第793号 共謀罪法案 深夜の攻防

2017年6月17日 (土) ─

 与党が参院法務委員会での採決を省略し、本会議で可決するという強硬手段をとり、「共謀罪」法案が成立しました。

◆慎重審議はどこに
 「共謀罪」法案は、犯罪の準備段階での処罰を可能とするとしていますが、一般市民まで対象となり得る、犯罪と犯罪ではない行為との境界があいまいで、国民の自由な活動を萎縮させかねない、などの指摘がされてきました。

 衆院ではすでに可決されてしまいましたが、過去に同様の法案が3度廃案となっていることもあり、良識の府とされる参議院においては、さらなる慎重な審議が求められていたところでした。

◆異例の審議打ち切り
 今回与党のとった「中間報告」という手段は、野党が委員会の委員長ポストを握っている場合に、委員会での採決を認めようとしない時など、極めて例外的な場合にしか使われてきませんでした。

 今回、参院法務委員会は与党議員が委員長を務めており、与党の判断で採決を行うことは十分に可能でした。

 また、法案の重要性を考えると、一昨年の安保法制の時と同様に、会期を延長して審議を続けることも可能でした。

 このように、審議と採決を確保できる手段があるにもかかわらず、「中間報告」を用いるのは「異例中の異例」であり、議論を尽くすべき国会としての責任放棄と言っても過言ではありません。

 採決にあたり、私たち民進党が内閣不信任案を提出して深夜に及ぶまで対抗したのは、単なる反対のための反対ではありません。

 国会が果たすべき義務が果たされないまま、国民生活に重大な影響を与えかねない法案が成立してしまうことに危機感を持っていたがためです。

◆独裁化する政権に対峙
 政府与党によるこの強引な幕引き劇には、「共謀罪」法案の審議を早期に切り上げるだけではなく、「加計学園」問題等の追及をかわす意図があったと思われます。

 今国会で明らかになった「森友」「加計」の両「学園」問題は、いずれも安倍首相やその側近による「行政の私物化」と断じざるを得ないものです。

 もし、これらの問題の追及を逃れるために慎重さが求められる法案審議を打ち切ったのであれば、それは国民の代表機関たる「国会の私物化」であり、これまで問題視されてきた「政官業の癒着」を超える大きな問題です。

 このようなことがまかり通っていては我が国の民主主義は死んでしまいます。

 加計学園問題は、世論が政府を動かし、再調査が行われた結果、当初、政府が「怪文書」と断じていた、「総理の意向」などと記された文書について、松野文部科学相が「問題となった文書と同内容の文書が確認された」と発表するに至りました。

 政治は、他の誰でもない、国民一人ひとりのためにあるものです。それ故、世論という国民の風を敏感に感じ、それを受けるための「帆」を張るというのが政党の重要な役割です。

 国民の声という、目には見えない力を受け止め、数ではない「正義」を実現するため、民進党をたたき直し、体をはってでも独裁的な政治に対峙しなければならない、今回の強行採決を受け、改めてその思いを強くしました。(了)

 

スタッフ日記「横軸と縦軸」
 仕事上、たくさんの方とお話をする機会を頂きますが、元来社交的な方ではないので、特に男性の場合などに、共通の話題を見つけづらく困ってしまう、ということがありました。

 しかし、試行錯誤の末、ついに高確率で会話が繋がるキラーワードを見つけました。甲子園です。「どちらのご出身ですか?」「奈良県です」「智辯学園とか天理とか!」「そうそう!」といった具合です。

 私は子供の頃からの高校野球ファンなので、この流れさえできれば、あとは知識と記憶を総動員するだけです。大都市の強豪ひしめく地域には使いづらいのが玉にキズですが、なじみのある名前が出てくるだけで先方の気持ちも緩むような気がします。

 そして、甲子園を地理的な「横軸」とするならば、もう1つ、時間的な「縦軸」になるようなものがないかと考え、目をつけたのはヒーローものでした。

 テレビ朝日系列で放送されているスーパー戦隊シリーズは今が41作品目、男の子なら誰でも通る道、アラフォー以下の人と話すタネになるかもしれません。

 という訳で、ゴレンジャー・ジャッカー電撃隊・バトルフィーバーJとシリーズ1作目から順に見ていきました。

 古い作品なので、今ならCGで処理するような映像も、逆回転や組体操、フィルムへの手書きなど、アナログ技術をこれでもかと駆使して作られており、当時の苦労がしのばれ、ストーリーとはまた別の意味で楽しめました。

 しかし、1作につきDVDが10本。さすがに6作目のゴーグルファイブの途中で力尽きました。何かまた他に話のタネを探さなくては…。(シズ)

第793号 共謀罪法案 深夜の攻防