして他のメディアも一斉に取り上げ、大きく報じられることになりました。果たして本当に4年以内に首都東京を直下型地震が7割の確率で襲うことになるのでしょうか。
◆地震予知の複雑さ
首都圏直下型地震とはどのようなものを指すのでしょうか。政府の中央防災会議による「首都直下地震対策大綱」では2010年1月に①ある程度の切迫性が高い②都心部の揺れが強い③分布が広域的に広がっている、との理由から首都地域で想定される18の地震像のうち、北米プレートとフィリピン海プレートの境界で発生するM7.3の「東京湾北部地震」を対策検討の中心とするとしており、過去150年間に起きたM6.7から7.2の地震の回数を数えてその頻度から確率を求めています。つまり、政府の計算では、定常的な地震活動の中から首都直下地震に相当する地震を選び出し、発生確率を割り出す方法を取っています。
一方、今回の東大地震研の試算は、上記のような定常的な地震活動ではなく、3.11の東北地方太平洋沖地震の誘発地震活動を対象にしたものでした。そもそも地震は、マグニチュードが小さいほどたくさん起こり、大きくなるほど少ないことは経験則から明らかです。これを数値で表したのが、「グーテンベルグ・リヒターの法則」で、小さな地震の回数に比例して大きな地震が発生するということを示しています。
また、大きな地震が起こると余震がたくさん発生しますが、この余震は大地震後の時間経過に伴って減ります。この現象は「改良大森公式」と呼ばれるもので数式化されています。
今回は、これらの2つの公式を組み合わせて「余震の確率評価手法」というものを作りました。これにより、昨年9月時点での3.11地震前後での首都圏の地震活動データを元に計算結果として、「M7程度の誘発地震が今後4年間で発生する確率70%」という値が導き出されました。
◆大切なのは数字ではなく・・・
ただ、この「余震の確率評価手法」による全く同じ算出方法で「今後30年間で98%」という確率も出てきます。また、期間を昨年の12月時点に設定して計算すると、「30年間で83%」、現時点では「12年間で70%」と、「4年で70%」よりも低い結果となり、この数字そのものを論ずる意味はない、と東大地震研もコメントしています。そもそも政府試算とは評価や対象が違うのです。
しかし、いずれにしても日本であれば首都圏のみならずどこであってもM7程度の地震は起きます。大切なことはそのことへの備えです。政府は東京圏の中枢機能のバックアップに関する検討会を設置しました。私自身も党の首都中枢機能のバックアップWTの座長となってこの取りまとめに着手したところです。いつ起きてもおかしくない大地震の危機に対して首都機能のバックアップ体制を整備することは極めて重要です。より具体的な提言ができるように多面的な検討を迅速に行ってまいりたいと思っています。(了)
スタッフ日記「豪雪」
各地から豪雪による被害のニュースが届いています。雪降ろし中の落下事故やなだれによる被災、スリップによる交通事故など、新聞やテレビで報道されない日はありません。
過去に気象庁が豪雪と名づけたことは2度あります。昭和38年の「三八豪雪」と平成18年の「一八豪雪」がそれです。三八豪雪では、鹿児島でも30cmを越える積雪が記録されています。陸上自衛隊も災害派遣され、火炎放射器による消雪作業も行われたようです。当時の私は小学生。奈良でも珍しく20cmほどの積雪があり、凍りつくような寒さの中、早速友達と誘い合い、飛火野でソリ遊びをした記憶があります。
冬になればスキー板を担いで信州や、北海道、遠くは海外まで出かけていた私にとって、毎年この雪のシーズンは待ち遠しく、ワクワクしたものでした。大雪でバスが動かず、駅からスキー場まで1日かけて歩いて登ったことも今では良い思い出です。
かつて家内の実家で雪下ろしを手伝ったことがありました。まだ体力に自信のあった頃の話ですが、それでもフラフラになったのを覚えています。
テレビに映る雪国の村落、若い人たちが村を離れ、お年寄りが屋根に積もった雪を呆然と見上げる姿を見ると、昨年の東日本大震災や、紀伊半島の台風被害を思い浮かべ、自然の持つ力の驚異、自然と向き合って生きることの大変さを改めて感じさせられました。
党の豪雪災害対策本部も立ち上がりました。地方自治体の除雪予算も底をついているようです。国民の生命財産を守るのが政府の最優先課題。1日も早い対応が求められています。(スギ)